4 / 7
同業者
しおりを挟む
どのエリアにも配達員はいる。それは「配達」というものがある限り、人がネットで物を頼む限り、必然的に絶対的にあるものだ。このエリアの配達員は何人かいて、そのうちの一人は中々のお年寄りで通常なら定年していてもおかしくなさそうな人だった。だが、今日見かけたら、彼はもうおらず、若い女性になっていた。制服が彼と同じだったので、彼の代わりだということはすぐにわかったというのが理由だが、女性は珍しいのでわかりやすい。頑張れと心の中で応援した次の瞬間、彼女の手から次々と荷物が零れ落ち、散らばった。周りに人はおらず、ここで見捨てるのもさすがに可哀想なので手伝いに行った。
「あ、ありがとうございますう」
おっとりとした喋り方で、雰囲気がちよちよさんに似ていた。慣れた手つきですべての荷物を運び終え、そそくさと帰ろうとしたら声をかけられた。
「あ、あの本当にありがとうございます、少し前からこの区域を担当することになりました、菅田ちよと申します」
…さすがに偶然か?
「あ、鈴木です、よ、よろしくお願いします」
仕事意外で人と話すなんて、現実世界では久しぶりなため、きょどってしまった。
だいぶ気持ち悪かっただろうが、慣れているのか笑顔で接してくれた。
「まだ慣れてないので、ご迷惑かけるとおもいます、すみません…」
「あ、いや、わかります、俺も最初はそんなものだったし」
「鈴木さんも配達員なんですかあ?」
「え、ええ、まあ、エリアはだいぶ遠いですが」
「すごいですねえ!なんて偶然!じゃあわかんないことがあったらいっぱい聞いちゃいますねえ」
「あ、はい」
「では、またですう」
忙しなく配達先へとかけていった。
名前と喋り方だけではまだ断定はできない。なにせ、バーチャルな世界だ、喋り方なんてどうにでもなるし、ましてや声なんて汚いおっさんが可愛いアイドルのような声を出すことも可能だ。現実世界で知り合いを見つけるなんて、星のかけらを探すようだ。…多分。
そんな事を考えながら、スーパーで買い物を済ませ、商店街を歩いていると、50メートル先に、綺麗ない女性が見えた。長く青い髪に、身長が高く、猫耳を生やした人外だ。それを見つけた瞬間、俺は急いで競歩選手のような速度で来た道を違和感なく戻ろうとした、が、遅かった。
50メートルほど先にいた人物がいつのまにか真後ろにいた。それは人では決してなし得ない速さで、そしてそれは人でないものにしか出せない速度だった。
「なぜ、逃げる」
即座に笑顔を作り振り向き早口で言い訳した。
「嫌だなあそんなことするわけないじゃないですかはははー」
「…そうか。今日休みなのになぜ外にいる?そんなに配達したいのか?」
「…そんなわけないじゃないですか。買い物ですよ、買い物。…シュビルさんこそ、シフト上では今日休みでは?」
「一人風邪で欠勤でな、代わりに出なくてはならなくなった」
「はあ、まあそれはお疲れ様です」
「うむ、キチンと休んで、明日も頼むぞ」
そういい、すらっとした長い足で、颯爽と去っていった。
彼女は獣人族のシュビルさん、俺の上司だ。耳以外は人と同じ容姿だが、身体能力がすごく、徒競走では絶対に勝てないだろう。基本的に苦手、という種族はないが、彼女は少し別だ。上司というのもあるが、口調が少しキツく、美人で近寄り難い。見てる分にはいいが、仲良くはできなさそうである。どちらかというと、菅田さんのようなふわふわした人の方が好ましい。まあ俺の好みはどうでもいい。せっかくの休みに上司と会うのは中々疲れる物である。家から少し離れた本屋に行き、誰にも会わないよう最新の注意を払いながら家に戻った。すると、再びメールが来て、ちよちよさんの仕事が早めに終わったので、狩へのお誘いだった。上司との嫌な出会いはすぐに忘れ、バーチャルの世界へと旅立った。
「あ、ありがとうございますう」
おっとりとした喋り方で、雰囲気がちよちよさんに似ていた。慣れた手つきですべての荷物を運び終え、そそくさと帰ろうとしたら声をかけられた。
「あ、あの本当にありがとうございます、少し前からこの区域を担当することになりました、菅田ちよと申します」
…さすがに偶然か?
