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人間とそれ以外
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次の日仕事場に行くと、そこには菅田さんがいた。別の配達業者だが、近くのエリアだと、荷物を受け取る場所が同じなため、何十社という配達員がいる。
「あ、あの時の!えっとお、鈴木さん!」
「菅田さん、ですよね、お疲れ様です」
「あ、お疲れ様です!あの時は本当にありがとうございました!今日はお仕事なんですね?」
「ええ、菅田さんも連日お疲れ様です」
今日は仕事モードができていた為、テンパらずに話せた。
「そうなんです、ほんとは昨日休みだったんですけど、人手不足で駆り出されちゃって…嫌になっちゃいます」
「それはそれは…」
言い淀んだのは、大変だなーっという気持ちのほかに、ここまで偶然が重なるか?という動揺のためだ。
「あ、すみません、愚痴っちゃって…お互い頑張りましょう!」
そういい去っていった。
次会った時は、ゲームをやっているかどうか聞こう、そう誓った。
「ゲームならやっているぞ」
再び真後ろから声が聞こえ、聞いてもいないのに答えてきた。どうやら、心の声が漏れていたらしい。
「あ、お疲れ様です、そうなんすね、なんの種類すか?」
「ハンティング、だ」
「お、俺もやってますよ、あれ楽しいですよね」
「そうだな」
プライベートな話をしたのが初めてだからか、普段見せないふっと気が緩んだ笑顔をみせた。
だが、あまり深掘りされてアカウントまで聞かれたら誤魔化すのがめんどくさいため、さっさと仕事に行った。
その日は仕事が早めに終わったため、ゲームにログインして、欲しい装備を購入するために、レベル上げのためモンスターを狩っていた。このゲームでは、装備品はレベルによって装備できるものとできないものがあるのだ。
一通り決めたノルマを達成し、草原でのんびり寛いでいたら、ちよちよさんがログインしてきた。
「お疲れ様です!」
いつも通り、ふわふわした可愛らしい格好をして、仕事の愚痴を言い合っていた。
「あ、そういえば、最近仕事で男の人と仲良くなって、すごく楽しいんですよ!」
「へ、へえ、どんな男の人なんです?」
一瞬どきっとしてきょどってしまった。
「えっと、まだそんなには話してないんですけど、優しくて周りからの信頼も厚い人です!あんな人が今度会う人だったらいいのに…」
ふぅ…とため息をつき、表情は変わらないが、声のトーンが少し元気がなかった。
「ああ、そういえば会うの今週末って言ってましたよね、そんなに嫌なら断れば良いんじゃないですか?」
「ん、それも考えたんだけど、家族に迷惑がかかるし、それに私もそろそろいい歳だからそーゆーの考えないとなって…。家族にも心配かけてるし」
「…そんなもんなんですねえ…男の俺もよく言われますけど、結構無視しちゃってますよ笑」
「ふふふ、まあこーゆーことがない限り、男の人と仲良くなるって結構難しいんですよね…。私近寄り難いらしくて…」
なるほど、まあもしほんとにちよちよさんが菅田さんであれば、可愛らしくふわふわとした容姿は一部の男性からは好かれそうだが、苦手とする人は多いかもしれない。
「ま、どうせ行くなら美味しい料理でも楽しんできます!」
「料理がおいしいところでやるんすか?」
「そうそう、〇〇旅館ってところ」
「超絶有名店じゃないっすか!それは料理が楽しめそうですね!」
「…そうですね!料理の写真撮ったら、ここに載っけますね!」
「うわあ、飯テロじゃないっすか!お腹空いてきちゃいますよ…今家に何にもないのに…」
「あ、一人暮らしって言ってましたもんね…。料理とかしないんですか?」
「しようと思えば多分できるとは思うけど、めんどくさくてwちよちよさんはするんです?」
「小さい頃から仕込まれてはいるので、大抵の家事と簡単な料理はできますよ」
「完璧じゃないですか、いい奥さんになれそうですね!」
そういうと、少し顔が曇り直後には笑顔でそうですね、と言った。
「まあ、そのお見合いが上手くいかなくても、いざという時俺がいますから!いつでも戻ってきてください」
特に他意はないが、驚いた顔をして、慌てていた。
「?」
「え、と、じゃあもし、売れ残ったらちゃんと引き取ってくださいね?」
「?…………!!」
他意はなかったのだが、たしかに文面的に見ればプロポーズしているようだった。
本当に他意はなかったのだが、ちよちよさんならまったく問題ないとは常々思っていた。
「あ」
「あ、じゃあそろそろ落ちますね!お疲れ様です!」
返事をしようとした瞬間そういい、ログイン時間5分で去っていった。
ログアウトしたあと、しばらくぼーっとしていた。今までちよちよさんを、そもそもゲームの相手を恋愛対象として考えた事はないし、これからもないと思っている。
だが、もしちよちよさんが女性で現実にいて、それが菅田さんのような人だったら、話は変わってくる。
おれも別に彼女がいらないわけではない、むしろ欲しいのだが、ゲームに休みの大半を費やすため、恐らく普通のお付き合いはできないと思う。あと、普通に女性が苦手っていうのもある。
その辺を加味したうえで、ちよちよさんみたいな人がいれば、もちろんお付き合いしたい。
