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第4幕 高校入学編
第18話 ゴーレム×フルーツクレープ
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「もう一度。復唱を求む」
「あ、はい。……その、クレープを作るんで、命だけは勘弁してください」
オレは、凄まじい殺気を放つツインテールのゴーレムさんに睨まれながら、クレープの生地を作るのだった。
ゴーレムさん用のスイーツは、卵、牛乳、無塩バター、薄力粉に粉糖と塩。まずは薄力粉、粉糖、塩を合わせてふるう。ちなみに粉糖とは、スイーツを作る上で必要不可欠なもので、普通の砂糖よりも細かい粉末状のものを指す。
ボウルに卵を割り入れると、三分の一の牛乳を加えて、泡立て器で良くまで混ぜる。ここでポイントは、ふるった粉類を一度に加えて粉気がなくなるまで良く混ぜ合わせ、無塩バターを加えて生地を作ることだ。
「これで下準備は出来上がり。冷蔵庫で生地を冷やしている間に──」
次に生クリームの準備をする。ここが勝負所だ。クレープと言ったら生クリーム。その種類も様々だが、今回はフルーツクレープを作る。
「フフフッ。クリームに関してはちょっと工夫するッス。白蛇様の時にいろんなクリームを研究した成果!」
***
「……あの神を」とゴーレムが呟いていたが、集中していた旭孝太郎の耳には届いていなかった。
もっとも、その背後の視線に気づく者も──
***
「よっと!」
オレはフルーツに合うふんわり柔らかな「クリーム・マスカルポーネ」作りに取り掛かった。これは「マスカルポーネ」というフレッシュチーズの一種。イタリアのデザートとして有名で、ティラミスの材料としても知られている人気が高いものだ。なんで食堂にあるのか謎だったが、使ってもいいらしいので有難く使わせてもらう。
この「マスカルポーネ」は仄かにミルクの香りに、コクと甘みがあるので乳脂肪四十五パーセント生クリームをベースに入れる。これもなぜか食堂にあったのだ。それからグラニュー糖、無糖ヨーグルト、ほんの少しのバニラ。
──あとは泡立てる温度を、氷水を当てて冷やしながらふんわり柔らかくて絞り袋で絞れるギリギリの状態でとめる、っと。よし、出来た!
あとは冷やしていたクレープの生地をフライパンで薄く焼く。次いで缶詰のフルーツ、ミカン、桃、そして一口サイズに切ったバナナを乗せた。
「特製フルーツクレープの出来上がり!」
「これがフルーツクレープ……。形状、温度、危険度──問題なし」
──問題があってたまるか。とオレは心の中で思った。
「分析完了、これより試食にはいる」
ゴーレムさんは油が切れたブリキの人形のように、関節をギイギイと音を立てて硬直していた。ゆっくりと口に運ぶ。
「んっ……! 甘い」
彼女は一口食べると、夢中でクレープを頬張った。美味しそうに食べてくれている──そう思っていたんだけど、頬を伝う雫がテーブルの上に落ちた。
「ふっ……っう……」
ゴーレムである彼女は瞳から透明な液体を流していたのだ。泣きながらクレープを口に運ぶ。
「え、あの!? なんで泣いて……」
「この……記憶は……」
***
それは ゴーレムの記憶。
はるか昔の──彼女自身が、塵だと判断した情報。
果たしてそれは本当に、不要なモノだったのだろうか?
