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83.未来の義弟
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ミシェルと一緒に豊に挨拶してから食堂に向かう事にした。
婚約者以外の男に自ら親しくするのは誤解を生むかなと思ったけど、ミシェルも豊と一緒に居た庶民の皆も対して気にしてなかった。
ジョセフが卒業するまで豊を連れ回していたからのもあるかと思うし、信頼のおける側近候補のお兄様やメイヴィス様も豊を認めていたし、一年の時にシアやミシェルも含め勉強会もしていたことは周知の事実。
そのせいか、周りは豊を王太子殿下が溺愛してる俺の従者候補の存在として認識してるようで、俺が豊を連れ歩いてても周りの反応は然程酷くはない訳だ。
貴族の中には優秀な庶民を従者にして連れてる人もいるから、そんな感じと思われてるのかもしれない……
他の貴族も学年首位の豊を狙ってる奴は多かったようだしな。
まあ自分より頭の良い庶民を従者にするには流石にプライドが邪魔してたようだが……躊躇ってるうちにジョセフが目をかけたから、手が出せなくなったみたいだし。
王太子が庶民を従者にするには眉を寄せる人もいるだろうが、婚約者と言えど俺はまだ辺境伯令嬢だから問題ない。
そのお陰で俺は豊と一緒に居ても然して気に留められない訳だ。
でも豊は従者じゃなくて友達!そこは譲らねぇからな!
他の庶民の男子学友達と心配そうな顔の豊に見送られ、俺とミシェルと共に食堂に向かう前にルナクラスを覗いた。
レティーツィアとエミリーも誘おうと思ったけど、ルナクラス方が終わるのが早かったみたいで、二人は既に帰った後だった。
残念に思いながらも一階に降りると、また朝みたいに人だかりが出来ていた。
嫌な予感がします。
見なかった事にしてミシェルを食堂に急かす。
「あ、アンジェリカ嬢!」
聞こえません!何も聞こえません!
「アンジェリカ嬢!」
空耳だ!これは空耳なんだ!
「アンジェ……呼ばれてますわよ?」
ミシェルううう!空気読んでえええええて!!!
キョトンとした顔で小首を傾げているミシェルに曖昧に笑う。
観念して少し引きつった顔で振り返ると見馴れた顔にそっくりの美少年が此方に向かってきていた。
あんなキラキラした笑顔で駆け寄ってくるなんて、ジョセフにソックリ……
そんな婚約者様より少し濃いめの金髪を煌めかせながら傍まで来たレオナルド殿下に淑女の礼をとった。
レオナルド殿下と気づいたミシェルも礼をとる。
「レオナルド殿下、直ぐに気付かずご足労おかけして申し訳ございません」
「いえ、大丈夫ですよ。皆さんも楽にしてください」
言われて頭をあげるとニッコリ微笑まれた。
ジョセフに顔が似てる分、この笑顔には弱い。
「それにしても会えてよかった。貴女を待っていたんです」
ナンデスト!?
驚いて固まっている俺に不思議そうに首を傾げながらミシェルを見た。
「可笑しな事ですか?」
「い、いえ、その様なことは御座いません」
慌てて否定しながらミシェルは固まってる俺をチラリと見た。
漸く再起動した俺は曖昧に微笑んだ。
「僕はただ、未来の義姉上と仲良くしたいだけなのです。学年が違うので、意識しないと中々会えたりしないかと思って……」
まだ俺とジョセフは結婚した訳じゃないからレオナルド殿下とはまだ義姉弟じゃないけど、その言葉に少し嬉しく思う。
とは言うものの、彼が俺と同じ転生者なのでそれを理由に話せる機会を増やしてるだけかも知れないけど……
「義姉上、この後お時間はありますか?良ければ是非お話がしたいのです」
「えっと……」
王族の誘いを断る訳にはいかないが、先に約束してるのはミシェルだ。
しかも俺から誘ってるのに反故にするのは良くないとミシェルに目線を送るとミシェルは苦笑いを浮かべながら「わたくしなら大丈夫です」と許してくれた。
ミシェルからすれば王族に情けをかけてもらった身として異を唱える事は出来ないのだろう。
あっさりレオナルド殿下に挨拶をして、俺にもまた明日と挨拶をしてから帰ってしまった。
二人きりになってしまったが、周りにいたレオナルド殿下を狙ってるハイエナ……失敬、ご令嬢達の鋭い視線を受けてる。
本当、視線で人殺せたら俺死んでるわー。
このままだと、落ち着いて話をする事も出来ないし移動することにした。
良かったぜ。本当にあの空間怖かった。
流石王族なだけあってレオナルド殿下はスマートにエスコートしようとしてくれたけど、丁寧にお断りした。
ジョセフにバレると怖いんで察してください。すみません。
嫉妬深い婚約者を持つと苦労しますな……
察してくれたレオナルド殿下は苦笑いをしながら先行してくれたので俺は数歩後ろから付いて行った。
婚約者以外の男に自ら親しくするのは誤解を生むかなと思ったけど、ミシェルも豊と一緒に居た庶民の皆も対して気にしてなかった。
ジョセフが卒業するまで豊を連れ回していたからのもあるかと思うし、信頼のおける側近候補のお兄様やメイヴィス様も豊を認めていたし、一年の時にシアやミシェルも含め勉強会もしていたことは周知の事実。
そのせいか、周りは豊を王太子殿下が溺愛してる俺の従者候補の存在として認識してるようで、俺が豊を連れ歩いてても周りの反応は然程酷くはない訳だ。
貴族の中には優秀な庶民を従者にして連れてる人もいるから、そんな感じと思われてるのかもしれない……
他の貴族も学年首位の豊を狙ってる奴は多かったようだしな。
まあ自分より頭の良い庶民を従者にするには流石にプライドが邪魔してたようだが……躊躇ってるうちにジョセフが目をかけたから、手が出せなくなったみたいだし。
王太子が庶民を従者にするには眉を寄せる人もいるだろうが、婚約者と言えど俺はまだ辺境伯令嬢だから問題ない。
そのお陰で俺は豊と一緒に居ても然して気に留められない訳だ。
でも豊は従者じゃなくて友達!そこは譲らねぇからな!
