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第四章 力の格差
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仕方なく、間合いを取って相手の鳩尾にボディーブローを打ち込む。
相手はうっと呻いたが、それでも倒れることはなかった。
打たれ強いというよりは、俺の拳が軽いせいだろう。
これだけ体が細く、喧嘩も初めての人間の拳が重いはずがない。
俺は嫌になりながらも相手との距離を一定に保つためにリズムを取って動く。
そのとき、ふと河川に掛かった橋の上にいる人影が気になった。
目の前に相手がいることは重々承知だったが、どうしてもそちらが気になり間合いを見ながらそちらに視線を向ける。
すると、そこには左右に側近を従えた火神が、橋の柵にひじをついて俺達を見下ろしていた。
俺はその火神に向かって咄嗟に手を振った。
理由はない。強いて言うなら、体が勝手に動いてしまったというべきだろうか。
俺のその行動に野次馬達はいっせいに振り返り、橋の上へと視線を向けた。
火神はそれに何を思ったのか噴出すようにひとつ笑い、俺に手を振り返すことなくバイクに跨って走り去っていった。
やはり、火神は柔らかく笑う人だ。
もっと笑えばいいのに。
「お前どこ見てんだよ!こっちに集中しろ!」
俺の相手は怒っており、俺はずっと動いていて疲れてきたため、繰り出された拳の衝撃を体で流しながら手首を掴み、合気道の技である手首を軽く捻って体をこかす小手返しでそいつを地面に這い蹲らせ、背後を取って攻撃の固め技で両腕を締め上げて肩に負荷をかける。
「イテテテテテッ、ちょっギブっ、」
「勝者、亀城柚希。」
相手が運よくギブアップしてくれたため、レフェリーも俺を勝者として旗をあげてくれたので俺はぱっと手を離して立ち上がる。
そのとき、周りにいた野次馬達がどっと沸いた。
俺は想定外のことに肩をビクつかせて周りを見るが、何やら盛り上がっている様子。
俺は状況が分からずそそくさと京介たちの元に駆け寄る。
「何?怖いんだけど。」
「お前の勝利があまりにも鮮やかだったから盛り上がってんだよ。まぁ祝福みたいなもんだ。」
「おまけに、あの火神に手を振る余裕。初戦にしてはインパクト十分な戦いだったよ。」
「やっぱり俺の目に狂いはなかった。お前これから忙しくなるぞ。」
「何で?嫌だよ。てか何で2人ともそんなに楽しそうなの。」
「お前が楽しそうな試合を見せてくれそうな気がするから。」
「嫌だよ。俺はもうしたくない。」
「これだけ簡単に相手を倒しておいて、それは無理だね。おまけにあの火神に手なんか振って、火神に近い奴だと思われて忙しさは倍増だね。」
「俺そんなつもりじゃなかったのに。」
「それは自業自得だな。だから下手に関わるなって言ったのに。」
「だって無意識だったんだもん。友達に挨拶するのと一緒だよ。」
「あいつは友達じゃねぇけどな。」
そう話をしながら、俺は逃げるようにその場から去った。
相手はうっと呻いたが、それでも倒れることはなかった。
打たれ強いというよりは、俺の拳が軽いせいだろう。
これだけ体が細く、喧嘩も初めての人間の拳が重いはずがない。
俺は嫌になりながらも相手との距離を一定に保つためにリズムを取って動く。
そのとき、ふと河川に掛かった橋の上にいる人影が気になった。
目の前に相手がいることは重々承知だったが、どうしてもそちらが気になり間合いを見ながらそちらに視線を向ける。
すると、そこには左右に側近を従えた火神が、橋の柵にひじをついて俺達を見下ろしていた。
俺はその火神に向かって咄嗟に手を振った。
理由はない。強いて言うなら、体が勝手に動いてしまったというべきだろうか。
俺のその行動に野次馬達はいっせいに振り返り、橋の上へと視線を向けた。
火神はそれに何を思ったのか噴出すようにひとつ笑い、俺に手を振り返すことなくバイクに跨って走り去っていった。
やはり、火神は柔らかく笑う人だ。
もっと笑えばいいのに。
「お前どこ見てんだよ!こっちに集中しろ!」
俺の相手は怒っており、俺はずっと動いていて疲れてきたため、繰り出された拳の衝撃を体で流しながら手首を掴み、合気道の技である手首を軽く捻って体をこかす小手返しでそいつを地面に這い蹲らせ、背後を取って攻撃の固め技で両腕を締め上げて肩に負荷をかける。
「イテテテテテッ、ちょっギブっ、」
「勝者、亀城柚希。」
相手が運よくギブアップしてくれたため、レフェリーも俺を勝者として旗をあげてくれたので俺はぱっと手を離して立ち上がる。
そのとき、周りにいた野次馬達がどっと沸いた。
俺は想定外のことに肩をビクつかせて周りを見るが、何やら盛り上がっている様子。
俺は状況が分からずそそくさと京介たちの元に駆け寄る。
「何?怖いんだけど。」
「お前の勝利があまりにも鮮やかだったから盛り上がってんだよ。まぁ祝福みたいなもんだ。」
「おまけに、あの火神に手を振る余裕。初戦にしてはインパクト十分な戦いだったよ。」
「やっぱり俺の目に狂いはなかった。お前これから忙しくなるぞ。」
「何で?嫌だよ。てか何で2人ともそんなに楽しそうなの。」
「お前が楽しそうな試合を見せてくれそうな気がするから。」
「嫌だよ。俺はもうしたくない。」
「これだけ簡単に相手を倒しておいて、それは無理だね。おまけにあの火神に手なんか振って、火神に近い奴だと思われて忙しさは倍増だね。」
「俺そんなつもりじゃなかったのに。」
「それは自業自得だな。だから下手に関わるなって言ったのに。」
「だって無意識だったんだもん。友達に挨拶するのと一緒だよ。」
「あいつは友達じゃねぇけどな。」
そう話をしながら、俺は逃げるようにその場から去った。
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