***
101.908時間前──
システム起動、視覚センサー問題なし。
「出来た。私が分かるか? 観測機体、個体番号Leshon HaKodesh807番機 sarid 型5F77tr9型」
「……Master」
視界が開けると、色鮮やかな世界が広がっていた。白いカーテンが大きく揺らいで見えた──青い空と白い雲、蝉の声、強烈な夏の日差し──
目を大きく見開くと、白衣を着た老人が子どものようにはしゃいでいた。白髪交じりの体格の良い──六十ぐらいだろうか。
「これからの時代に、お前は必要だ」
そう言って大きな手で、起動したばかりのゴーレムの頭を撫でた。
「お前の名前は始まりを意味する《カノ》だよ」
「あ、はい。……その、クレープを作るんで、命だけは勘弁してください」
オレは、凄まじい殺気を放つツインテールのゴーレムさんに睨まれながら、クレープの生地を作るのだった。
ゴーレムさん用のスイーツは、卵、牛乳、無塩バター、薄力粉に粉糖と塩。まずは薄力粉、粉糖、塩を合わせてふるう。ちなみに粉糖とは、スイーツを作る上で必要不可欠なもので、普通の砂糖よりも細かい粉末状のものを指す。
ボウルに卵を割り入れると、三分の一の牛乳を加えて、泡立て器で良くまで混ぜる。ここでポイントは、ふるった粉類を一度に加えて粉気がなくなるまで良く混ぜ合わせ、無塩バターを加えて生地を作ることだ。
「これで下準備は出来上がり。冷蔵庫で生地を冷やしている間に──」
次に生クリームの準備をする。ここが勝負所だ。クレープと言ったら生クリーム。その種類も様々だが、今回はフルーツクレープを作る。
「フフフッ。クリームに関してはちょっと工夫するッス。白蛇様の時にいろんなクリームを研究した成果!」
***
「……あの神を」とゴーレムが呟いていたが、集中していた旭孝太郎の耳には届いていなかった。
もっとも、その背後の視線に気づく者も──
***
「よっと!」
オレはフルーツに合うふんわり柔らかな「クリーム・マスカルポーネ」作りに取り掛かった。これは「マスカルポーネ」というフレッシュチーズの一種。イタリアのデザートとして有名で、ティラミスの材料としても知られている人気が高いものだ。なんで食堂にあるのか謎だったが、使ってもいいらしいので有難く使わせてもらう。
この「マスカルポーネ」は仄かにミルクの香りに、コクと甘みがあるので乳脂肪四十五パーセント生クリームをベースに入れる。これもなぜか食堂にあったのだ。それからグラニュー糖、無糖ヨーグルト、ほんの少しのバニラ。
──あとは泡立てる温度を、氷水を当てて冷やしながらふんわり柔らかくて絞り袋で絞れるギリギリの状態でとめる、っと。よし、出来た!
あとは冷やしていたクレープの生地をフライパンで薄く焼く。次いで缶詰のフルーツ、ミカン、桃、そして一口サイズに切ったバナナを乗せた。
「特製フルーツクレープの出来上がり!」
「これがフルーツクレープ……。形状、温度、危険度──問題なし」
──問題があってたまるか。とオレは心の中で思った。
「分析完了、これより試食にはいる」
ゴーレムさんは油が切れたブリキの人形のように、関節をギイギイと音を立てて硬直していた。ゆっくりと口に運ぶ。
「んっ……! 甘い」
彼女は一口食べると、夢中でクレープを頬張った。美味しそうに食べてくれている──そう思っていたんだけど、頬を伝う雫がテーブルの上に落ちた。
「ふっ……っう……」
ゴーレムである彼女は瞳から透明な液体を流していたのだ。泣きながらクレープを口に運ぶ。
「え、あの!? なんで泣いて……」
「この……記憶は……」
***
それは ゴーレムの記憶。
はるか昔の──彼女自身が、塵だと判断した情報。
果たしてそれは本当に、不要なモノだったのだろうか?
***
101.908時間前──
システム起動、視覚センサー問題なし。
「出来た。私が分かるか? 観測機体、個体番号Leshon HaKodesh807番機 sarid 型5F77tr9型」
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視界が開けると、色鮮やかな世界が広がっていた。白いカーテンが大きく揺らいで見えた──青い空と白い雲、蝉の声、強烈な夏の日差し──
目を大きく見開くと、白衣を着た老人が子どものようにはしゃいでいた。白髪交じりの体格の良い──六十ぐらいだろうか。
「これからの時代に、お前は必要だ」
そう言って大きな手で、起動したばかりのゴーレムの頭を撫でた。
「お前の名前は始まりを意味する《カノ》だよ」
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