「あ、鈴木です、よ、よろしくお願いします」
仕事意外で人と話すなんて、現実世界では久しぶりなため、きょどってしまった。
だいぶ気持ち悪かっただろうが、慣れているのか笑顔で接してくれた。
「まだ慣れてないので、ご迷惑かけるとおもいます、すみません…」
「あ、いや、わかります、俺も最初はそんなものだったし」
「鈴木さんも配達員なんですかあ?」
「え、ええ、まあ、エリアはだいぶ遠いですが」
「すごいですねえ!なんて偶然!じゃあわかんないことがあったらいっぱい聞いちゃいますねえ」
「あ、はい」
「では、またですう」
忙しなく配達先へとかけていった。
名前と喋り方だけではまだ断定はできない。なにせ、バーチャルな世界だ、喋り方なんてどうにでもなるし、ましてや声なんて汚いおっさんが可愛いアイドルのような声を出すことも可能だ。現実世界で知り合いを見つけるなんて、星のかけらを探すようだ。…多分。
そんな事を考えながら、スーパーで買い物を済ませ、商店街を歩いていると、50メートル先に、綺麗ない女性が見えた。長く青い髪に、身長が高く、猫耳を生やした人外だ。それを見つけた瞬間、俺は急いで競歩選手のような速度で来た道を違和感なく戻ろうとした、が、遅かった。
50メートルほど先にいた人物がいつのまにか真後ろにいた。それは人では決してなし得ない速さで、そしてそれは人でないものにしか出せない速度だった。
「なぜ、逃げる」
即座に笑顔を作り振り向き早口で言い訳した。
「嫌だなあそんなことするわけないじゃないですかはははー」
「…そうか。今日休みなのになぜ外にいる?そんなに配達したいのか?」
「…そんなわけないじゃないですか。買い物ですよ、買い物。…シュビルさんこそ、シフト上では今日休みでは?」
「一人風邪で欠勤でな、代わりに出なくてはならなくなった」
「はあ、まあそれはお疲れ様です」
「うむ、キチンと休んで、明日も頼むぞ」
そういい、すらっとした長い足で、颯爽と去っていった。
彼女は獣人族のシュビルさん、俺の上司だ。耳以外は人と同じ容姿だが、身体能力がすごく、徒競走では絶対に勝てないだろう。基本的に苦手、という種族はないが、彼女は少し別だ。上司というのもあるが、口調が少しキツく、美人で近寄り難い。見てる分にはいいが、仲良くはできなさそうである。どちらかというと、菅田さんのようなふわふわした人の方が好ましい。まあ俺の好みはどうでもいい。せっかくの休みに上司と会うのは中々疲れる物である。家から少し離れた本屋に行き、誰にも会わないよう最新の注意を払いながら家に戻った。すると、再びメールが来て、ちよちよさんの仕事が早めに終わったので、狩へのお誘いだった。上司との嫌な出会いはすぐに忘れ、バーチャルの世界へと旅立った。
0
あなたにおすすめの小説
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
三回目の人生も「君を愛することはない」と言われたので、今度は私も拒否します
冬野月子
恋愛
「君を愛することは、決してない」
結婚式を挙げたその夜、夫は私にそう告げた。
私には過去二回、別の人生を生きた記憶がある。
そうして毎回同じように言われてきた。
逃げた一回目、我慢した二回目。いずれも上手くいかなかった。
だから今回は。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる