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目が覚めたら、そこは知らない部屋だった。
無機質なモノトーンで纏まったワンルーム、シングルサイズのベッドに仰向けに寝かされた俺の視線だけが一旦、キョロキョロと左右上下を見回して。本当を言えば今すぐにでも飛び上がって周囲の状況を確認したかったけれど、どうしたって、身体がピクリとも動かなかった。
身体が動かない事で直ぐに思い至ったのは、あれから何がどうなって、そうしてこの状況なのか。視線だけで把握できる範囲では人の気配が無かったから余計に頭は混乱して、そして不意に。下腹がジワリと熱くなって背筋に悪寒が走った。
「っ…気持ち悪い…」
何かがこみ上げてくるような気がして一瞬えづきそうになったから、腕を持ち上げて口許へ持っていこうとしてまたそこで一つ思い出した。時系列に倣って、俺の身に起きたことをじわじわ頭の中で反芻して。
「いてぇ…」
気持ち悪かったり痛がったり、我ながら忙しい脳内にちょっと笑いそうになりながら、痛みの走った左腕、持ち上げ掛けてやめたそれに視線を向けて、そうしたらそこにぐるぐる大げさに巻かれた包帯だったり、動かしにくさに相まった固定具合からギプスを既に嵌められているのを察して、ほんの少し、ほんの少しだけ安心してしまった。
どうやら俺は何かがどうして助かったらしい。
「おい、バカ」
「…」
少し時間が経って身体が脳味噌に順応したのか、次は頭を浮かせることが出来た。視線と一緒に顔を声の方へ向けて、そして確認した相手の顔に俺の表情は再度困惑に上塗りされたけれど、とにかく、一旦。
「会長が合格だってよ」
「…?」
「頭悪ぃな一回で理解しろよ」
「…??」
「で、どうすんの。仕事、受けんの?」
「…あ、あー…そうか、そっかそっか…はいはい」
やっと頭が追い付いた。何がどうなってこうなったのか。
「会長が悪かったって、ボコられるだけで済まなくて」
「あ、あー…」
誰かの身代わりに身体張ってきてくれたら借金を棒引きしてくれるとかいう、俺の身に降ってきた虫のいい話に乗ったのが事の発端だった。金を返す当てもないし、督促も鬱陶しいし、まぁ、別に我慢ぐらいなら得意な方だし。
自暴自棄になって馬鹿みたいに走り込んだり筋トレしたりしたのがせっかくなら他人の役に立つことしようとか、なんかそういう事を適当にあげつらってはみたものの、正直そこまで深く考えて決めた訳でもなかった。
とにかく軽率軽はずみに、バカな事をして、それで結果、こんな事になった。
ボコられるだけで済まなかったその部分を反芻してしまったらあまりにみっともなさ過ぎて、身体さえ動けば墓を掘って今にも埋まりたいぐらいの心境にはなったけれど。
「俺と、会長と、救護かなんかの対応した奴だけだから、知ってんの」
「お気遣いどうも」
「借金分は働いたことにしてやるから、辞めてもいいって」
「まじ?ラッキーじゃん」
「どこがだよ」
俺の枕元に立って何かゴソゴソやりながら言っていた男の手が止まって、同時に軽く吹き出したらしいその顔が初めて緩んだのが横目に見えた。
「え?ラッキーじゃない?」
「腕へし折られて前から後ろから掘られて…どこがラッキーだよ」
「え?どうでもよくね…?」
「まじかよ」
呆れ顔がこっちへ向いて、そこで初めて目が合う。
目鼻立ちがハッキリした、おおよそ日本人離れした顔にちょっと驚いて、思わず軽口が出てしまった。
緩くパーマが掛かった真っ黒な黒髪がハーフアップに纏められて、ツヤツヤ。めちゃくちゃ綺麗。
「なに、めっちゃイケメンじゃん」
「バカにしてんな」
「全然」
「元気そうでなによりだよ」
正直色々あるにはある、言いたい事、知りたい事、分からない事。
発狂してぶつけてしまいたい感情とか、そういうものも。
だけど。
「あんたはナニモンなの?」
「仕事続けんなら教えてやる、辞めんなら忘れろ」
擦れてヤケっぱちで、色んな事がどうでも良くなった自分には、どうしたってそこまでの気力が湧いてこなくて。
