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第四章 力の格差
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「おい、あけろあけろ。」
突如、後ろのほうからそんな声が聞こえ、後ろを振り向けば、野次馬がどいて作った通路を通って側近を連れた火神が現れた。
俺らと人一人分ぐらいあけた場所で京介の対決を眺めている。
こんな近くで眺めるのはかなり珍しいことだった。
火神はたまに俺や多田、京介の試合を覗いていたことがあった。
だが、どれも高みの見物というように離れた場所で少し眺めるだけで、気づいたらいなくなっているのが常だった。
今回はどうしたのだろう。
「珍しいですね。今回は特別なんですか?」
俺は友達に話しかけるような感覚で無意識に声をかけていた。
それにギロリという擬音が似合いそうな勢いで、目だけを動かして身長の低い俺は見下され、怖さにちょっとだけ背筋を伸ばす。
やはりトップというだけあって、目力も迫力も凄いものがある。
「君だけだよ、そうやって気安く話しかけてくるの。あんまり調子乗ってると痛い目みるのねーん。」
そう言ったのは市瀬だった。
俺の隣にいるというのもあるのだろうが、いつでも俺と火神の間に入ってくる。
「でも、仲良くなりたいから。」
凝りもせずそう話しかける俺に、右側にいる多田が呆れたようにため息をついたのが聞こえたが、俺のしたいように放っておいてくれるらしく、止められることはない。
「仲良くなりたいって、俺らの弱みでも探るつもり?」
「違いますよ。普通に仲良くなりたいんです。俺はトップとか興味ないし、京介たちに付き合ってるだけだから。純粋に友達になりたい。」
「馬鹿だね。許すわけないだろ。トップ争いに参加してる以上、俺らは敵だ。気安く話しかけないでくれない?」
「俺は参加してるわけじゃないんですけど。」
「でも側近でしょ?君のボスは今目の前でトップを争って戦ってる。それはもう側近も参加してるってことなんだよ。朝比奈出身だろうと、そういう話は周りから聞いてるでしょ?」
「俺が朝比奈出身って知ってるんですね。」
「君のことは調べさせてもらったからね。もちろん、2人もだけど。」
「俺のことどこまで知ってるんですか?」
「全部。お父さんが警視総監ってこともね。」
市瀬は、俺の耳元でそっとそう囁いた。
久我の手に掛かればバレるだろうとは思っていたが、分かっていてもバレたくないこともあるもので、俺は苦虫を潰したような顔をやめられない。
「俺らは、君が話されたくないような情報を沢山持ってる。下手なことは考えないほうがいいのねーん。」
俺は今、情報の力を使って脅されている。
情報の怖さというものは多田によく教えてもらった。
俺の父親が警視総監という情報がどれだけの影響力があるのか分からないが、警察を好まない奴らが多い鷹山では危ない情報かもしれない。
突如、後ろのほうからそんな声が聞こえ、後ろを振り向けば、野次馬がどいて作った通路を通って側近を連れた火神が現れた。
俺らと人一人分ぐらいあけた場所で京介の対決を眺めている。
こんな近くで眺めるのはかなり珍しいことだった。
火神はたまに俺や多田、京介の試合を覗いていたことがあった。
だが、どれも高みの見物というように離れた場所で少し眺めるだけで、気づいたらいなくなっているのが常だった。
今回はどうしたのだろう。
「珍しいですね。今回は特別なんですか?」
俺は友達に話しかけるような感覚で無意識に声をかけていた。
それにギロリという擬音が似合いそうな勢いで、目だけを動かして身長の低い俺は見下され、怖さにちょっとだけ背筋を伸ばす。
やはりトップというだけあって、目力も迫力も凄いものがある。
「君だけだよ、そうやって気安く話しかけてくるの。あんまり調子乗ってると痛い目みるのねーん。」
そう言ったのは市瀬だった。
俺の隣にいるというのもあるのだろうが、いつでも俺と火神の間に入ってくる。
「でも、仲良くなりたいから。」
凝りもせずそう話しかける俺に、右側にいる多田が呆れたようにため息をついたのが聞こえたが、俺のしたいように放っておいてくれるらしく、止められることはない。
「仲良くなりたいって、俺らの弱みでも探るつもり?」
「違いますよ。普通に仲良くなりたいんです。俺はトップとか興味ないし、京介たちに付き合ってるだけだから。純粋に友達になりたい。」
「馬鹿だね。許すわけないだろ。トップ争いに参加してる以上、俺らは敵だ。気安く話しかけないでくれない?」
「俺は参加してるわけじゃないんですけど。」
「でも側近でしょ?君のボスは今目の前でトップを争って戦ってる。それはもう側近も参加してるってことなんだよ。朝比奈出身だろうと、そういう話は周りから聞いてるでしょ?」
「俺が朝比奈出身って知ってるんですね。」
「君のことは調べさせてもらったからね。もちろん、2人もだけど。」
「俺のことどこまで知ってるんですか?」
「全部。お父さんが警視総監ってこともね。」
市瀬は、俺の耳元でそっとそう囁いた。
久我の手に掛かればバレるだろうとは思っていたが、分かっていてもバレたくないこともあるもので、俺は苦虫を潰したような顔をやめられない。
「俺らは、君が話されたくないような情報を沢山持ってる。下手なことは考えないほうがいいのねーん。」
俺は今、情報の力を使って脅されている。
情報の怖さというものは多田によく教えてもらった。
俺の父親が警視総監という情報がどれだけの影響力があるのか分からないが、警察を好まない奴らが多い鷹山では危ない情報かもしれない。
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