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第四章 力の格差
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指定された河川敷に出向くと、既に野次馬がたかっていた。
ある程度のスペースが中央に空き、それを囲むように野次馬が立っている。
俺は時間通りに行ったのだが、相手は既にその中央で立って俺を待っていた。
レフェリーも旗を持って俺を待っており、俺は王者かのように野次馬が開けた通路を通ってその中央へと向かう。
「俺もう帰りたい。」
「頑張って来い。大丈夫、お前は勝つ。」
「何を根拠に。」
「お前の方が強いと俺が思ってるから。それに、アイツは雑魚だ。」
「誰でも雑魚って言うくせに。」
「だって全員雑魚なんだから仕方がねぇだろ。見守っといてやるから、行って来い。」
乗り気になれない俺の背中を京介は活を入れるように押し出す。
俺は渋々その中央へ向かった。
「俺喧嘩なんか出来ないって。」
「そんなのもう通用しねぇんだよ。お前は強いって噂だからな。俺が一番乗りでラッキーだぜ。」
何を持って強いと噂になっているのかというと、多田の情報によると火神に守られたことによって、俺は火神の手下のような扱いなのではないかと噂になったらしい。
ただ、あの日以来俺は火神に会っていないし、あの空き教室にも近寄っていない。
だから今ではその噂も寂れてくれたが、強いから火神と関わりがあるというその強いというワードだけが一人歩きをしてしまった状態だ。
迷惑極まりないことである。
「えー、レフェリー役を務めます中条遊星です。対決は相手が起き上がれない状態になるか、降参するまで続きます。武器は反則負けになりますので気をつけてください。それでは、レディーファイッ。」
スタートの合図と共に旗は振り上げられ、レフェリーは後ろに下がっていく。
俺は構えながらとりあえず様子見をするために距離をとる。
しかし、相手は興奮気味なのか鼻息を荒くして直ぐに拳を出してきた。
その拳を、俺は完全に見切っていた。
避けれる。
その拳に合わせて体を半歩引く。
俺の目の前を無様にも拳が通り過ぎて空振りをする。
周りはそれを見て、当たってねぇぞと野次を飛ばしている。
それが恥ずかしかったのかまた鼻息が荒くし、今度は左の拳を斜め下から突き上げてくる。
それを体を動かすだけで避ける。
全てが見える。京介の拳のように、気づいた時には目の前にあるだなんてことはない。
それに、京介の対決についていっていたので、目だけは肥えていた。
3年を重点的に責めているため、拳の重さは1年など非ではない。
その拳に比べれば避けることは造作もないことだった。
その単調で軽い動きに合わせて、俺は右フックを繰り出した。
それは見事に相手の顎を捕らえ、振りぬけば相手の体はぐらりと揺れる。
だが倒れることはない。
ど素人と言われていた俺に殴られたことと、周りが喧嘩が初めてのやつに負けるのかというニュアンスの野次を飛ばすことによって、そいつの沸点はどんどん上がっていく。
顔を真っ赤にしながら何度も拳を出してくるが、俺には一切当たらなかった。
闇雲に出されているその拳は、きっと当たっても倒れるほどには痛くないだろう。
むしろ相手に宛てた俺の拳の方が痛いぐらいだ。
痛いから殴りたくないのだが、相手が倒れてくれないとこの試合は終わらない。
ある程度のスペースが中央に空き、それを囲むように野次馬が立っている。
俺は時間通りに行ったのだが、相手は既にその中央で立って俺を待っていた。
レフェリーも旗を持って俺を待っており、俺は王者かのように野次馬が開けた通路を通ってその中央へと向かう。
「俺もう帰りたい。」
「頑張って来い。大丈夫、お前は勝つ。」
「何を根拠に。」
「お前の方が強いと俺が思ってるから。それに、アイツは雑魚だ。」
「誰でも雑魚って言うくせに。」
「だって全員雑魚なんだから仕方がねぇだろ。見守っといてやるから、行って来い。」
乗り気になれない俺の背中を京介は活を入れるように押し出す。
俺は渋々その中央へ向かった。
「俺喧嘩なんか出来ないって。」
「そんなのもう通用しねぇんだよ。お前は強いって噂だからな。俺が一番乗りでラッキーだぜ。」
何を持って強いと噂になっているのかというと、多田の情報によると火神に守られたことによって、俺は火神の手下のような扱いなのではないかと噂になったらしい。
ただ、あの日以来俺は火神に会っていないし、あの空き教室にも近寄っていない。
だから今ではその噂も寂れてくれたが、強いから火神と関わりがあるというその強いというワードだけが一人歩きをしてしまった状態だ。
迷惑極まりないことである。
「えー、レフェリー役を務めます中条遊星です。対決は相手が起き上がれない状態になるか、降参するまで続きます。武器は反則負けになりますので気をつけてください。それでは、レディーファイッ。」
スタートの合図と共に旗は振り上げられ、レフェリーは後ろに下がっていく。
俺は構えながらとりあえず様子見をするために距離をとる。
しかし、相手は興奮気味なのか鼻息を荒くして直ぐに拳を出してきた。
その拳を、俺は完全に見切っていた。
避けれる。
その拳に合わせて体を半歩引く。
俺の目の前を無様にも拳が通り過ぎて空振りをする。
周りはそれを見て、当たってねぇぞと野次を飛ばしている。
それが恥ずかしかったのかまた鼻息が荒くし、今度は左の拳を斜め下から突き上げてくる。
それを体を動かすだけで避ける。
全てが見える。京介の拳のように、気づいた時には目の前にあるだなんてことはない。
それに、京介の対決についていっていたので、目だけは肥えていた。
3年を重点的に責めているため、拳の重さは1年など非ではない。
その拳に比べれば避けることは造作もないことだった。
その単調で軽い動きに合わせて、俺は右フックを繰り出した。
それは見事に相手の顎を捕らえ、振りぬけば相手の体はぐらりと揺れる。
だが倒れることはない。
ど素人と言われていた俺に殴られたことと、周りが喧嘩が初めてのやつに負けるのかというニュアンスの野次を飛ばすことによって、そいつの沸点はどんどん上がっていく。
顔を真っ赤にしながら何度も拳を出してくるが、俺には一切当たらなかった。
闇雲に出されているその拳は、きっと当たっても倒れるほどには痛くないだろう。
むしろ相手に宛てた俺の拳の方が痛いぐらいだ。
痛いから殴りたくないのだが、相手が倒れてくれないとこの試合は終わらない。
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