「…ねぇまってなにしてんの」
「俺だって嫌だよ」
ベッドのサイドテーブルでごちゃごちゃやってた男が俺の足元へ回って。その縁に腰掛ける。
腰掛けたら手際よく俺の膝を立てて、緩く着せられたらパジャマだかスウェットだかの緩めのズボンのゴムに手を掛けて、するり。
「ちょっ…」
「俺の方が文句言いたいからな」
下着ごと降ろされる。ちょうど膝のところでそれが纏まって、元々動けないのに更に動けなくなるから。
なにがどうなっているのか、ここまで来たらある程度察しはしたけれど、俺にだって羞恥心が無いわけじゃない。さっきだか昨日だか分からないけどその時は、とにかく折られた腕が痛かったし恐怖もあったから、色んな事が誤魔化されていた。だから。
「自分でや…う…ッ」
気持ちだけは一丁前だったけれど、身体は馬鹿みたいにポンコツだった。
「むり…きもい…いたい…滲みる…」
パチンと音を立ててゴム手を嵌めて、軟膏みたいななにかをべっとり指ですくったのを患部に塗り付けられた。ぬるりとした感触がいつかの何かを彷彿とさせて自然と身体が強張るけれど、どうしたって逃げるまでには至れなくて、身体が馬鹿過ぎて、もどかしい。
「文句言いすぎ」
「言うだろ、ねぇほんとやだ…痛いぃ…」
「変な喋り方すんな」
「だってぇ…」
茶化すしかない。こんなの、どう考えたって。
訳の分からない羞恥心を煽るだけ煽る体勢に、惨め過ぎてみっともなくて、何なら今すぐ涙が出そう。
「恥ずかしいって…ねぇ電気消してってほん…」
「電気消すのはおかしいだろ」
「せめて間接照明でムードとかぁ…」
「バカな事言ってんじゃねぇよ」
手袋の嵌まっていない方の手が伸びてきて、俺の頭を軽く小突く。右腕で顔を覆っていたからその衝撃を予測できなくて、触れられた瞬間思いのほか身体が跳ねた。
「んッ…」
鼻に掛かった声が漏れた俺に、男の呆れた溜息が重なる。
「あのなぁ…」
「俺だって解ってるよバカ!」
処置を終えた手袋を裏返しにしながら外す男の腕を悔し紛れに叩き返して、その手で膝の間のズボンを引き上げた。色んな事がどうでもいい俺にだって、多少の感情ぐらいはあるから。
「終わり」
「もう俺お嫁に行けない…」
「お前が黙ってりゃ良いだけの事だろ」
「乗ってこいよ恥ずかしいんだよ」
ズボンを腰まで上げる為に尻を浮かせたら、さっさとしまえとばかりに軽く叩かれて。あくまで俺と楽しい会話などするつもりのない様子の男は、殆どその後の俺に見向きもしないで立ち上がった。
サイドテーブルの紙袋とビニールのなにか、雑多な屑ごみを集めてひとまとめにしたらそのまま俺に背を向けて。
「返事明日聞きに来るわ、ちょっとは悩みたいだろ」
「えっ…」
「なに」
「帰っちゃうの…?」
「気持ち悪い事言うな」
「さみしいじゃん」
「お前なぁ…」
呆れた、とばかりに盛大な溜息。天井を見上げて一呼吸した男が踵を返してこっちへ戻って来たら。
「どういうつもり?誘ってんの?」
「誘ってはない、けど」
男が膝を付いて乗り上げてきたから、ぎし、とまた安いパイプベッドのスプリングが軋んで。
「俺があいつらと一緒だったらどうすんの」
「…」
「…なんで黙んの」
「いや、別に…一緒だったらどうしようかなって」
「その程度かよ」
「…まぁ」
よく見たらめっちゃまつ毛が長いとか、ほっぺたにちょんちょん、てホクロがあんな、とか。唇薄くって色が白いなとか、なんとなく自分のガタイとかと比べてでも全然華奢じゃないな身体作ってんなって、筋トレバカの頭がまたどうでもいいような事つらつら考えて、それで。
「寝ろ、バカ」
何回バカって言われんだろ俺、てまたどうでもいいことを思ったら、額から瞼に掛けてを手のひらで覆われて視界を奪われた。
「超眠いの、俺」
「だろうな」
ほんの数秒だったと思うのに。急に思考がまどろんで、意識がふわりと浮く感じ。
あったかい、手のひらから瞼に伝わる熱が、少しづつ薄れていって。
「やだ…寝たくない…」
必死で抗っても、多分無駄。
