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第五章 落ち着くのは
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翌日は休みだったのだが、智くんも亮も何か用事があったらしく、ゆっくり目覚めた俺らが起きた時にはもういなかった。
2人分の朝ともお昼とも言えないご飯を作って食べながら、俺はふと素朴な疑問をぶつける。
「颯斗って何でそんなに強いの?何か習ったわけじゃないんでしょ?」
「何で、か。簡単に言えば、ストリート上がりだから?」
「ストリート上がり?」
俺は聞いたこともない言葉に首を傾げる。
智くんも言っていたが、ストリートとは一体何のことなのだろうか。
「まぁ俺基本一人だったから、帰っても飲んだくれた母さんしかいねぇし、17時過ぎりゃ明け方まで一人だし、暇だから外ほっつき歩いたりしてたんだよな。
そこで、夜の飲み屋街の方に迷い込んだ時に、ストリートヤンキーしてた謙兄達に声かけられて、子供がこんなとこいたら危ないよーって。俺が出会った人らは、まだまともなグループの人たちだったから、家に送ってやるって言われて俺が住所を言っても、悪用されることなく送ってもらった。
これがあたる人が悪けりゃ、俺はもしかしたら裏の方で売り飛ばされてたかもしれないし、家に送ってもらってもそのまま金目のものを盗まれてたかもしれない。
ただ俺は運よくどちらも免れて、その時の俺は好奇心の塊で別の日に会いに行ったんだ。そしたらまだ小学生のガキが一人ほっつき歩いてたのが印象的だったのか向こうが覚えてて、話をするようになった。俺はまだガキだから素直に身の上話をして、同情してくれたその人たちは俺にご飯を恵んでくれるようになった。
それから俺は懐いて、よくそのたまり場に遊びに行ってたんだよ。でも、所詮その人らはストリートヤンキーだから喧嘩はするしタバコも酒も薬もするし、売買だってやってた。
俺はそれを間近で目の当たりにしてたし、俺が興味を抱けば色んなことを教えてくれた。まぁ流石に薬とかを吸ったことはねぇけどな。まともな人らだったから、ガキがするもんじゃねぇって言ってくれたから。
ただ俺らはその人らに喧嘩を教えてもらったんだよ。学校で虐められるのがむかつくから勝ちたいって言ったら、親身になって教えてくれた。その人らが教えてくれたんだよ、給食費を少しずつ抜いて貯めることと、基本的な家事の仕方も。
だから俺の親みたいなもんだよな。俺はその人らのおかげで強くなった。学校じゃ俺を虐める奴なんかいなくなった。ただ、俺はそれじゃ満足しなかったんだよ。拳で自分の居場所を作れるって短絡的に思ってたときは、もっともっと俺の居場所を広くしたいって思って、学校でいじめがなくなっても母さんに襲われて動けなくなっても、治ったら俺は謙兄達のとこに通った。
中学に上がれば智と亮も誘った。俺はその人達に従うのが喜びだった。いつしか喧嘩が俺の生きがいになってたし、勝てばその人たちが喜んだしグループも大きくなっていったから、自分の居場所が広がるみたいで嬉しかった。
だから俺は中学を卒業したら、進学もせずにそのグループに所属するつもりだったんだけど、俺が中3の夏、俺らのグループが一斉粛清に遭った。俺たちは偶々その日用事があってたまり場に行ってなかったんだけど、大きかった俺らのグループは目立ってたし収益も大きかったから目の敵にされて、複数のグループから袋叩きに合って潰された。
警察も出動して死者も出た。俺が慕ってたリーダーの謙兄も死んだ。一人だけ、ボロボロだったけど逃げれた人がいて、その人が教えてくれた。粛清されて謙兄が死んだことも、俺が属してたグループは解散することも。そして、お前はもう自分の生活に帰れって、学校に行けって押し返してくれた。まだ間に合うからって。
