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第四章 力の格差
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「柚希が見られたくないと思ったから。」
俺にだけ聞こえるように伝えられたその言葉に、颯斗は俺がどんな目に遭っていたかを情報を仕入れた時点で気づいたのだと察する。
気づいたのか一緒に情報が入ってきたのかは分からないが、俺への気遣いだったことに嬉しくなる。
「何なのねーん。」
智くんは気に食わないというような顔をしている。
しかし俺は言う気にはなれない。
知らないかもしれないという淡い期待を捨てられないから。
知らないのなら知られたくない。
「言ったじゃん。訓練。そして俺のおもちゃ。」
「ほぼ後者だろ。」
「さぁな。でも流石じゃん。亮には敵わねぇな。」
「颯斗に負けるわけにはいかんやろ。情報屋なんやから。お前の居場所やのうて、違う角度で調べたから辿り着いただけや。」
「そうやって機転がきくとこも。おかげで俺は安泰だ。」
「どれだけ大変やと思うとるんや。お前の自由行動に振り回されるのはもう勘弁や。」
「そういうなよ。そういや、柚希は今日泊まれよ。明日の朝送ってやるから。」
「いや、でも悪いよ。これだけしてもらったのに。」
「気にすんな。それに、多分一緒にいたほうがいい。お前のためにも。」
「何で?」
「寝たら分かるよ。柚希飯は?食った?」
「食べてないけど、いらないや。食欲ないから。」
「そか。なら寝ようぜ。もう眠いんだろ?」
隠していたつもりだったのだが、隠せていなかったのだろうか。
解放されてやっと気持ちが落ち着いてきたのか、俺は疲労から眠気がきていた。
ただ皆の話が気になるから起きていたに過ぎない。
もし一人で家にいたならもう寝ていただろう。
「一緒に寝るの?」
智くんはよく読み取れない表情で颯斗に問いかけている。
「あぁ。客用のベッドはねぇからな。それとも何、どっちか家に帰る?」
「帰らないよ。」
「なら一緒に寝るしかねぇだろ。」
俺は颯斗に連れられるまま廊下の右手側にあった二つのうちリビングに近いほうの扉に案内される。
もう1つ扉があったがそこがどちらかの部屋なのだろうか。
それともリビングの左右にも引き戸と扉があったのであっちが部屋なのだろうか。
本当に家が広すぎて全然全貌が見えてこない。
案内された部屋も俺の寝室の倍はありそうな部屋であり、そこにはキングサイズだろうか大きなベッドがある。
黒を貴重としたその部屋は思ったよりも殺風景である。
ベッドと本棚がひとつあるぐらいで家具は何もない。
本当に寝室としか使ってないのだろう。
本棚には漫画が置かれているが、多田とはまた趣味が違うようで知らないものばかりだ。
「こんな大きなベッドに一人で寝てるの?」
「親父が用意したもんだからな。何でもかんでも規格外なんだよ。2人で寝るには申し分ないだろ。」
「むしろごめんね。俺と一緒に寝る羽目になって。」
「気にすんなって。俺こっち定位置だから柚希そっちな。」
颯斗はどうやら左側に寄って寝ているようで、俺は右側のスペースを使うように促されてベッドに潜り込む。
そのベッドは乗っかるだけで体の形に合わせて沈み込むのが分かる心地よさであり、きっと高いのだろうと分かるような柔らかさだった。
枕も当初から備え付けだったのだろう。同じ枕が二つあるので1つをもらうことに。
他人と同じベッドで寝るのは落ち着かないので好きではないのだが、然程に相手の揺れが伝わってこないベッドに俺の眠気は直ぐにやってくる。
「おやすみ。」
それに気づいた颯斗は電気を消し、俺の髪をそっと撫でた。
それが心地よくて俺は挨拶を返す間もなく眠りに落ちていった。
俺にだけ聞こえるように伝えられたその言葉に、颯斗は俺がどんな目に遭っていたかを情報を仕入れた時点で気づいたのだと察する。
気づいたのか一緒に情報が入ってきたのかは分からないが、俺への気遣いだったことに嬉しくなる。
「何なのねーん。」
智くんは気に食わないというような顔をしている。
しかし俺は言う気にはなれない。
知らないかもしれないという淡い期待を捨てられないから。
知らないのなら知られたくない。
「言ったじゃん。訓練。そして俺のおもちゃ。」
「ほぼ後者だろ。」
「さぁな。でも流石じゃん。亮には敵わねぇな。」
「颯斗に負けるわけにはいかんやろ。情報屋なんやから。お前の居場所やのうて、違う角度で調べたから辿り着いただけや。」
「そうやって機転がきくとこも。おかげで俺は安泰だ。」
「どれだけ大変やと思うとるんや。お前の自由行動に振り回されるのはもう勘弁や。」
「そういうなよ。そういや、柚希は今日泊まれよ。明日の朝送ってやるから。」
「いや、でも悪いよ。これだけしてもらったのに。」
「気にすんな。それに、多分一緒にいたほうがいい。お前のためにも。」
「何で?」
「寝たら分かるよ。柚希飯は?食った?」
「食べてないけど、いらないや。食欲ないから。」
「そか。なら寝ようぜ。もう眠いんだろ?」
隠していたつもりだったのだが、隠せていなかったのだろうか。
解放されてやっと気持ちが落ち着いてきたのか、俺は疲労から眠気がきていた。
ただ皆の話が気になるから起きていたに過ぎない。
もし一人で家にいたならもう寝ていただろう。
「一緒に寝るの?」
智くんはよく読み取れない表情で颯斗に問いかけている。
「あぁ。客用のベッドはねぇからな。それとも何、どっちか家に帰る?」
「帰らないよ。」
「なら一緒に寝るしかねぇだろ。」
俺は颯斗に連れられるまま廊下の右手側にあった二つのうちリビングに近いほうの扉に案内される。
もう1つ扉があったがそこがどちらかの部屋なのだろうか。
それともリビングの左右にも引き戸と扉があったのであっちが部屋なのだろうか。
本当に家が広すぎて全然全貌が見えてこない。
案内された部屋も俺の寝室の倍はありそうな部屋であり、そこにはキングサイズだろうか大きなベッドがある。
黒を貴重としたその部屋は思ったよりも殺風景である。
ベッドと本棚がひとつあるぐらいで家具は何もない。
本当に寝室としか使ってないのだろう。
本棚には漫画が置かれているが、多田とはまた趣味が違うようで知らないものばかりだ。
「こんな大きなベッドに一人で寝てるの?」
「親父が用意したもんだからな。何でもかんでも規格外なんだよ。2人で寝るには申し分ないだろ。」
「むしろごめんね。俺と一緒に寝る羽目になって。」
「気にすんなって。俺こっち定位置だから柚希そっちな。」
颯斗はどうやら左側に寄って寝ているようで、俺は右側のスペースを使うように促されてベッドに潜り込む。
そのベッドは乗っかるだけで体の形に合わせて沈み込むのが分かる心地よさであり、きっと高いのだろうと分かるような柔らかさだった。
枕も当初から備え付けだったのだろう。同じ枕が二つあるので1つをもらうことに。
他人と同じベッドで寝るのは落ち着かないので好きではないのだが、然程に相手の揺れが伝わってこないベッドに俺の眠気は直ぐにやってくる。
「おやすみ。」
それに気づいた颯斗は電気を消し、俺の髪をそっと撫でた。
それが心地よくて俺は挨拶を返す間もなく眠りに落ちていった。
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