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第二章・四人の【天使】
【第四節・魚人族の誇り~後~】
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十六時五十八分。他の魚人よりも背が低く、茶色い鱗に覆われ、髭が左右に二本ずつ生えた魚人が、先ほどの髭の魚人を連れて関所の門から出てきた。
身に着けているのは鎧ではなく、金の装飾糸が入った赤い外套を纏い、その下は布を巻いたような独特な白い服を着ている。右手には魚の頭と思われる造形をした持ち手の杖、左手には分厚い本が一冊握られている。彼が【魚人族】の長、【リヴァイ】だ。
リヴァイは、ゆったりとした足取りで杖をつきながら、ボクらの前まで来ると一礼をし、挨拶を始める。
「初めまして。私がこのパール国を取り仕切っております、族長の【リヴァイ・ポセタルス】という者です。スピカ殿、ローグメルク殿、お久しぶりです」
「半月振りですねぇ、リヴァイさん。あなたもお孫さんも、お元気そうで何よりです」
「いやはや、イシュが迷惑をかけたようで申し訳ない。お怪我はなされませんでしたか?」
「ボクらは大丈夫です。そして襲われたのがボクの隣にいる彼なのですが……」
隣に立つお兄さんもリヴァイに倣い一礼した後、挨拶をする。
「初めましてリヴァイ族長、お会いできて光栄です。ここより少し離れた街で教会の司祭をしております、ポラリスです。イシュさんは大丈夫ですか?」
「おお、貴方がスピカ殿がお話してた【天使】殿か。イシュめは兵士詰所にある医務室で手当てを受けておりますが、大きな怪我もなく脱水症状で眠っております。あ奴は物事に対して寛容さが無さ過ぎる。戦争の当事者でもないお二人には、ご迷惑をおかけしました」
リヴァイは再び頭を下げ、謝罪をした。
その通りだ。お兄さんと丸眼鏡の少女に、なんの罪もない。イシュは【天使】だからという理由だけで……他種族だからというだけで否定し続ける、一種の固定概念に囚われ過ぎているのだ。彼の脳裏に刻まれた光景や抱いてしまった感情には同情するが、分別がつけられない態度や排他的思考では、それこそ侵略戦争の侵略する側と何も変わらない。
それをボクらが何度説明しても理解しようとしませんし、今回痛い目をみていい加減学んでくれれば良いのですが。
「皆さんを是非国内で歓迎したいのですが、民や警備兵の中にもイシュのような過激思想の者達も多く、どれだけ警備を厳重にしたとしても身の安全を保障しかねます。立ち話になってしまいますが、ご理解くだされ」
「問題ありません。ただ少し、お話を聞いていただけたらなと」
お兄さんは街の物流事情や農作物、最近の冷害について話を始める。ボクら以外に交易の無い【魚人族】にとって、現在の人間の暮らしが分かる話は新鮮らしく、リヴァイ族長や警備兵も時折質問を交え、興味深げに聞いていた。
リヴァイ族長は、【勇者】とクーデター後に停戦協定交渉の場に立った、族長数十人のうちの一人だ。侵略戦争を経験しならがらも、聡明で物腰が穏やかな彼と【勇者】の交渉は他の族長と比べ、拗らせることなくすんなりと締結まで話を進められたと、アラネアから聞いたことがある。
ただ彼が触れたように、領地内の住民や他の族長達からの支持は半々といったところで、反感を持つ者も少なくないらしい。統治者としての責務はしっかりと果しているようだが、強行的な対応をすることも望んでいないようで、反支持者側とは今も膠着状態が続いている。
一通り聞き終えたところで、リヴァイは警備兵の一人から水を一杯貰い、自らが治める領地内の事情を語り始めた。
「大変興味深いお話をありがとうございます、ポラリス殿。交易の件に関しましても、双方にとって利益があることは深く理解いたしました。魚介類は収穫量と鮮度さえ管理できれば、陸に住む皆様にも届けることができるでしょう。しかし……問題はやはり、商人の皆様の安全までは保障しかねる点ですな。私が手にした【法本】に〈他種族の商人とも交易を行ってもよい〉と書き足せば、すぐにでも交渉へ応えることはできます。されど、納得のいかぬ者達や、快く思わぬ者達が何をしでかすかわかりませぬ。実現不可とは言いませぬが、しっかりと安全の確保と専属商人や漁師、環境整備をした上で改めて応じさせていただきます。どれほどかかるかわかりませぬが、この族長リヴァイが尽力いたしますので、どうかお時間を下され」
