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第四章 力の格差
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どれほど眠っただろうか。
俺は恐怖を感じて飛び起きた。
その直後に吐き気に襲われ、慌てて部屋を飛び出して教えてもらっていたトイレへと駆け込む。
俺はどうにか間に合い、トイレに顔を埋めて嘔吐を繰り返す。
「扉、開けるぞ。」
2回のノックの後外から声をかけられ、俺は颯斗を巻き込んでしまったのだと察する。
吐き気が止まらない俺はそれを制止することもできず、入ってきた颯斗は俺の背中をさすってくれた。
何度か嘔吐を繰り返し、胃液を出し切った頃何とか落ち着きを取り戻し、やっとの思いで腰を落ち着けた。
「立てるか?」
颯斗の問いかけに頷き、俺は颯斗に支えられながらキッチンに移動し、うがいをさせてもった。
智くんと亮はもう寝ているようで、リビングは暗く静かだった。
「ごめん、起こしちゃって。」
「いいよ。夢に見るだろうと思ってたから。」
「何で?」
「あんなに震えてたんだから、トラウマになるだろうなって。一人で夢に魘されるより、誰か傍にいたほうが安心だろ。一人で恐怖に耐えるのってつれぇから。」
一緒にいたほうがいいと言っていたのはこういうことだったのだ。
颯斗は俺のトラウマになったのではないかと危惧していたのだろう。
そして一人で耐えるのがつらいと思うのは、母親のことがあるからだろう。
実際、俺も今までの出来事以上のことだ。
自分の中でどれだけのトラウマになり、どれだけ影響を及ぼすのか想像がつかない。
ただ、颯斗に触れられて錯覚を起こさないところを見ると、然程に酷くはないのかもしれない。
「ありがと。でも多分大丈夫。そこまで酷くないと思うんだ。」
「何で?」
「颯斗に触られても何ともないから。前は、誰かに触られたら怖かったし、振り払ってた。それがないから、多分大丈夫。」
「そか。あんま無理すんなよ。寝れそうか?」
「分かんない。でも、横になっとくよ。」
颯斗の寝室へと戻りベッドに潜り込めば、何故か颯斗は俺のことを徐に抱きしめた。
「え?何?」
「この方が安心出来るかもって思って。ことがことだから、触ったら怖がるかもしれねぇと思って我慢してたんだけど、触っても大丈夫なら前に俺の膝で寝てただろ?だから安心して寝れんじゃねぇかなって。」
そんなことを考えてくれていた颯斗の腕の中は、あの日のようにとても心地よかった。
出るのが億劫な冬の日の布団の中のような気持ちよさ。
この気持ちよさは何なのだろうか。
この甘い匂いのせいだろうか。
颯斗の匂いはとても心地よく、ずっと嗅いでいたい様な匂い。
俺は恐怖を感じて飛び起きた。
その直後に吐き気に襲われ、慌てて部屋を飛び出して教えてもらっていたトイレへと駆け込む。
俺はどうにか間に合い、トイレに顔を埋めて嘔吐を繰り返す。
「扉、開けるぞ。」
2回のノックの後外から声をかけられ、俺は颯斗を巻き込んでしまったのだと察する。
吐き気が止まらない俺はそれを制止することもできず、入ってきた颯斗は俺の背中をさすってくれた。
何度か嘔吐を繰り返し、胃液を出し切った頃何とか落ち着きを取り戻し、やっとの思いで腰を落ち着けた。
「立てるか?」
颯斗の問いかけに頷き、俺は颯斗に支えられながらキッチンに移動し、うがいをさせてもった。
智くんと亮はもう寝ているようで、リビングは暗く静かだった。
「ごめん、起こしちゃって。」
「いいよ。夢に見るだろうと思ってたから。」
「何で?」
「あんなに震えてたんだから、トラウマになるだろうなって。一人で夢に魘されるより、誰か傍にいたほうが安心だろ。一人で恐怖に耐えるのってつれぇから。」
一緒にいたほうがいいと言っていたのはこういうことだったのだ。
颯斗は俺のトラウマになったのではないかと危惧していたのだろう。
そして一人で耐えるのがつらいと思うのは、母親のことがあるからだろう。
実際、俺も今までの出来事以上のことだ。
自分の中でどれだけのトラウマになり、どれだけ影響を及ぼすのか想像がつかない。
ただ、颯斗に触れられて錯覚を起こさないところを見ると、然程に酷くはないのかもしれない。
「ありがと。でも多分大丈夫。そこまで酷くないと思うんだ。」
「何で?」
「颯斗に触られても何ともないから。前は、誰かに触られたら怖かったし、振り払ってた。それがないから、多分大丈夫。」
「そか。あんま無理すんなよ。寝れそうか?」
「分かんない。でも、横になっとくよ。」
颯斗の寝室へと戻りベッドに潜り込めば、何故か颯斗は俺のことを徐に抱きしめた。
「え?何?」
「この方が安心出来るかもって思って。ことがことだから、触ったら怖がるかもしれねぇと思って我慢してたんだけど、触っても大丈夫なら前に俺の膝で寝てただろ?だから安心して寝れんじゃねぇかなって。」
そんなことを考えてくれていた颯斗の腕の中は、あの日のようにとても心地よかった。
出るのが億劫な冬の日の布団の中のような気持ちよさ。
この気持ちよさは何なのだろうか。
この甘い匂いのせいだろうか。
颯斗の匂いはとても心地よく、ずっと嗅いでいたい様な匂い。
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