【完結】従順な俺を壊して

川崎葵

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第三章 出会い

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抵抗したくとも、俺は動けなかった。
薄れたと思っていた薬がまた一気に回ったようだった。
少しすれば地べたに寝ころがされ、背中にひんやりとザラザラした感覚が伝わる。

頭が揺れている。気持ち悪い。
カチャカチャという音共に俺のお腹辺りに何かが当たる感覚がする。

「たすけてっ・・・、だれかっ・・・。」

どれくらいの声が出ているだろうか。
誰でもいい。助けて欲しい。
そう必死の思いで声を出す。

「この時間、誰も通らないよ。心配しないで。僕が君を守ってあげるから。」

「だれかっ、たすけてっ、おねがいっ、たすけてっ・・・。」

俺の頬に涙が伝う。
怖い、気持ち悪い、逃げたい、帰らせて、お願い、誰か助けて・・・。

「っう!」

突然、誰かの呻き声が聞こえた。

「おい、大丈夫か?」

「お前こっち来ぃな。」

2人の男の声がする。
誰だろう。柿原とは違う声だ。

「たすけて、おねがい、たすけて・・・。」

俺は必死に言葉を紡ぐ。
誰でもいい。助けて欲しい。

「おい、目を開けろ。こっちを見ろ。」

頬に誰かの手が触れている。
温かい。先ほどとは違う大きな手だ。
必死に目をこじ開ける。
視界が揺れている。見えない。

「たすけて・・・、おねがいっ・・・。」

「もう大丈夫だから。おい、そいつに薬何使ったか聞いとけ。その後は再起不能にしていい。」

「おん。そっち大丈夫そうか?」

もう一人の声は遠くに聞こえる。
距離が離れているのだろうか。

「分かんねぇ。意識がはっきりしてねぇ。もしかしたら中毒かも。」

「お前、死にたくなかったら正直に話しぃな。何つこうたんや?」

聞き慣れない関西弁の問いかけに返答が返ってきているのかどうかは、俺の耳には届かなかった。

「きもちわるい、めが、あたまが、ゆれるの・・・。」

「体、起こすぞ。暴れんなよ。」

上半身を起こされ、膝下に腕を差し込まれて俺は抱き上げられる。
その人の首筋に俺の鼻先が近くなった。
甘くていい匂いがする。
香水だろうか、とても落ち着く匂いだ。

「ゆっくり息吸ってみろ。そう、ゆっくり。」

何かを背に座らされ、両手で俺の頭を支えるように前を向かされて指示される。
俺はそれに素直に従っていた。不安はなかった。

「もう大丈夫だから。目、開けれるか?」

落ち着いた呼吸で俺はゆっくりと目を開けた。
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