ありがとうございます、と感謝の言葉を述べたお兄さんとリヴァイは、交渉成立の握手をする。交渉前にトラブルこそあったが、交渉そのものは上手くいった。
三つ編みの彼は、やはり引き離して正解だったようです。彼が居たらイシュとの問答で余計な口を挟まれていたと思いますし、周りの警備兵が味方に付いてくれることも無かったでしょう。今頃シスターとよろしくやってるでしょうし、戻った時どれだけやつれているか楽しみですねぇ。
「我々は大いなる海が母であり、神であると崇拝している種族ですが、お二人のような若い【天使】が正しき史実を知り、この時代を平和なまま導いてくれることを願っております。スピカ殿は良き方々とご縁を持てて、羨ましい限りです。ご両親も、さぞお喜びでしょう」
「いやぁ、運だけが取り柄みたいなものですし、ボク一人じゃ何もできませんよ。お兄さんやローグメルクのような優秀な人達、そして族長の協力あってこそボクもお役に立てるのです。引き続き交易の方は続けますので、交易商の皆様にはよろしくお伝えください」
何かしら、手土産になる物でも用意しておくべきだったか。そんなことを考えていると、族長の後ろに見える関所の門を開け、一人の魚人が出てくる。あの赤い鎧に青い鱗は……イシュですか。もう起き上がって来たのです? 彼はよろめきながらこちらへと歩いてきた。
「俺は認めんぞ……王が認めようと、部下が認めようと、母なる海が許そうと、俺はお前らを認めないっ!! 俺だけじゃない、民や他の族長だって貴様らを許すものかっ!! リヴァイ族長は甘すぎるっ!! 何故、こ奴らの奴隷になるような真似をなさるのですっ!? 【勇者】との協定の時もそうだったっ!! 俺はあなたに徹底交戦の姿勢をとるべきだとあれほど力説したにも関わらず、あっさりと屈したっ!! その結果がこれだっ!! 民からも不信を買い続け、族長同士の協議にも呼ばれぬほど、我が国の地位は衰退したっ!! 身勝手な判断を下し、掟を都合の良いように書き換え、戦うことすら放棄した全てあなたの責任だっ!!」
彼の青い顔が再び赤みを帯び、身体からは湯気が出ている。
魚人族の体温はボクらよりも低く、急激に体温が上がると鱗の下の肌へ含んだ水分が蒸発し、脱水症状へ陥る。体温や気温の急激な変化に対応できない彼らは、定期的に水場や海へ浸からなければ、生命維持が出来ない。雨の日であれば陸地への遠出も可能だが、いつ雨が止まないとも限らず、広大な水場の無い陸上での生活を集団で継続するのは絶望的だろう。この調子だと、彼はまた倒れるのではなかろうか。
イシュはこちらへ怒号を飛ばし続けながら詰め寄る。
「俺は生温いあなたとは違うっ!! 国の魔術師や研究者達に、陸上へ永遠と雨を降らせる技術を開発させ、他の族長達と結託し、必ずや陸の蛮族共に復讐を果たすっ!! 平和だとっ!? 思い違いも大概にしろっ!! 侵略戦争は目に見えないだけで終わってはいないっ!! 【天使】や【悪魔】が悪戯に我々を惑わそうとするのなら、貴様らも敵だっ!! リヴァイ族長、あなたには族長の座を引いていただくっ!! 正当な血筋である俺が、この国を屈強で誇り高い国に変えて見せるっ!!」
イシュは帯刀している鞘に収まったままの剣の柄を、右手で握り構える。彼の抜刀術の腕は本物で、その腕一つで関所の門を警備する隊長になったと言っても過言ではない。
リヴァイ族長は既に彼の間合いへ入ってしまっていて、間合いの外にいるボクらが不用意に近寄るのも危険だ。周囲の警備兵も彼を取り押さえようと、一定距離まで包囲するが間合いの中にまでは近寄れず、弓を使えば誤射や彼が族長を盾にする可能性もある。目の前の怒りに駆られた男は、何をしでかしても不思議ではない。
リヴァイ族長は慌てる風でもなく、哀れみのこもった目でイシュを見つめる。
「イシュよ。怒りや憎しみに囚われてはいけない。あの時に玉砕覚悟で戦いを挑んでいれば、【魚人族】の血は間違いなく絶たれていた。だが今の人間の王は違う。聡明で人間の民のみならず、我々の事も考えておられる。お前の血で血を洗うやり方では、再び神々の退屈凌ぎに利用されてしまうだけだ。それにこの国も、侵略戦争が起こる前までは商魂逞しい国として他種族と積極的に交流し、交易を行い栄えていた。私は憎しみしか生まない戦いに疲れたのだよ。……平和であったあの頃を望むのが、そんなに滑稽かね?」
