【完結】従順な俺を壊して

川崎葵

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第四章 力の格差

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しかし、それよりも目に付いたのは、至る所に残っている傷跡だった。
最近出来たようなものではなく、昔出来たものが消えずに残っているというような傷跡だった。

それに、お腹には何かに切りつけられたような30cm程の一直線の傷跡があり、市瀬がどこまで曝け出すつもりだと言っていたのは、もしかしてこのことではないのかと推測できるほどとても目立つ大きな傷だった。

でも、そのことに突っ込めるほど俺は親しくない。
聞いて答えてくれるかも分からないことを聞くのは忍びなかった。

「マジでさっびぃ。お前洗ってから風呂浸かる派?」

「基本的には。」

「じゃあ先洗うか。ちゃんと温まってっか?」

「うん。火神さんこそ早く温まりなよ。風邪引くよ。」

二つもあって不思議に思っていた、もう1つの風呂椅子を俺の隣に持ってきて、座った火神にシャワーを渡しつつ、ボトルの文字を読み取って有難く使わせてもらう。

椅子が二つもあるのはこれだけ広いから市瀬たちと一緒に入ることがあるのかもしれない。
俺の家でも全員一緒に入ったぐらいだ。
あってもおかしくはないだろう。

「その火神さんってやめろよ。敬語もねぇのに違和感あるわ。」

「だって、何て呼んだらいいか分からないから。」

「颯斗でいいよ。俺の周りの奴は大概下の名前で呼ぶ。」

「でも、馴れ馴れしくない?」

「別に構わねぇよ。代わりに、俺も柚希って呼ぶ。」

「俺のこと下の名前で呼ぶ人あんまりいないよ。」

「じゃあ尚更いいじゃん。柚希は何で鷹山に来たんだ?お前の学力じゃ不釣合いだろ。喧嘩が好きな訳でもねぇのに。」

「そんな学校だって知らなかったんだよ。京介たちに教えてもらって初めて知ったんだ。俺は地元から離れて、適当に遊べそうな学校に来たつもりだった。」

「そういうこと。じゃあ何でまたこんな遠いところに?」

「父親から離れたかったから。知ってるでしょ?俺の父親が警視総監なの。色々面倒だったんだ。」

久我から仕入れた情報を颯斗も知っているだろうと思って正直に答えていた。
全てを知っている人に、嘘をつく必要もない。
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