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80.昔の思い出と恵まれた今
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ジョセフのスキンシップが終わってぐったりしながら冷めた紅茶を飲む。
とは言っても腰に手が回されているので距離はいまだに近いが、嫌がったらキスラッシュが来そうなので黙って抱かせている。
「誰も来なくて良かった」と溜息と一緒に出すと、ジョセフが軽く笑った。
「この温室は入り口は一か所だけだし唯一の入り口には護衛が立っているし人は通さないように言ってるから、人が来るなんて、そうそうないよ」
勢いよく顔をジョセフに向けるといい笑顔をしていた。
してやられた…俺はジト目でジョセフを睨みつけた。
「先言えよ!」
「でも用事があれば護衛が入ってくるから、いつ来るかわからないのは確かだがな」
だから念のために俺をアンジェと呼んでいたのか…でもそう言ってくれれば良いものを…
「レオナルド殿下が先に来ていたみたいな事もあるだろうし普段は出入り自由ってこと?」
「いや、普段は施錠してある。誰でも入り込めたら危ないだろ?とは言っても、此処を任されている庭師は毎日出入りするから鍵を持ってるし、侍従長と侍女長がそれぞれ鍵を管理しているんだ。入りたいときはどちらかに言って鍵を借りないといけない」
「でも俺が来たときは鍵開けてなかったと思うけど」
「レオンがいたからだろう。レオンは花を見るのが好きだからな庭師とも仲がいいし、入れてもらったんだろう。お前を送った後に俺の侍従が侍従長に報告したらしいからな。侍従長から庭師に話が行ってレオンが温室にいると分かってレオンを探していた者たちに伝わり迎えに来たんだろう」
レオナルド殿下って花好きなのか。まあ似合うな。淡い色とか可愛い小花が似合うよなーと思いながら横を見る。
こっちは派手な花が似合いそうだな…赤い薔薇とか…まあ花はあんまり詳しくないからな…令嬢としては少しでも知っておく方が良いのかな…
そう言えばクラスメイトに花に詳しい奴がいたっけ。
園芸部に入ってたし。少しおとなしいタイプで口数は少ない方だったけど花の事になると饒舌になって…
「…?どうした?」
「前世に花に詳しい奴がいたなーって思い出してさ」
「…ラノフか?」
いや、なんで機嫌悪くなってるんだ?ジョセフの中で前世=豊になってるな。
ジョセフと俺は幼馴染で親友だって納得しただろうにいつまで引きずってるんだこいつ。
「違う別の奴。ご学友だよ。たまたま隣の席で話す機会が多かったんだ」
「…もしや、そいつの事好きだったとか言わないだろうな?」
「なんでそうなるんだよ。学友だって言ってるだろ」
ジョセフの問いに呆れつつ返す。
「お前が心配することはないから安心しろよ。初恋はお前だ…か……」
そこまで言ってハッとなり、慌てて口を噤んだがもう遅い。
横を見るといつもの嬉しそうな眩しい笑顔を向けられていた。
「俺が初恋だったのか」
そう言って俺を抱きしめてきたジョセフが幸せそうで、まあいいかと思ってしまって自分も大分惚れ込んでるなーと、しみじみ思った。
抱き締められながら、ドクドクと何時もより早く動き音が大きく感じる心臓に俺は今、生きている事を実感している。
両親が居て、兄が居て友達が居て……好きな人も出来た。
下手したら前世より人生を謳歌してるかもしれない。
俺が死んだのは秋だった。夏休みのだらけも取れて朝晩は涼しくなり始めた時期。
高校には中学が同じ友人は二人居て、一人は小学中学年ぐらいからで、一人は中学で出会ってそれからは豊も入れて四人で何時もふざけつつ楽しかった。
豊だけ高校は進学校に行ってしまったが、残りの二人は同じ高校だった。
でもクラスは離れてしまっていたから、昼休み以外はクラスの奴と話していたけど、隣のアイツにも、そんな感じで話しかけてた気がする。
二学期に入ってすぐ席替えがあってそいつと席が離れてから、挨拶ぐらいはしてたけど、めっきり話さなくなっていた。
今思うとあんまりクラスの奴らと溶け込もうとしてなかった気もするな。
もっと仲良くなってたら花の事を教えてもらえただろうか………
いや無いな。まず前世の俺が花を詳しくなりたいなんて思うわけなかったわ。
そういや、アイツの名前なんだったかな……
思い出そうと唸ってたら、頬を指でつつかれた。
「アキラ、俺といるのに考え事か?」
「あ、ごめん。放置するつもりは……ちょっと令嬢として花に少しは詳しくなった方がいいかなーとか思って……ジョセフ詳しい?」
「多少は分かるが、胸を張れるほど詳しいわけではない。植物系はレオンの得意分野で、花が一番ではあるけど、ハーブなども詳しいぞ。アイツのブレンドしたハーブティーやハーブを練り込んだ菓子も絶品なんだ」
「なにそれ気になる」
話を聞いてヨダレが垂れそうになる。
甘いのそこまで好きじゃないジョセフが絶品とか言うなんてよっぽど旨いんだろうな!
て言うか王子なのにお菓子焼いたりハーブティーを自分でブレンドしたりするとかびっくりだ。
なるほど、レオナルド殿下は乙女男子ってやつか!