「ああ滑稽だともっ!! 陸も海も我々が統べてこそ、【地上界】に真の平和が訪れるのだっ!! 剣を取れっ!! 魔術を極めよっ!! 雨を降らせっ!! 俺の理想こそが魚人族のあるべき姿だっ!! 貴様は黙ってその【法本】に俺に族長の座を継がせると書けば――」
「――いい加減にしろよ、坊ちゃん」
構えていたイシュに対し、ローグメルクが横から鎧の胴へ一撃、自慢の蹴りを入れた。狭くなった視覚の外からの乱入に、反応が遅れたイシュは再び地面を転がり関所の壁へぶつかる。
身体を強く打ち付けたが彼は素早く立ち上がり、抜刀の構えをとった。鎧は蹴られた部分を中心に亀裂が走っているのが見えたが、イシュは蹴られた脇腹や鎧を気に留めていない。目の前のローグメルクの表情を見ると、いつになくブチギレた表情をしている。気持ちはわかります、むしろよくやりました。
「お嬢、ポーラ司祭、眼鏡の【天使】さん、それにリヴァイ族長。すんません、こっからは俺のやり方に任せてくだせえ」
ローグメルクはこちらを振り返ることなくずしずしと、抜刀体勢で睨むイシュへ近付いていく。まだ【生成術】は使っていない。ボクらは固唾をのんで、彼の背を見守ることしかできなかった。
ローグメルクはイシュの抜刀が届く間合いギリギリまで来ると、歩みを止めて立ち止まる。
「そうだっ!! それが貴様らの本性だっ!! 平和を望まず争いの火種を巻き続ける【悪魔】や、愚かな人間に味方し続ける【天使】っ!! 大人しく【冥界】や【天界】に引きこもっていればいいものを、貴様らが戦争へ介入したせいで、【地上界】は火の海になったっ!! 俺の両親や兄弟も、貴様らがいなければ死ぬ必要がなかったのだっ!! 愚かな神々ではない、この広大な海こそが神であり、そこに生きる俺達が選ばれた種族なのだっ!!」
イシュはローグメルクに、自らの思想を叫びながらすり足で間合いへ引き込むようにじり寄る。頭に血は上っているが、身体は的確に敵を一太刀で仕留めようと、冷静に状況判断しているようだ。ローグメルクもわかっているはずだが、彼は構えず仁王立ちしている。
「俺は、あんたの考え方がわからないわけじゃねぇっす。大事な人失ったのも、きっかけは俺らの頭の上で欠伸してる、クソみてぇな神々だってのも理解してるっす。ヴォルガードの旦那が死んだのだって納得できねーし、理不尽だって今でも思ってるっすよ。んでも――」
彼が話している最中にも関わらず、イシュは間合いに入った瞬間抜刀――したはずだった。ローグメルクがその前に一歩踏み込み、彼の帯刀している剣の柄頭を右手のひらで押し、抜刀をするのを防いでいる。
剣を抜くことのできないイシュは、その姿勢のまま硬直した。ローグメルクは左手で彼の頭を掴み、自分と無理やり目を合わせさせ話を続ける。
「――俺らがまた争いに火ぃ点けたら、俺らを守るために戦って死んだ奴らにどんな顔すりゃいいか、テメェにわかんのかっ!?」
「――――――っ!?」
「違うだろっ!? お前らの国の兵士や親は、テメェに生きて欲しいから戦ったんだっ!! ヴォルガードの旦那だってそうだっ!! 人間や他の種族を皆殺ししたり、支配するためじゃねぇっ!! あの人もお嬢や俺らに生きて欲しいから犠牲になったんだよっ!! なんでんなこともわからねぇんだっ!? テメェがしようとしてるのは、犠牲になった奴らの顔に泥塗って踏みにじってるって俺らは言ってんだよっ!! 復讐だの支配だの勝手に一人でやってろっ!! けどな、絶対に他の奴らを巻き込むんじゃねぇっ!! 【契約悪魔】相手に簡単に手玉取られる底の浅いテメェが族長になったところで、死んだ奴らも生きてる奴らも誰も救えねぇんだよっ!!」
そう言い放つとローグメルクは腕の力のみで、背後の壁へとイシュを突き飛ばす。イシュはそのまま壁にぶつかり、膝から崩れ落ちた。
「……死んだ奴らは、もう戻ってこないっす。ただテメェがどう思って戦争をするかのこじ付けにするのは、俺が許さねぇっす。自分を守るために死んでいった奴らをこれ以上、冒涜するのはやめてくだせぇ……」
後ろ姿しか見えないが、彼は泣いていた。どうしようもない理不尽さや自分の無力さ、どんなに願ってももう戻ってこない主や仲間達、戦争の犠牲になった【魚人族】を思って。
