詐欺るシリーズ「冤罪!幾重にも塗り替えられた真実」

黒崎伸一郎

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決闘❸

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包囲網をくぐり抜けながらジェーンの車は東京湾に着いた。
少し離されながらも付いて行った大地の車も追いついた。
湾岸についた車からジェーン一人が降りて海岸に止めていたボートに乗った。
このボートもジェーンが逃走用に用意していたものだった。
運転手の男は帽子とマスク、眼鏡をかけていて遠くからは誰だか全くわからない。
車はUターンをしてどこかに行こうとしていたが、それを追うわけにはいかない。
ジェーンをみすみす逃がしてしまうことになるからだ。
大地と坂本は辺りを見渡しすぐに動けそうな船を探した。
すると一つだけ掃除をしているボートを見つけた。
「警察だ!
少しこのボートを借りれないか?」
と蹲って掃除をしていた若い男性に告げた。
「ボートは運転できますか?」
警察と聞いて男性が問いただした。
二人は二度三度首を横に振った。
それを見た男性は「なら、僕が運転しましょう。
そう言って、ジェーンが乗って行ったボードより少し小型のボートのエンジンをかけた。
ジェーンを乗せたボートは既に沖へと向かっていた。
「それはありがたい!
あのボートを追ってください!」
大地が前方に猛スピードで沖に向かっていた大型ボートを指さした。
「了解!僕は佐藤と言います」
男性は右の親指をたててオッケーサインを出した。
ジェーンのボートは物凄い音を立てて大地らを離そうとする。
「向こうのボートはジェットエンジン搭載ですね…!」
ジェットエンジンとは噴流を生成し、その反作用を推進に利用する熱機関である。
主に航空機やミサイルに使用されているものだ。
瞬時に離されていく。
だが、今日は風が強く波が異常に高い。
「あまり飛ばしすぎると転覆する恐れがあります」
あくまでも転覆をしない様に運転をしなくてはならないと佐藤は話しながらハンドルを握っていた。
確かに、これほど波が高くてはスピードを出しすぎると転覆する可能性は高い。
少しジェーンとは離れた格好になった。すると、その上空からヘリコプターが近づいてくる。
ジェーンは最初からボートで逃げ切るつもりはさらさら無く、ヘリコプターで逃げるつもりだったのだ。
おそらく車を運転していた奴がヘリコプターを何処か近くに隠していて、ジェーンと逃げるつもりだったのだろう。
大地と坂本はボートに乗る前に海上警察と連絡を取り、ジェーンを追い詰めるつもりだったのに全く裏をかかれた状態になった。
このままではヘリコプターに乗り込まれて逃げられてしまう。
ヘリコプターはジェーンのボートの真上に来た。
(逃げられる…!)
大地はジェーンのボートと自分が乗っているボートの距離を考えて、一瞬そう思ったのだった。
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