「ねぇ…なまえ…」
「…」
答えを知るより先に、俺の意識は簡単に途切れた。
無機質なモノトーンで纏まったワンルーム、シングルサイズのベッドに仰向けに寝かされた俺の視線だけが一旦、キョロキョロと左右上下を見回して。本当を言えば今すぐにでも飛び上がって周囲の状況を確認したかったけれど、どうしたって、身体がピクリとも動かなかった。
身体が動かない事で直ぐに思い至ったのは、あれから何がどうなって、そうしてこの状況なのか。視線だけで把握できる範囲では人の気配が無かったから余計に頭は混乱して、そして不意に。下腹がジワリと熱くなって背筋に悪寒が走った。
「っ…気持ち悪い…」
何かがこみ上げてくるような気がして一瞬えづきそうになったから、腕を持ち上げて口許へ持っていこうとしてまたそこで一つ思い出した。時系列に倣って、俺の身に起きたことをじわじわ頭の中で反芻して。
「いてぇ…」
気持ち悪かったり痛がったり、我ながら忙しい脳内にちょっと笑いそうになりながら、痛みの走った左腕、持ち上げ掛けてやめたそれに視線を向けて、そうしたらそこにぐるぐる大げさに巻かれた包帯だったり、動かしにくさに相まった固定具合からギプスを既に嵌められているのを察して、ほんの少し、ほんの少しだけ安心してしまった。
どうやら俺は何かがどうして助かったらしい。
「おい、バカ」
「…」
少し時間が経って身体が脳味噌に順応したのか、次は頭を浮かせることが出来た。視線と一緒に顔を声の方へ向けて、そして確認した相手の顔に俺の表情は再度困惑に上塗りされたけれど、とにかく、一旦。
「会長が合格だってよ」
「…?」
「頭悪ぃな一回で理解しろよ」
「…??」
「で、どうすんの。仕事、受けんの?」
「…あ、あー…そうか、そっかそっか…はいはい」
やっと頭が追い付いた。何がどうなってこうなったのか。
「会長が悪かったって、ボコられるだけで済まなくて」
「あ、あー…」
誰かの身代わりに身体張ってきてくれたら借金を棒引きしてくれるとかいう、俺の身に降ってきた虫のいい話に乗ったのが事の発端だった。金を返す当てもないし、督促も鬱陶しいし、まぁ、別に我慢ぐらいなら得意な方だし。
自暴自棄になって馬鹿みたいに走り込んだり筋トレしたりしたのがせっかくなら他人の役に立つことしようとか、なんかそういう事を適当にあげつらってはみたものの、正直そこまで深く考えて決めた訳でもなかった。
とにかく軽率軽はずみに、バカな事をして、それで結果、こんな事になった。
ボコられるだけで済まなかったその部分を反芻してしまったらあまりにみっともなさ過ぎて、身体さえ動けば墓を掘って今にも埋まりたいぐらいの心境にはなったけれど。
「俺と、会長と、救護かなんかの対応した奴だけだから、知ってんの」
「お気遣いどうも」
「借金分は働いたことにしてやるから、辞めてもいいって」
「まじ?ラッキーじゃん」
「どこがだよ」
俺の枕元に立って何かゴソゴソやりながら言っていた男の手が止まって、同時に軽く吹き出したらしいその顔が初めて緩んだのが横目に見えた。
「え?ラッキーじゃない?」
「腕へし折られて前から後ろから掘られて…どこがラッキーだよ」
「え?どうでもよくね…?」
「まじかよ」
呆れ顔がこっちへ向いて、そこで初めて目が合う。
目鼻立ちがハッキリした、おおよそ日本人離れした顔にちょっと驚いて、思わず軽口が出てしまった。
緩くパーマが掛かった真っ黒な黒髪がハーフアップに纏められて、ツヤツヤ。めちゃくちゃ綺麗。
「なに、めっちゃイケメンじゃん」
「バカにしてんな」
「全然」
「元気そうでなによりだよ」
正直色々あるにはある、言いたい事、知りたい事、分からない事。
発狂してぶつけてしまいたい感情とか、そういうものも。
だけど。
「あんたはナニモンなの?」
「仕事続けんなら教えてやる、辞めんなら忘れろ」
擦れてヤケっぱちで、色んな事がどうでも良くなった自分には、どうしたってそこまでの気力が湧いてこなくて。
「…ねぇまってなにしてんの」
