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警視総監木村泰治
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警視総監木村泰治はこの手紙を受け取って何度か読み返して読んだ。
警察官内の不祥事については何時も部下に口をがすっぱくなるほど毎回注意しながら観察してきたつもりであったが、内部機密が漏れているのではないかとこのところ噂されていた。
特に地面師詐欺の捜査での失態続きは目を塞ぎたくなるような事態だった。
それに木村は小比類巻警視正が殺された事に不信感を持っていたのも現実だった。
このままでは警察内部の統制を整えるどころか多大な混乱をも招きかねないと切に感じていたのだ。
そこで木村は自分が最も信頼している部下坂本晶に連絡をした。
坂本は警視長という役職でしかも自分の大学の後輩にあたる。
木村が京大の四年生だった時に一年で入ってきたのが坂本だった。
当時は全く付き合いなどはなかったのだが、お互い警察官になりエリートの道を歩んでいき出した頃から顔見知りになり同じ大学出身ということもあって意気投合したのだった。
木村は京大出だが、警視総監になった人物の殆どは東大出である。
余程成績が良かったのと前の警視総監から気に入られていた事が警視総監まで上り詰めた事に他ならなかった。
その木村から気に入られていたのが坂本だった。
坂本が警視監になるのは時間の問題であるといわれていたのだ。
木村は警視総監の部屋に坂本を呼んだ。
警察内では一番位の高い方からの声かけに、何を置いてもすぐに駆けつける坂本であった。
ノックをして部屋に入った坂本に机の上に置いていた小比類巻綾香から来た手紙をそっと差し出した。
「警察内部に漏洩する人物がいるのではないかとこの何年間か言われ続けているのは君の耳にも入っているだろう」
木村はそういった後、机の上に置いてあったお茶を一口飲みこう言い続けた。
「この手紙は小比類巻警視正の娘さんから届いたものだ。
小比類巻くんが死んでから二年の時間が経ったが、娘さん二人は今なお苦しんでらっしゃる。
判決が下りた事件だがこの手紙が真実ならば、もう一度一から調べなければならん。
ただし、この手紙にも書いてあるように内部の誰かが動かしている事は十分に考えられるので、君と木村警部補とで他の部署には内密で調べ上げてほしいのだ」
木村警視総監は坂本に木村警部補と組んで事件の再捜査と小比類巻家の警備を命じた。
木村警部は木村警視総監の息子で、木村大地という名で去年東京大学を出て警察官になった。
キャリア組の為、最初から警部補という地位につくことになる。
木村警視総監は絶大な信頼を寄せる坂本と息子の大地にこの件を任せることにした。
この二人ならば任せられると自信を持っての起用だった。
木村大地はまだ二年目であったが、大学時代から成績は常にトップクラスで警察官になっても一生懸命に警察官の手本になるように仕事をしている自負を持っていた。
坂本からこの話を聞いた時に警察官になった時からあった官内の不祥事の噂は本当かも知れないと切に感じて、坂本警視長と内密にこの件を調べる事を快諾したのだった。
木村警視総監は坂本に「小比類巻綾香さんには私の方から調べを始めることは知らせておく。
小比類巻家の盗聴器の件から先ずは調べてやってくれ!
何ぶん大分、怯えているようだったからもう安心するように伝えてくれ」
そう言って小比類巻家に手紙を書き出した。
警察官内の不祥事については何時も部下に口をがすっぱくなるほど毎回注意しながら観察してきたつもりであったが、内部機密が漏れているのではないかとこのところ噂されていた。
特に地面師詐欺の捜査での失態続きは目を塞ぎたくなるような事態だった。
それに木村は小比類巻警視正が殺された事に不信感を持っていたのも現実だった。
このままでは警察内部の統制を整えるどころか多大な混乱をも招きかねないと切に感じていたのだ。
そこで木村は自分が最も信頼している部下坂本晶に連絡をした。
坂本は警視長という役職でしかも自分の大学の後輩にあたる。
木村が京大の四年生だった時に一年で入ってきたのが坂本だった。
当時は全く付き合いなどはなかったのだが、お互い警察官になりエリートの道を歩んでいき出した頃から顔見知りになり同じ大学出身ということもあって意気投合したのだった。
木村は京大出だが、警視総監になった人物の殆どは東大出である。
余程成績が良かったのと前の警視総監から気に入られていた事が警視総監まで上り詰めた事に他ならなかった。
その木村から気に入られていたのが坂本だった。
坂本が警視監になるのは時間の問題であるといわれていたのだ。
木村は警視総監の部屋に坂本を呼んだ。
警察内では一番位の高い方からの声かけに、何を置いてもすぐに駆けつける坂本であった。
ノックをして部屋に入った坂本に机の上に置いていた小比類巻綾香から来た手紙をそっと差し出した。
「警察内部に漏洩する人物がいるのではないかとこの何年間か言われ続けているのは君の耳にも入っているだろう」
木村はそういった後、机の上に置いてあったお茶を一口飲みこう言い続けた。
「この手紙は小比類巻警視正の娘さんから届いたものだ。
小比類巻くんが死んでから二年の時間が経ったが、娘さん二人は今なお苦しんでらっしゃる。
判決が下りた事件だがこの手紙が真実ならば、もう一度一から調べなければならん。
ただし、この手紙にも書いてあるように内部の誰かが動かしている事は十分に考えられるので、君と木村警部補とで他の部署には内密で調べ上げてほしいのだ」
木村警視総監は坂本に木村警部補と組んで事件の再捜査と小比類巻家の警備を命じた。
木村警部は木村警視総監の息子で、木村大地という名で去年東京大学を出て警察官になった。
キャリア組の為、最初から警部補という地位につくことになる。
木村警視総監は絶大な信頼を寄せる坂本と息子の大地にこの件を任せることにした。
この二人ならば任せられると自信を持っての起用だった。
木村大地はまだ二年目であったが、大学時代から成績は常にトップクラスで警察官になっても一生懸命に警察官の手本になるように仕事をしている自負を持っていた。
坂本からこの話を聞いた時に警察官になった時からあった官内の不祥事の噂は本当かも知れないと切に感じて、坂本警視長と内密にこの件を調べる事を快諾したのだった。
木村警視総監は坂本に「小比類巻綾香さんには私の方から調べを始めることは知らせておく。
小比類巻家の盗聴器の件から先ずは調べてやってくれ!
何ぶん大分、怯えているようだったからもう安心するように伝えてくれ」
そう言って小比類巻家に手紙を書き出した。
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