詐欺るシリーズ「冤罪！幾重にも塗り替えられた真実」

決闘❷

足を撃たれて助走のスピードが落ちたジェーンだったが、屋上から真っ逆さまには落ちることはなかった。
だが、かなり近くに落下する可能性が高いと思われた。
最後に残った吉沢だったが、装備をするのに手間取り後から屋上に上がって来たメンバーに取り押さえられたのだった。
大地はすぐに下と連絡を取り、着地しそうな位置を指示して急いでエレベーターで下に降りた。
既に怜子と澤口はメンバーが取り押さえていて残りはジェーン一人となった。
あのスピードではそんなに遠くまでは行けるはずはない。
しかも太ももに弾丸が当たっているので早く走れる筈もないのだ。
交差点付近に降りたとの情報が屋上のメンバーからあった。
エレベーターで一階に降りた大地と坂本はホテルを出てその方面に急いだ。
「アッ、あそこにいる！」
坂本が叫んだ。
ハングライダーで下りたジェーンは誰かを探している様なそぶりだ。
やがて白のスポーツカーがジェーンの側で止まった。
(仲間か！)
大地らはすぐに無線で車を要請した。
止まった白のスポーツカーに乗り込んだジェーンだったが、明らかに右足を引きずっている様子がわかる。
(何としても逃すわけにはいかない！)
大地はメンバーの運転する車がすぐに到着するとジェーンの車を追った。
ジェーンのブレーンが車を用意したのだろう。
逃走用のパラグライダーもそうだが、あまりにも準備が良すぎる。
逃走用の車とそれを運転する奴も予め用意していたのだった。
坂本は「白のスポーツカー、品川ナンバー0069。繰り返す！品川ナンバー0069の白のスポーツカー！
見つけ次第止めて、確保する事。
少々壊してもかまわん！
必ず捕まえてくれ！」
近くの全てのパトカーに行きそうな方向の道を全てチェックして、緊急配備につく様に指示を出した。
前方百メートルほどにジェーンの車が見えた。
サイレンを車の上段に付けて大きな音を鳴らしながらスポーツカーを追った。
辺りを十台以上のパトカーがジェーンの車を逃さない様にしているのだが、
何ぶん前もって配置に着かせるわけにはいかなかったので、すり抜ける様に逃げていく。
それにしてもまるでパトカーがどの辺にいるのかわかている様にも大地には思えた。
ジェーンを乗せた白いスポーツカーはどんどん東京湾方面に走っていく。
「どこに逃げるつもりですかね？」
坂本に語りかけながら車を運転する大地に「この先は東京湾だ。
もしかしたら船で逃げるのかも知れん。
直ぐにそちらにパトカーを配備しなくては…」
坂本は無線で近くの全パトカーに東京湾に集結する様に告げた。