「俺だって嫌だよ」
ベッドのサイドテーブルでごちゃごちゃやってた男が俺の足元へ回って。その縁に腰掛ける。
腰掛けたら手際よく俺の膝を立てて、緩く着せられたらパジャマだかスウェットだかの緩めのズボンのゴムに手を掛けて、するり。
「ちょっ…」
「俺の方が文句言いたいからな」
下着ごと降ろされる。ちょうど膝のところでそれが纏まって、元々動けないのに更に動けなくなるから。
なにがどうなっているのか、ここまで来たらある程度察しはしたけれど、俺にだって羞恥心が無いわけじゃない。さっきだか昨日だか分からないけどその時は、とにかく折られた腕が痛かったし恐怖もあったから、色んな事が誤魔化されていた。だから。
「自分でや…う…ッ」
気持ちだけは一丁前だったけれど、身体は馬鹿みたいにポンコツだった。
「むり…きもい…いたい…滲みる…」
パチンと音を立ててゴム手を嵌めて、軟膏みたいななにかをべっとり指ですくったのを患部に塗り付けられた。ぬるりとした感触がいつかの何かを彷彿とさせて自然と身体が強張るけれど、どうしたって逃げるまでには至れなくて、身体が馬鹿過ぎて、もどかしい。
「文句言いすぎ」
「言うだろ、ねぇほんとやだ…痛いぃ…」
「変な喋り方すんな」
「だってぇ…」
茶化すしかない。こんなの、どう考えたって。
訳の分からない羞恥心を煽るだけ煽る体勢に、惨め過ぎてみっともなくて、何なら今すぐ涙が出そう。
「恥ずかしいって…ねぇ電気消してってほん…」
「電気消すのはおかしいだろ」
「せめて間接照明でムードとかぁ…」
「バカな事言ってんじゃねぇよ」
手袋の嵌まっていない方の手が伸びてきて、俺の頭を軽く小突く。右腕で顔を覆っていたからその衝撃を予測できなくて、触れられた瞬間思いのほか身体が跳ねた。
「んッ…」
鼻に掛かった声が漏れた俺に、男の呆れた溜息が重なる。
「あのなぁ…」
「俺だって解ってるよバカ!」
処置を終えた手袋を裏返しにしながら外す男の腕を悔し紛れに叩き返して、その手で膝の間のズボンを引き上げた。色んな事がどうでもいい俺にだって、多少の感情ぐらいはあるから。
「終わり」
「もう俺お嫁に行けない…」
「お前が黙ってりゃ良いだけの事だろ」
「乗ってこいよ恥ずかしいんだよ」
ズボンを腰まで上げる為に尻を浮かせたら、さっさとしまえとばかりに軽く叩かれて。あくまで俺と楽しい会話などするつもりのない様子の男は、殆どその後の俺に見向きもしないで立ち上がった。
サイドテーブルの紙袋とビニールのなにか、雑多な屑ごみを集めてひとまとめにしたらそのまま俺に背を向けて。
「返事明日聞きに来るわ、ちょっとは悩みたいだろ」
「えっ…」
「なに」
「帰っちゃうの…?」
「気持ち悪い事言うな」
「さみしいじゃん」
「お前なぁ…」
呆れた、とばかりに盛大な溜息。天井を見上げて一呼吸した男が踵を返してこっちへ戻って来たら。
「どういうつもり?誘ってんの?」
「誘ってはない、けど」
男が膝を付いて乗り上げてきたから、ぎし、とまた安いパイプベッドのスプリングが軋んで。
「俺があいつらと一緒だったらどうすんの」
「…」
「…なんで黙んの」
「いや、別に…一緒だったらどうしようかなって」
「その程度かよ」
「…まぁ」
よく見たらめっちゃまつ毛が長いとか、ほっぺたにちょんちょん、てホクロがあんな、とか。唇薄くって色が白いなとか、なんとなく自分のガタイとかと比べてでも全然華奢じゃないな身体作ってんなって、筋トレバカの頭がまたどうでもいいような事つらつら考えて、それで。
「寝ろ、バカ」
何回バカって言われんだろ俺、てまたどうでもいいことを思ったら、額から瞼に掛けてを手のひらで覆われて視界を奪われた。
「超眠いの、俺」
「だろうな」
ほんの数秒だったと思うのに。急に思考がまどろんで、意識がふわりと浮く感じ。
あったかい、手のひらから瞼に伝わる熱が、少しづつ薄れていって。
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