異世界転生したら女に生まれ変わってて王太子に激愛されてる件

高見桂羅

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93.大商人の娘

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呼び止めてきた女生徒は、肩より少し長い髪に空色の布でできたリボンをカチューシャの様に付けた焦げ茶色の髪女性だった。

同じ色のぱっちりとした目のかわいらしい顔立ちをしているが、美形に慣れた俺の目には少々地味に感じてしまう……。

でも近くにあんな美形ばかりいるのだから仕方がないだろうと自分に言い訳をしつつ顔に出さないように心掛けながら女生徒を見る。

女生徒は同じクラスの豊と同じ平民の特待生だ。
服飾をメインとした商会のご息女だったはず…名前は確か……


「ベルーシャ・テイラーさん」

俺が名を口にすると目を見開いてベルーシャは少し驚いた顔をした。

「お話しするのは初めてですがアンジェリカ様に名を覚えていただけてるとは光栄です」
「クラスメイトですもの」

そう言って俺は微笑んだ。ソールクラスの女子は少ないから全員覚えてますとも!


それに実は王都に来てからの普段着の前開きの服はテイラー商会製だったりする。
令嬢の服って普段着であっても後ろ開きの服が主流なので数少ない前開き服を扱ってる店だと王都に住んでいる専属侍女のナタリーが進めてくれたのが切っ掛けだった。

豪華過ぎず、シンプルでお気に入りなのだ。シンプルだけど地味ではないし最先端の流行も取り入れてるからリーチェも太鼓判のお店である。
お手軽なお値段なので下級貴族や富豪な平民に人気だ。
まあ、お手頃と言っても前世の世界で言うところの2、3万もする服だから元庶民の感覚的には高いのだが…慣れとは怖いものである。

それでも侯爵や同等の位の辺境伯である俺の家にとっては安いので人前に出ない普段着(ルームウェア的な)としてならと許してもらってるのである。
なので表立って買えないから拘らなければ店頭販売もしてるので、ナタリーが俺の好みに合わせて買ってきてくれてる。
だからテイラー商会は俺が買ってることは知らないはずだし……

「それで……何かご用かしら?」

彼女が俺に話しかけてくる必要性は感じないので不思議に思い首を傾げていると、ベルーシャは少し躊躇うが、覚悟を決めて言葉を紡いだ。

「アンジェリカ様にお願いがあって参りました」
「お願い……ですか?」
「はい。ラノフ君の事なのですが……」

まさかの豊関連ですか!?

え?なに?もしかして豊の事好きなの!?


まあ、今の豊イケメンだけど……てか、それなら俺関係なくね?

「えっと……?」

困惑してるとベルーシャは俺の疑問に気付いたのか、一から説明をしてくれた。

纏めると、こうだ。

彼女は一人っ子だから、将来は商会を継がなくてはならない。
そのためには優秀な婿をとらなくてはいけないらしい。

そんな時にベルーシャは一年前、同じクラスの豊に一目惚れした。
豊は辺境の小さな村出身ではあるが、そんな事を思わせない、立ち振舞いや、突飛した頭脳を持ち合わせていたため、自分の婿は彼しかあり得ないと思ったらしい。
しかし、豊にアプローチしてみたが、のらりくらりとかわされてしまう。
やきもきしてるうちに、俺の従者になったとの噂が流れ、実際、豊は俺に付き従っていた。

婿の条件は能力だけでなく、商会を共に切り盛りしてくれる人でなくては父親に認めてもらえず、今年中に豊に振り向いてもらえないと、相手を親に決められてしまうらしく焦っているそうだ。

つまり、俺の従者をやめさせて豊を解放しろと言ってる訳ですよ。

まず豊はまだ俺の従者じゃないし。
豊は俺の従者になる気満々だけどさ、たぶんジョセフに持ってかれる予感するし。
お兄様もジョセフも豊を高く評価してるしな。

「……ベルーシャさん、貴女のお気持ちはわかりました」
「!!……っでは!!」
「ですが、それは私にはどうにもできません」
「なぜですの!?」
「まず、ラノフは私の従者候補ではありますが、まだ従者ではありません」
「え?」

驚いて固まる彼女に構わず言葉をを続ける。

「彼はジョセフィード王太子殿下のお気に入りです
。殿下の婚約者である私を守るように頼まれ、私とは、お友達ですから引き受けてくださったのです。
故に、私の一存では決められないのです。
それに、私は友の……ラノフの気持ちを優先したいですわ」



先程の説明の時に、ラノフの能力をいかせる場所に居させるべきだと令嬢の従者よりは時期社長になれる方が出世出来ると熱弁していたが、今はたしかに辺境のご令嬢だが、俺は将来の王太子妃ぞ?つまり、将来の王太子妃の従者ぞ?

確かに従者は表舞台には立たないし、豊の頭脳なら俺の従者で終わるのは勿体ないとは思う。

でも、王太子の側近に選ばれるかもしれる可能性もある。


豊が彼女を好きになって、自ら俺達の傍から離れ、彼女の傍を選ぶなら祝福するけど、彼女は自分の都合を押し付けてるだけだ。
そんなの親友として認められない。

「貴女がラノフを想っているのは分かりました。ですが、決めるのは彼です。私でも貴女でもない」

選んで貰えるように頑張るしかない。
気持ちが伝われば、豊だって答えてくれるはずだ。

俺は「では私は失礼いたしますわ」と言ってから俯き黙ってしまった彼女に背を向け、目的地向かったのであった。


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