次にまたログインしたときに、冗談まじりに返事でもしておこう。
そう気楽に考えていた。
後回しにした事を後悔することになると知らずに。
「あ、あの時の!えっとお、鈴木さん!」
「菅田さん、ですよね、お疲れ様です」
「あ、お疲れ様です!あの時は本当にありがとうございました!今日はお仕事なんですね?」
「ええ、菅田さんも連日お疲れ様です」
今日は仕事モードができていた為、テンパらずに話せた。
「そうなんです、ほんとは昨日休みだったんですけど、人手不足で駆り出されちゃって…嫌になっちゃいます」
「それはそれは…」
言い淀んだのは、大変だなーっという気持ちのほかに、ここまで偶然が重なるか?という動揺のためだ。
「あ、すみません、愚痴っちゃって…お互い頑張りましょう!」
そういい去っていった。
次会った時は、ゲームをやっているかどうか聞こう、そう誓った。
「ゲームならやっているぞ」
再び真後ろから声が聞こえ、聞いてもいないのに答えてきた。どうやら、心の声が漏れていたらしい。
「あ、お疲れ様です、そうなんすね、なんの種類すか?」
「ハンティング、だ」
「お、俺もやってますよ、あれ楽しいですよね」
「そうだな」
プライベートな話をしたのが初めてだからか、普段見せないふっと気が緩んだ笑顔をみせた。
だが、あまり深掘りされてアカウントまで聞かれたら誤魔化すのがめんどくさいため、さっさと仕事に行った。
その日は仕事が早めに終わったため、ゲームにログインして、欲しい装備を購入するために、レベル上げのためモンスターを狩っていた。このゲームでは、装備品はレベルによって装備できるものとできないものがあるのだ。
一通り決めたノルマを達成し、草原でのんびり寛いでいたら、ちよちよさんがログインしてきた。
「お疲れ様です!」
いつも通り、ふわふわした可愛らしい格好をして、仕事の愚痴を言い合っていた。
「あ、そういえば、最近仕事で男の人と仲良くなって、すごく楽しいんですよ!」
「へ、へえ、どんな男の人なんです?」
一瞬どきっとしてきょどってしまった。
「えっと、まだそんなには話してないんですけど、優しくて周りからの信頼も厚い人です!あんな人が今度会う人だったらいいのに…」
ふぅ…とため息をつき、表情は変わらないが、声のトーンが少し元気がなかった。
「ああ、そういえば会うの今週末って言ってましたよね、そんなに嫌なら断れば良いんじゃないですか?」
「ん、それも考えたんだけど、家族に迷惑がかかるし、それに私もそろそろいい歳だからそーゆーの考えないとなって…。家族にも心配かけてるし」
「…そんなもんなんですねえ…男の俺もよく言われますけど、結構無視しちゃってますよ笑」
「ふふふ、まあこーゆーことがない限り、男の人と仲良くなるって結構難しいんですよね…。私近寄り難いらしくて…」
なるほど、まあもしほんとにちよちよさんが菅田さんであれば、可愛らしくふわふわとした容姿は一部の男性からは好かれそうだが、苦手とする人は多いかもしれない。
「ま、どうせ行くなら美味しい料理でも楽しんできます!」
「料理がおいしいところでやるんすか?」
「そうそう、〇〇旅館ってところ」
「超絶有名店じゃないっすか!それは料理が楽しめそうですね!」
「…そうですね!料理の写真撮ったら、ここに載っけますね!」
「うわあ、飯テロじゃないっすか!お腹空いてきちゃいますよ…今家に何にもないのに…」
「あ、一人暮らしって言ってましたもんね…。料理とかしないんですか?」
「しようと思えば多分できるとは思うけど、めんどくさくてwちよちよさんはするんです?」
「小さい頃から仕込まれてはいるので、大抵の家事と簡単な料理はできますよ」
「完璧じゃないですか、いい奥さんになれそうですね!」
そういうと、少し顔が曇り直後には笑顔でそうですね、と言った。
「まあ、そのお見合いが上手くいかなくても、いざという時俺がいますから!いつでも戻ってきてください」
特に他意はないが、驚いた顔をして、慌てていた。
「?」
「え、と、じゃあもし、売れ残ったらちゃんと引き取ってくださいね?」
「?…………!!」
他意はなかったのだが、たしかに文面的に見ればプロポーズしているようだった。
本当に他意はなかったのだが、ちよちよさんならまったく問題ないとは常々思っていた。
「あ」
「あ、じゃあそろそろ落ちますね!お疲れ様です!」
返事をしようとした瞬間そういい、ログイン時間5分で去っていった。
ログアウトしたあと、しばらくぼーっとしていた。今までちよちよさんを、そもそもゲームの相手を恋愛対象として考えた事はないし、これからもないと思っている。
だが、もしちよちよさんが女性で現実にいて、それが菅田さんのような人だったら、話は変わってくる。
おれも別に彼女がいらないわけではない、むしろ欲しいのだが、ゲームに休みの大半を費やすため、恐らく普通のお付き合いはできないと思う。あと、普通に女性が苦手っていうのもある。
その辺を加味したうえで、ちよちよさんみたいな人がいれば、もちろんお付き合いしたい。
次にまたログインしたときに、冗談まじりに返事でもしておこう。
そう気楽に考えていた。
後回しにした事を後悔することになると知らずに。
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