ボクらは彼らの元へ駆け寄る。どちらも悪くないのだ。怒りで復讐に身を投じることも、思いを継いで穏やかに暮らすことも、お互い正しい。ただ、それを目の前の相手に罪を擦り付けるのは間違ってますし、恨むべきは退屈凌ぎで混沌を起こさせる神々です。
この世界は歪です。憎み合うようにできてしまっている。意図的にしろ、偶然にしろ、必ずそうなるようにできてしまっている。けれどボクは――
「――俺はっ!! 納得できないっ!!」
イシュは叫びながら立ち上がり、剣を鞘から抜いてそのまま斬りかかる。ローグメルクも涙を流しながら、迎撃の蹴りを彼へ放った。
一瞬だった。どちらかが死んでも不思議でない、本気の一撃。
お兄さんが間へ入り、透明な二枚の翼でお互いの攻撃が届かぬよう、防いでいた。咄嗟の行動に踏ん張れなかったのか、食いしばった口からは血が垂れている。直後、巨大な亀裂が入り両翼が砕けそうになるが、彼は必死に砕けないよう堪えているように見えた。
ローグメルクはお兄さんの姿に気付き、足を離すと同時に右翼が消えるが、イシュはそのまま更に力を込めて翼ごと彼を斬ろうとしており、左翼がびしびしと音をたてて亀裂が全体へ広がる。お兄さんは苦しそうに膝をついて耐えているが、翼はもう持ちそうにない。
彼が割れた衝撃で吹き飛ばされると思ったボクは先程の状況を思い出し、お兄さんの腰にしがみついた。
「ならば親兄弟を目の前で殺された俺の怒りは、どこへ向ければいいっ!? 復讐へ身を投じ、俺はそれだけの為にあの日から今まで鍛えてきたっ!! 貴様らの温い理想では俺を救えないっ!! 奴らに奪われた命も時間ももう戻ってこないんだっ!! どうすればいいっ!? どうすれば――」
「い……生きてください。……あなたに何度斬られようとも、僕は構いません……復讐に身を焦がしたとしても、僕が何度でも止めましょう……救われてなきゃ、いけないんです。……僕は戦争を、知識でしか知りません……失う怖さもわからない……でもそれは、あなたを救わない理由にはなりません。……温いと言われようとも……これは【天使】である、僕の役目です……っ!!」
翼が砕け散る音と共に、衝撃が来る。目を瞑り、僅かな浮遊感を感じるが踏ん張って堪える。
再び目を開くと、ボクとお兄さんの身体は浮くことなく、その場へ留まっていた。顔を上げる。イシュは剣を握ったまま壁まで吹き飛んでいて、お兄さんの左腕はコートや衣類が破れてズタズタになり、無数の切り口から滴る血が地面を濡らしている。衝撃を逃がしきれずに、片腕で受け止めたのですか?
イシュが剣を地面に刺して支えにし、ふらふらと立ち上がるのが見えた。
「くそ……歴史の勝者のお前に、俺の何が理解できる? 俺が信じるのは偉大なる海だけだ……【天界】の神々や【天使】の言うことなど信じないぞ……」
イシュは壁に手を突きながらも、こちらへ剣を向けて敵対心を示す。目にはまだ弱々しいながらも怒りが見えているがとうに限界のようで、顔は青くなり、湯気も身体から上がらなくなってしまっていた。
お兄さんは血が流れ続ける左腕を下ろし、ボクの頭を無事な右手でそっと撫でて、彼の目を見据えながら呟く。
「――僕は……あなた達に、人殺しになって欲しくない」
頬を伝う涙が見えた。あなた達……目の前のイシュだけじゃない、その言葉にはボクらやこの港町の【魚人族】も含まれていたのだろう。
ボクのすぐ後ろで立ちすくんでいたローグメルクが、その場にへたり込む音が聞こえた。お兄さんは戦争を書物で得た知識や、ボクらの話でしか知らない。世界や自分の存在を歪だと語り、ボクを純粋で綺麗だと言い切ったお兄さんにとって、彼らの意思のぶつかり合いは戦争そのものとして目に映ったのかもしれない。
あの時と同じで勝てるかどうかの算段もなく、他人の運命を変えようと飛び出したんだ。
「なんだよ……それ……」
そう小さく呟いたイシュは力なくそのまま地面へと倒れる。それを見て安堵したのか、お兄さんも倒れそうになり、ボクはなんとか肩に手をまわして倒れないよう支える。ぽろぽろと涙を流しつつも、少しだけ嬉しそうなお兄さんの顔を見て、ボクは理解した。
彼の【天使】としての信仰の武器が鋭利な剣、鎧を貫く槍、遠くを射抜く弓でもなく、【ルシ】のような時代の最先端の武器でもない【翼の盾】になったのは、戦う為ではなく、大切なものをより多く守る為なのだと。