他の庶民の男子学友達と心配そうな顔の豊に見送られ、俺とミシェルと共に食堂に向かう前にルナクラスを覗いた。
レティーツィアとエミリーも誘おうと思ったけど、ルナクラス方が終わるのが早かったみたいで、二人は既に帰った後だった。
残念に思いながらも一階に降りると、また朝みたいに人だかりが出来ていた。
嫌な予感がします。
見なかった事にしてミシェルを食堂に急かす。
「あ、アンジェリカ嬢!」
聞こえません!何も聞こえません!
「アンジェリカ嬢!」
空耳だ!これは空耳なんだ!
「アンジェ……呼ばれてますわよ?」
ミシェルううう!空気読んでえええええて!!!
キョトンとした顔で小首を傾げているミシェルに曖昧に笑う。
観念して少し引きつった顔で振り返ると見馴れた顔にそっくりの美少年が此方に向かってきていた。
あんなキラキラした笑顔で駆け寄ってくるなんて、ジョセフにソックリ……
そんな婚約者様より少し濃いめの金髪を煌めかせながら傍まで来たレオナルド殿下に淑女の礼をとった。
レオナルド殿下と気づいたミシェルも礼をとる。
「レオナルド殿下、直ぐに気付かずご足労おかけして申し訳ございません」
「いえ、大丈夫ですよ。皆さんも楽にしてください」
言われて頭をあげるとニッコリ微笑まれた。
ジョセフに顔が似てる分、この笑顔には弱い。
「それにしても会えてよかった。貴女を待っていたんです」
ナンデスト!?
驚いて固まっている俺に不思議そうに首を傾げながらミシェルを見た。
「可笑しな事ですか?」
「い、いえ、その様なことは御座いません」
慌てて否定しながらミシェルは固まってる俺をチラリと見た。
漸く再起動した俺は曖昧に微笑んだ。
「僕はただ、未来の義姉上と仲良くしたいだけなのです。学年が違うので、意識しないと中々会えたりしないかと思って……」
まだ俺とジョセフは結婚した訳じゃないからレオナルド殿下とはまだ義姉弟じゃないけど、その言葉に少し嬉しく思う。
とは言うものの、彼が俺と同じ転生者なのでそれを理由に話せる機会を増やしてるだけかも知れないけど……
「義姉上、この後お時間はありますか?良ければ是非お話がしたいのです」
「えっと……」
王族の誘いを断る訳にはいかないが、先に約束してるのはミシェルだ。
しかも俺から誘ってるのに反故にするのは良くないとミシェルに目線を送るとミシェルは苦笑いを浮かべながら「わたくしなら大丈夫です」と許してくれた。
ミシェルからすれば王族に情けをかけてもらった身として異を唱える事は出来ないのだろう。
あっさりレオナルド殿下に挨拶をして、俺にもまた明日と挨拶をしてから帰ってしまった。
二人きりになってしまったが、周りにいたレオナルド殿下を狙ってるハイエナ……失敬、ご令嬢達の鋭い視線を受けてる。
本当、視線で人殺せたら俺死んでるわー。
このままだと、落ち着いて話をする事も出来ないし移動することにした。
良かったぜ。本当にあの空間怖かった。
流石王族なだけあってレオナルド殿下はスマートにエスコートしようとしてくれたけど、丁寧にお断りした。
ジョセフにバレると怖いんで察してください。すみません。
嫉妬深い婚約者を持つと苦労しますな……
察してくれたレオナルド殿下は苦笑いをしながら先行してくれたので俺は数歩後ろから付いて行った。
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