とは言っても腰に手が回されているので距離はいまだに近いが、嫌がったらキスラッシュが来そうなので黙って抱かせている。
「誰も来なくて良かった」と溜息と一緒に出すと、ジョセフが軽く笑った。
「この温室は入り口は一か所だけだし唯一の入り口には護衛が立っているし人は通さないように言ってるから、人が来るなんて、そうそうないよ」
勢いよく顔をジョセフに向けるといい笑顔をしていた。
してやられた…俺はジト目でジョセフを睨みつけた。
「先言えよ!」
「でも用事があれば護衛が入ってくるから、いつ来るかわからないのは確かだがな」
だから念のために俺をアンジェと呼んでいたのか…でもそう言ってくれれば良いものを…
「レオナルド殿下が先に来ていたみたいな事もあるだろうし普段は出入り自由ってこと?」
「いや、普段は施錠してある。誰でも入り込めたら危ないだろ?とは言っても、此処を任されている庭師は毎日出入りするから鍵を持ってるし、侍従長と侍女長がそれぞれ鍵を管理しているんだ。入りたいときはどちらかに言って鍵を借りないといけない」
「でも俺が来たときは鍵開けてなかったと思うけど」
「レオンがいたからだろう。レオンは花を見るのが好きだからな庭師とも仲がいいし、入れてもらったんだろう。お前を送った後に俺の侍従が侍従長に報告したらしいからな。侍従長から庭師に話が行ってレオンが温室にいると分かってレオンを探していた者たちに伝わり迎えに来たんだろう」
レオナルド殿下って花好きなのか。まあ似合うな。淡い色とか可愛い小花が似合うよなーと思いながら横を見る。
こっちは派手な花が似合いそうだな…赤い薔薇とか…まあ花はあんまり詳しくないからな…令嬢としては少しでも知っておく方が良いのかな…
そう言えばクラスメイトに花に詳しい奴がいたっけ。
園芸部に入ってたし。少しおとなしいタイプで口数は少ない方だったけど花の事になると饒舌になって…
「…?どうした?」
「前世に花に詳しい奴がいたなーって思い出してさ」
「…ラノフか?」
いや、なんで機嫌悪くなってるんだ?ジョセフの中で前世=豊になってるな。
ジョセフと俺は幼馴染で親友だって納得しただろうにいつまで引きずってるんだこいつ。
「違う別の奴。ご学友だよ。たまたま隣の席で話す機会が多かったんだ」
「…もしや、そいつの事好きだったとか言わないだろうな?」
「なんでそうなるんだよ。学友だって言ってるだろ」
ジョセフの問いに呆れつつ返す。
「お前が心配することはないから安心しろよ。初恋はお前だ…か……」
そこまで言ってハッとなり、慌てて口を噤んだがもう遅い。
横を見るといつもの嬉しそうな眩しい笑顔を向けられていた。
「俺が初恋だったのか」
そう言って俺を抱きしめてきたジョセフが幸せそうで、まあいいかと思ってしまって自分も大分惚れ込んでるなーと、しみじみ思った。
抱き締められながら、ドクドクと何時もより早く動き音が大きく感じる心臓に俺は今、生きている事を実感している。
両親が居て、兄が居て友達が居て……好きな人も出来た。
下手したら前世より人生を謳歌してるかもしれない。
俺が死んだのは秋だった。夏休みのだらけも取れて朝晩は涼しくなり始めた時期。
高校には中学が同じ友人は二人居て、一人は小学中学年ぐらいからで、一人は中学で出会ってそれからは豊も入れて四人で何時もふざけつつ楽しかった。
豊だけ高校は進学校に行ってしまったが、残りの二人は同じ高校だった。
でもクラスは離れてしまっていたから、昼休み以外はクラスの奴と話していたけど、隣のアイツにも、そんな感じで話しかけてた気がする。
二学期に入ってすぐ席替えがあってそいつと席が離れてから、挨拶ぐらいはしてたけど、めっきり話さなくなっていた。
今思うとあんまりクラスの奴らと溶け込もうとしてなかった気もするな。
もっと仲良くなってたら花の事を教えてもらえただろうか………
いや無いな。まず前世の俺が花を詳しくなりたいなんて思うわけなかったわ。
そういや、アイツの名前なんだったかな……
思い出そうと唸ってたら、頬を指でつつかれた。
「アキラ、俺といるのに考え事か?」
「あ、ごめん。放置するつもりは……ちょっと令嬢として花に少しは詳しくなった方がいいかなーとか思って……ジョセフ詳しい?」
「多少は分かるが、胸を張れるほど詳しいわけではない。植物系はレオンの得意分野で、花が一番ではあるけど、ハーブなども詳しいぞ。アイツのブレンドしたハーブティーやハーブを練り込んだ菓子も絶品なんだ」
「なにそれ気になる」
話を聞いてヨダレが垂れそうになる。
甘いのそこまで好きじゃないジョセフが絶品とか言うなんてよっぽど旨いんだろうな!
て言うか王子なのにお菓子焼いたりハーブティーを自分でブレンドしたりするとかびっくりだ。
なるほど、レオナルド殿下は乙女男子ってやつか!
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