強くも脆い硝子の翼。ボクがもっと強く祈れば、お兄さんは傷つかずに、目の前の人々を救えるのでしょうか。
身に着けているのは鎧ではなく、金の装飾糸が入った赤い外套を纏い、その下は布を巻いたような独特な白い服を着ている。右手には魚の頭と思われる造形をした持ち手の杖、左手には分厚い本が一冊握られている。彼が【魚人族】の長、【リヴァイ】だ。
リヴァイは、ゆったりとした足取りで杖をつきながら、ボクらの前まで来ると一礼をし、挨拶を始める。
「初めまして。私がこのパール国を取り仕切っております、族長の【リヴァイ・ポセタルス】という者です。スピカ殿、ローグメルク殿、お久しぶりです」
「半月振りですねぇ、リヴァイさん。あなたもお孫さんも、お元気そうで何よりです」
「いやはや、イシュが迷惑をかけたようで申し訳ない。お怪我はなされませんでしたか?」
「ボクらは大丈夫です。そして襲われたのがボクの隣にいる彼なのですが……」
隣に立つお兄さんもリヴァイに倣い一礼した後、挨拶をする。
「初めましてリヴァイ族長、お会いできて光栄です。ここより少し離れた街で教会の司祭をしております、ポラリスです。イシュさんは大丈夫ですか?」
「おお、貴方がスピカ殿がお話してた【天使】殿か。イシュめは兵士詰所にある医務室で手当てを受けておりますが、大きな怪我もなく脱水症状で眠っております。あ奴は物事に対して寛容さが無さ過ぎる。戦争の当事者でもないお二人には、ご迷惑をおかけしました」
リヴァイは再び頭を下げ、謝罪をした。
その通りだ。お兄さんと丸眼鏡の少女に、なんの罪もない。イシュは【天使】だからという理由だけで……他種族だからというだけで否定し続ける、一種の固定概念に囚われ過ぎているのだ。彼の脳裏に刻まれた光景や抱いてしまった感情には同情するが、分別がつけられない態度や排他的思考では、それこそ侵略戦争の侵略する側と何も変わらない。
それをボクらが何度説明しても理解しようとしませんし、今回痛い目をみていい加減学んでくれれば良いのですが。
「皆さんを是非国内で歓迎したいのですが、民や警備兵の中にもイシュのような過激思想の者達も多く、どれだけ警備を厳重にしたとしても身の安全を保障しかねます。立ち話になってしまいますが、ご理解くだされ」
「問題ありません。ただ少し、お話を聞いていただけたらなと」
お兄さんは街の物流事情や農作物、最近の冷害について話を始める。ボクら以外に交易の無い【魚人族】にとって、現在の人間の暮らしが分かる話は新鮮らしく、リヴァイ族長や警備兵も時折質問を交え、興味深げに聞いていた。
リヴァイ族長は、【勇者】とクーデター後に停戦協定交渉の場に立った、族長数十人のうちの一人だ。侵略戦争を経験しならがらも、聡明で物腰が穏やかな彼と【勇者】の交渉は他の族長と比べ、拗らせることなくすんなりと締結まで話を進められたと、アラネアから聞いたことがある。
ただ彼が触れたように、領地内の住民や他の族長達からの支持は半々といったところで、反感を持つ者も少なくないらしい。統治者としての責務はしっかりと果しているようだが、強行的な対応をすることも望んでいないようで、反支持者側とは今も膠着状態が続いている。
一通り聞き終えたところで、リヴァイは警備兵の一人から水を一杯貰い、自らが治める領地内の事情を語り始めた。
「大変興味深いお話をありがとうございます、ポラリス殿。交易の件に関しましても、双方にとって利益があることは深く理解いたしました。魚介類は収穫量と鮮度さえ管理できれば、陸に住む皆様にも届けることができるでしょう。しかし……問題はやはり、商人の皆様の安全までは保障しかねる点ですな。私が手にした【法本】に〈他種族の商人とも交易を行ってもよい〉と書き足せば、すぐにでも交渉へ応えることはできます。されど、納得のいかぬ者達や、快く思わぬ者達が何をしでかすかわかりませぬ。実現不可とは言いませぬが、しっかりと安全の確保と専属商人や漁師、環境整備をした上で改めて応じさせていただきます。どれほどかかるかわかりませぬが、この族長リヴァイが尽力いたしますので、どうかお時間を下され」
ありがとうございます、と感謝の言葉を述べたお兄さんとリヴァイは、交渉成立の握手をする。交渉前にトラブルこそあったが、交渉そのものは上手くいった。
三つ編みの彼は、やはり引き離して正解だったようです。彼が居たらイシュとの問答で余計な口を挟まれていたと思いますし、周りの警備兵が味方に付いてくれることも無かったでしょう。今頃シスターとよろしくやってるでしょうし、戻った時どれだけやつれているか楽しみですねぇ。
「我々は大いなる海が母であり、神であると崇拝している種族ですが、お二人のような若い【天使】が正しき史実を知り、この時代を平和なまま導いてくれることを願っております。スピカ殿は良き方々とご縁を持てて、羨ましい限りです。ご両親も、さぞお喜びでしょう」
「いやぁ、運だけが取り柄みたいなものですし、ボク一人じゃ何もできませんよ。お兄さんやローグメルクのような優秀な人達、そして族長の協力あってこそボクもお役に立てるのです。引き続き交易の方は続けますので、交易商の皆様にはよろしくお伝えください」
何かしら、手土産になる物でも用意しておくべきだったか。そんなことを考えていると、族長の後ろに見える関所の門を開け、一人の魚人が出てくる。あの赤い鎧に青い鱗は……イシュですか。もう起き上がって来たのです? 彼はよろめきながらこちらへと歩いてきた。
「俺は認めんぞ……王が認めようと、部下が認めようと、母なる海が許そうと、俺はお前らを認めないっ!! 俺だけじゃない、民や他の族長だって貴様らを許すものかっ!! リヴァイ族長は甘すぎるっ!! 何故、こ奴らの奴隷になるような真似をなさるのですっ!? 【勇者】との協定の時もそうだったっ!! 俺はあなたに徹底交戦の姿勢をとるべきだとあれほど力説したにも関わらず、あっさりと屈したっ!! その結果がこれだっ!! 民からも不信を買い続け、族長同士の協議にも呼ばれぬほど、我が国の地位は衰退したっ!! 身勝手な判断を下し、掟を都合の良いように書き換え、戦うことすら放棄した全てあなたの責任だっ!!」
彼の青い顔が再び赤みを帯び、身体からは湯気が出ている。
魚人族の体温はボクらよりも低く、急激に体温が上がると鱗の下の肌へ含んだ水分が蒸発し、脱水症状へ陥る。体温や気温の急激な変化に対応できない彼らは、定期的に水場や海へ浸からなければ、生命維持が出来ない。雨の日であれば陸地への遠出も可能だが、いつ雨が止まないとも限らず、広大な水場の無い陸上での生活を集団で継続するのは絶望的だろう。この調子だと、彼はまた倒れるのではなかろうか。
イシュはこちらへ怒号を飛ばし続けながら詰め寄る。
「俺は生温いあなたとは違うっ!! 国の魔術師や研究者達に、陸上へ永遠と雨を降らせる技術を開発させ、他の族長達と結託し、必ずや陸の蛮族共に復讐を果たすっ!! 平和だとっ!? 思い違いも大概にしろっ!! 侵略戦争は目に見えないだけで終わってはいないっ!! 【天使】や【悪魔】が悪戯に我々を惑わそうとするのなら、貴様らも敵だっ!! リヴァイ族長、あなたには族長の座を引いていただくっ!! 正当な血筋である俺が、この国を屈強で誇り高い国に変えて見せるっ!!」
イシュは帯刀している鞘に収まったままの剣の柄を、右手で握り構える。彼の抜刀術の腕は本物で、その腕一つで関所の門を警備する隊長になったと言っても過言ではない。
リヴァイ族長は既に彼の間合いへ入ってしまっていて、間合いの外にいるボクらが不用意に近寄るのも危険だ。周囲の警備兵も彼を取り押さえようと、一定距離まで包囲するが間合いの中にまでは近寄れず、弓を使えば誤射や彼が族長を盾にする可能性もある。目の前の怒りに駆られた男は、何をしでかしても不思議ではない。
リヴァイ族長は慌てる風でもなく、哀れみのこもった目でイシュを見つめる。
「イシュよ。怒りや憎しみに囚われてはいけない。あの時に玉砕覚悟で戦いを挑んでいれば、【魚人族】の血は間違いなく絶たれていた。だが今の人間の王は違う。聡明で人間の民のみならず、我々の事も考えておられる。お前の血で血を洗うやり方では、再び神々の退屈凌ぎに利用されてしまうだけだ。それにこの国も、侵略戦争が起こる前までは商魂逞しい国として他種族と積極的に交流し、交易を行い栄えていた。私は憎しみしか生まない戦いに疲れたのだよ。……平和であったあの頃を望むのが、そんなに滑稽かね?」
