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1話  妹は自分が世界の頂点お姫様だと思っているようです

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 「お姉様のバンスクリップ頂戴お姉様」
妹のリクルエは私の物でも他人の物でもなんでも欲しがります。
 「嫌よ、なんで貴女に私のバンスクリップをあげないといけないのかしら」
 「何でよ。私が頂戴と言っているのだから、差し出せばいいのよ」
 はぁー。妹は世界が己を中心に回っていると思っているようです。
世界は貴女を中心に回っているわけではないんですよ。
なんでそんな当たり前の事も分からないんでしょうか。
両親に甘やかされて育ったので自分を世界の頂点お姫様だとでも誤解してるのでしょうか。
貴女はただのオリオル男爵家次女リクルエなのですよ。
世界の頂点お姫様どころかお姫様でもありません。
勉強からも訓練からも逃げて5歳の子供でもできている行儀作法もできないのですから。
妹を妻にしたいという貴族なんて誰もいません。
 「差し出さないわ。なんで望む者が全部与えられると思っているのかしら。
この世界は貴女を中心に回っているわけではないわ。
世界は貴女が望めばそう動くように創られているとでも思っているのでしょうか。
思っているのでしょうね。
 「お姉様って馬鹿なのね。私が望めばその通りにならないといけないわ。
だって、世界は私を中心に回っているのだから」
 もう嫌です。疲れました。私はなんでこんなにも不幸なのでしょうか。
妹にも両親にもいじめられ、使用人にもぞんざいな扱いを受けてきました。
両親が私をいじめぞんざいに扱うので、使用人も私の事をぞんざいに扱ってもオリオル男爵家夫妻が
気にもしないだろうと思っているのでしょう。
事実、お父様お母様は私が使用人にぞんざいに扱われても気にもしませんでした。
私は世界一不幸なのです。きっといつか誰かが私を助けてくれます。
私はそれを待って耐えてきたかわいそうな女性なのですが、もう耐えきれそうにありません。
始めて、私は妹に思っているそのままの事を言ってみようと思います。
今まで妹も両親の事も怖くて、思う事も言えませんでした。
 「世界は貴女を中心に回っているわけではないわ。そんな事も分からないの。
もう死んで頂戴。私を今までいじめて苦しめてきたのだから、その罪を償って腹割いて介錯無しで死ぬのが
当然の謝罪ですよね。
貴女のように逆切れクソ女が自分の過ちを認めてすなおに謝って更生する事なんてできないでしょう。
できるならそれもいいですけれど、できないでしょうから腹割いて介錯無しで死ねと言っているんですよ」
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