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初めての共同作業

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ゼーハーゼーハー…

やっと、デコピンを防げた。
癒せても痛いのは痛い。

「よし、この辺にしてお昼にしようか?」
気付けば、太陽が真上にある。お腹もペコペコだ。

「うん、お腹すいた。」

シスとギルド内に入り、食べ物を注文した。お昼はシチューにしたが、この入っている肉はなんだろう。美味いが硬い…。と考えていると、外が慌しい。守衛さんの声かな? 

バンッ!!

「アリアナ!ガルディア!!」

勢いよく、扉が開くと、これまた巨大な男が、巨大な男を支えて入ってきた。

シスはガタンッと立ち上がって、2人に駆け寄る。
「ウラン!!ダイナ!どうした!?」

あれ?聞いたことあるぞ?確か…アルのお兄ちゃん!
ギルドNO.3!

燃えるような赤い髮に、頬から顎にかけて大きな傷がある。瞳はアルと同じブルーだが、薄い空のブルー。がたいもかなり良く、威圧的だ。
もう1人は、何処か怪我をしたのか、ウランに支えられて入ってきた。水色の髪に、肌が?灰色?所々鱗のような模様がある。一番驚いたのは鼻から口元まで、マスクで覆われている。

「どうした。」
ギルドマスター室から、ガル、アル、アリアナが出てきた。

「まあ!すぐに医療室へ!」
アリアナさんの指示に、ウランとは反対側をシスが支える。

医療室に寝かせて、ウランは状況を説明する。

「ガージ町での討伐はケガは負ったが無事依頼を終え、帰路中に、いきなりダイナが呻き出した、ダイナは怪我していたが、再生力は早いはず。傷も塞がっているのに、何故かわからん!」
眉を寄せて、怒鳴るように説明するウラン。
俺は恐る恐る手を上げる。

「もし、よろしければ俺に見せてくれませんか?」
「誰だ!?」
苛々していた為、俺の声に反応し、瞬時に怒鳴る。
しかし、俺を見て、空色の瞳を大きく広げて、黙る。

「ウラン、新しくギルドに入ったヒヨリよ。光属性なの。見せてあげて?」

アリアナさんの声にハッと我に返り、また睨まれた。
「Sランクポーションも使ったんだぞ!こんなチビスケに!?」

ムムッ!確かにこの世界じゃチビだが、日本じゃ平均だ!
俺はウランを無視して、横たわる水色の髪の男の側に寄る。血と服の破れから足に怪我したんだろうと当たりをつけた。    
「スキャン!」
初めて使うスキル。光が目に集まった。
「ヒヨリ!瞳の色が白く!!」
アルの声が聞こえたが、今は初めてのスキルに集中!
スキルの力で良くある人体図のように見える。よく、自分の院の壁に貼ってあるから慣れてるが、普通なら吐くかも…
一応全身見たが、やはり足のようだ。血管が傷つき、何やら異物が見えた。
「ねえ、足の怪我した状況詳しく教えて?」
俺は辛そうに呻く男に聞いた。
「何で怪我したと分かる?傷は塞がっているだろう?」
ウランうるさい!今はそれどころじゃない!
俺は無視してもう一度聞いた。
「水色のお兄さん!辛いかもだけど大事な事なんだ!」
呻く男は、汗ばむ顔を歪ませながら、俺を見た。
俺はその瞳に、少し驚いた。白目の部分が黒く、瞳が金色をしていた。何かの種族なんだろう。

「…こ、今回の討伐は…キラーフラワーが、20体以上、町の…林に繁殖した。その駆除の際、意思を持つ、トゲのついたツルに足を取られた…。」
キラーフラワーってなんだろ。モンスターについても勉強が必要だな。とにかく、植物のツルとトゲ!

「毒などはトゲに含まれていますか?」
「いや、ただ、花には、人を溶かすほどの酸が付いているから付着した恐れもある。」

なるほど、そのトゲのカケラに付着して中にあるなら、相当痛い。まずは血管にあるなら、流れないようにして取り出さないと。

「すみません。誰か足の付け根を思いっきり縛って下さい!俺の力じゃ、この筋肉量は無理です!」
こんなマッスルボディには勝てない。筋トレもしなきゃ。課題が…

シスが布で思いっきり縛った。

「次ですが、この部分にトゲのかけらがあります。酸が付着したまま、中に入り、傷が塞がってしまったからポーションも役に立たなかったんだと思います!なので、傷を開き、小さいカケラなので、トゲを血で流します。その後、俺が傷を治します!どうですか?」

「ヒヨリ♡かっこいい。…わかった。俺が切る。初めての共同作業だ。」
無表情で何言ってんだ。
「水色のお兄さんもいいですか?」
「…ああ!」

ガルは、俺の指示するところを切り、俺はスキャンで流れ出たか確認。
「よし!出た!酸で内部が傷ついているので、一緒に治します!」

イメージ!イメージ!
手で患部を触りながら酸を消して、傷を治すイメージを必死にした。
すると、傷が塞がったので、もう一度スキャン!
「もう、大丈夫みたいだけど、調子はどう?」
水色のお兄さんはゆっくりと目を開き、起き上がった。手足を動かし、俺を見た。

「なんとも無い。しかも、身体がいつもより楽だ。」

初めての治療で、安心したのか、足から崩れてしまい、床にぺたりと座り込んだ。

「良かったー!!あー緊張した!課題もわかったし…あー!よし!もう大丈夫です!」

ぺたりと座り込んだ俺をひょいと持ち上げたのはアル兄だった。

子供の様に持ち上げられ、ジッと見つめられた。

うぁ!!威圧感!!兄弟でも違うな。空色の瞳は綺麗だが…

ブチュッ

えっ……

「「「!!!」」」

アル兄の口が俺の唇を覆った。口の大きさが違い過ぎて、食べられたかと思った。しかも、大きな舌が、俺の唇をベロベロしてる!!

「兄貴!!離れろ!!」
「ウラン!何してんだ!」
「……切る!」

3人の殺気にもお構いなしでベロベロ。

「ウラン…?」
いつもの優しい声だが、オーラがどす黒いアリアナさんの一言に、スポンッと唇が解放された。さすが母強し。

「な、何するんですか!?」
俺は唇を拭き拭きしたら、めちゃくちゃ男前の笑顔!

「最初は何だこのチビスケと思ったが、よく見ると綺麗で可愛いし、すげー能力だし、ツバ付けとくか~ってな。」

なるほど…じゃねぇよ! 

あっ!ガル!剣しまえ!

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