「ああ滑稽だともっ!! 陸も海も我々が統べてこそ、【地上界】に真の平和が訪れるのだっ!! 剣を取れっ!! 魔術を極めよっ!! 雨を降らせっ!! 俺の理想こそが魚人族のあるべき姿だっ!! 貴様は黙ってその【法本】に俺に族長の座を継がせると書けば――」
「――いい加減にしろよ、坊ちゃん」
構えていたイシュに対し、ローグメルクが横から鎧の胴へ一撃、自慢の蹴りを入れた。狭くなった視覚の外からの乱入に、反応が遅れたイシュは再び地面を転がり関所の壁へぶつかる。
身体を強く打ち付けたが彼は素早く立ち上がり、抜刀の構えをとった。鎧は蹴られた部分を中心に亀裂が走っているのが見えたが、イシュは蹴られた脇腹や鎧を気に留めていない。目の前のローグメルクの表情を見ると、いつになくブチギレた表情をしている。気持ちはわかります、むしろよくやりました。
「お嬢、ポーラ司祭、眼鏡の【天使】さん、それにリヴァイ族長。すんません、こっからは俺のやり方に任せてくだせえ」
ローグメルクはこちらを振り返ることなくずしずしと、抜刀体勢で睨むイシュへ近付いていく。まだ【生成術】は使っていない。ボクらは固唾をのんで、彼の背を見守ることしかできなかった。
ローグメルクはイシュの抜刀が届く間合いギリギリまで来ると、歩みを止めて立ち止まる。
「そうだっ!! それが貴様らの本性だっ!! 平和を望まず争いの火種を巻き続ける【悪魔】や、愚かな人間に味方し続ける【天使】っ!! 大人しく【冥界】や【天界】に引きこもっていればいいものを、貴様らが戦争へ介入したせいで、【地上界】は火の海になったっ!! 俺の両親や兄弟も、貴様らがいなければ死ぬ必要がなかったのだっ!! 愚かな神々ではない、この広大な海こそが神であり、そこに生きる俺達が選ばれた種族なのだっ!!」
イシュはローグメルクに、自らの思想を叫びながらすり足で間合いへ引き込むようにじり寄る。頭に血は上っているが、身体は的確に敵を一太刀で仕留めようと、冷静に状況判断しているようだ。ローグメルクもわかっているはずだが、彼は構えず仁王立ちしている。
「俺は、あんたの考え方がわからないわけじゃねぇっす。大事な人失ったのも、きっかけは俺らの頭の上で欠伸してる、クソみてぇな神々だってのも理解してるっす。ヴォルガードの旦那が死んだのだって納得できねーし、理不尽だって今でも思ってるっすよ。んでも――」
彼が話している最中にも関わらず、イシュは間合いに入った瞬間抜刀――したはずだった。ローグメルクがその前に一歩踏み込み、彼の帯刀している剣の柄頭を右手のひらで押し、抜刀をするのを防いでいる。
剣を抜くことのできないイシュは、その姿勢のまま硬直した。ローグメルクは左手で彼の頭を掴み、自分と無理やり目を合わせさせ話を続ける。
「――俺らがまた争いに火ぃ点けたら、俺らを守るために戦って死んだ奴らにどんな顔すりゃいいか、テメェにわかんのかっ!?」
「――――――っ!?」
「違うだろっ!? お前らの国の兵士や親は、テメェに生きて欲しいから戦ったんだっ!! ヴォルガードの旦那だってそうだっ!! 人間や他の種族を皆殺ししたり、支配するためじゃねぇっ!! あの人もお嬢や俺らに生きて欲しいから犠牲になったんだよっ!! なんでんなこともわからねぇんだっ!? テメェがしようとしてるのは、犠牲になった奴らの顔に泥塗って踏みにじってるって俺らは言ってんだよっ!! 復讐だの支配だの勝手に一人でやってろっ!! けどな、絶対に他の奴らを巻き込むんじゃねぇっ!! 【契約悪魔】相手に簡単に手玉取られる底の浅いテメェが族長になったところで、死んだ奴らも生きてる奴らも誰も救えねぇんだよっ!!」
そう言い放つとローグメルクは腕の力のみで、背後の壁へとイシュを突き飛ばす。イシュはそのまま壁にぶつかり、膝から崩れ落ちた。
「……死んだ奴らは、もう戻ってこないっす。ただテメェがどう思って戦争をするかのこじ付けにするのは、俺が許さねぇっす。自分を守るために死んでいった奴らをこれ以上、冒涜するのはやめてくだせぇ……」
後ろ姿しか見えないが、彼は泣いていた。どうしようもない理不尽さや自分の無力さ、どんなに願ってももう戻ってこない主や仲間達、戦争の犠牲になった【魚人族】を思って。
ボクらは彼らの元へ駆け寄る。どちらも悪くないのだ。怒りで復讐に身を投じることも、思いを継いで穏やかに暮らすことも、お互い正しい。ただ、それを目の前の相手に罪を擦り付けるのは間違ってますし、恨むべきは退屈凌ぎで混沌を起こさせる神々です。
この世界は歪です。憎み合うようにできてしまっている。意図的にしろ、偶然にしろ、必ずそうなるようにできてしまっている。けれどボクは――
「――俺はっ!! 納得できないっ!!」
イシュは叫びながら立ち上がり、剣を鞘から抜いてそのまま斬りかかる。ローグメルクも涙を流しながら、迎撃の蹴りを彼へ放った。
一瞬だった。どちらかが死んでも不思議でない、本気の一撃。
お兄さんが間へ入り、透明な二枚の翼でお互いの攻撃が届かぬよう、防いでいた。咄嗟の行動に踏ん張れなかったのか、食いしばった口からは血が垂れている。直後、巨大な亀裂が入り両翼が砕けそうになるが、彼は必死に砕けないよう堪えているように見えた。
ローグメルクはお兄さんの姿に気付き、足を離すと同時に右翼が消えるが、イシュはそのまま更に力を込めて翼ごと彼を斬ろうとしており、左翼がびしびしと音をたてて亀裂が全体へ広がる。お兄さんは苦しそうに膝をついて耐えているが、翼はもう持ちそうにない。
彼が割れた衝撃で吹き飛ばされると思ったボクは先程の状況を思い出し、お兄さんの腰にしがみついた。
「ならば親兄弟を目の前で殺された俺の怒りは、どこへ向ければいいっ!? 復讐へ身を投じ、俺はそれだけの為にあの日から今まで鍛えてきたっ!! 貴様らの温い理想では俺を救えないっ!! 奴らに奪われた命も時間ももう戻ってこないんだっ!! どうすればいいっ!? どうすれば――」
「い……生きてください。……あなたに何度斬られようとも、僕は構いません……復讐に身を焦がしたとしても、僕が何度でも止めましょう……救われてなきゃ、いけないんです。……僕は戦争を、知識でしか知りません……失う怖さもわからない……でもそれは、あなたを救わない理由にはなりません。……温いと言われようとも……これは【天使】である、僕の役目です……っ!!」
翼が砕け散る音と共に、衝撃が来る。目を瞑り、僅かな浮遊感を感じるが踏ん張って堪える。
再び目を開くと、ボクとお兄さんの身体は浮くことなく、その場へ留まっていた。顔を上げる。イシュは剣を握ったまま壁まで吹き飛んでいて、お兄さんの左腕はコートや衣類が破れてズタズタになり、無数の切り口から滴る血が地面を濡らしている。衝撃を逃がしきれずに、片腕で受け止めたのですか?
イシュが剣を地面に刺して支えにし、ふらふらと立ち上がるのが見えた。
「くそ……歴史の勝者のお前に、俺の何が理解できる? 俺が信じるのは偉大なる海だけだ……【天界】の神々や【天使】の言うことなど信じないぞ……」
イシュは壁に手を突きながらも、こちらへ剣を向けて敵対心を示す。目にはまだ弱々しいながらも怒りが見えているがとうに限界のようで、顔は青くなり、湯気も身体から上がらなくなってしまっていた。
お兄さんは血が流れ続ける左腕を下ろし、ボクの頭を無事な右手でそっと撫でて、彼の目を見据えながら呟く。
「――僕は……あなた達に、人殺しになって欲しくない」
頬を伝う涙が見えた。あなた達……目の前のイシュだけじゃない、その言葉にはボクらやこの港町の【魚人族】も含まれていたのだろう。
ボクのすぐ後ろで立ちすくんでいたローグメルクが、その場にへたり込む音が聞こえた。お兄さんは戦争を書物で得た知識や、ボクらの話でしか知らない。世界や自分の存在を歪だと語り、ボクを純粋で綺麗だと言い切ったお兄さんにとって、彼らの意思のぶつかり合いは戦争そのものとして目に映ったのかもしれない。
あの時と同じで勝てるかどうかの算段もなく、他人の運命を変えようと飛び出したんだ。
「なんだよ……それ……」
そう小さく呟いたイシュは力なくそのまま地面へと倒れる。それを見て安堵したのか、お兄さんも倒れそうになり、ボクはなんとか肩に手をまわして倒れないよう支える。ぽろぽろと涙を流しつつも、少しだけ嬉しそうなお兄さんの顔を見て、ボクは理解した。
彼の【天使】としての信仰の武器が鋭利な剣、鎧を貫く槍、遠くを射抜く弓でもなく、【ルシ】のような時代の最先端の武器でもない【翼の盾】になったのは、戦う為ではなく、大切なものをより多く守る為なのだと。
強くも脆い硝子の翼。ボクがもっと強く祈れば、お兄さんは傷つかずに、目の前の人々を救えるのでしょうか。
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