だから俺は鷹山に行った。突然自分の居場所がなくなって、あの喧嘩の日々が忘れられなくて、強い奴が集まるっていうから、あそこを選んだ。でも、誰一人として強い奴はいなかった。おまけにストリートみたいに色んな奴が行きかう街中じゃないから、1年間人は変わらない。1年待っても1つ下のガキ。酸いも甘いも経験して自分の拳で自分の居場所を作ってきたストリートの人たちにはどうやったって及ばない。
でも、謙兄がずっと俺のことを気にかけてたってその人が言ったから。懐いてるのが可愛くて巻き込んでしまった、申し訳ないって言ってたから、このタイミングを逃したらもう戻れないから普通の生活に戻って、もうストリートには帰ってくるなって言われたから、俺はその言いつけを守ってる。物足りないまま、ずっと。」
2人分の朝ともお昼とも言えないご飯を作って食べながら、俺はふと素朴な疑問をぶつける。
「颯斗って何でそんなに強いの?何か習ったわけじゃないんでしょ?」
「何で、か。簡単に言えば、ストリート上がりだから?」
「ストリート上がり?」
俺は聞いたこともない言葉に首を傾げる。
智くんも言っていたが、ストリートとは一体何のことなのだろうか。
「まぁ俺基本一人だったから、帰っても飲んだくれた母さんしかいねぇし、17時過ぎりゃ明け方まで一人だし、暇だから外ほっつき歩いたりしてたんだよな。
そこで、夜の飲み屋街の方に迷い込んだ時に、ストリートヤンキーしてた謙兄達に声かけられて、子供がこんなとこいたら危ないよーって。俺が出会った人らは、まだまともなグループの人たちだったから、家に送ってやるって言われて俺が住所を言っても、悪用されることなく送ってもらった。
これがあたる人が悪けりゃ、俺はもしかしたら裏の方で売り飛ばされてたかもしれないし、家に送ってもらってもそのまま金目のものを盗まれてたかもしれない。
ただ俺は運よくどちらも免れて、その時の俺は好奇心の塊で別の日に会いに行ったんだ。そしたらまだ小学生のガキが一人ほっつき歩いてたのが印象的だったのか向こうが覚えてて、話をするようになった。俺はまだガキだから素直に身の上話をして、同情してくれたその人たちは俺にご飯を恵んでくれるようになった。
それから俺は懐いて、よくそのたまり場に遊びに行ってたんだよ。でも、所詮その人らはストリートヤンキーだから喧嘩はするしタバコも酒も薬もするし、売買だってやってた。
俺はそれを間近で目の当たりにしてたし、俺が興味を抱けば色んなことを教えてくれた。まぁ流石に薬とかを吸ったことはねぇけどな。まともな人らだったから、ガキがするもんじゃねぇって言ってくれたから。
ただ俺らはその人らに喧嘩を教えてもらったんだよ。学校で虐められるのがむかつくから勝ちたいって言ったら、親身になって教えてくれた。その人らが教えてくれたんだよ、給食費を少しずつ抜いて貯めることと、基本的な家事の仕方も。
だから俺の親みたいなもんだよな。俺はその人らのおかげで強くなった。学校じゃ俺を虐める奴なんかいなくなった。ただ、俺はそれじゃ満足しなかったんだよ。拳で自分の居場所を作れるって短絡的に思ってたときは、もっともっと俺の居場所を広くしたいって思って、学校でいじめがなくなっても母さんに襲われて動けなくなっても、治ったら俺は謙兄達のとこに通った。
中学に上がれば智と亮も誘った。俺はその人達に従うのが喜びだった。いつしか喧嘩が俺の生きがいになってたし、勝てばその人たちが喜んだしグループも大きくなっていったから、自分の居場所が広がるみたいで嬉しかった。
だから俺は中学を卒業したら、進学もせずにそのグループに所属するつもりだったんだけど、俺が中3の夏、俺らのグループが一斉粛清に遭った。俺たちは偶々その日用事があってたまり場に行ってなかったんだけど、大きかった俺らのグループは目立ってたし収益も大きかったから目の敵にされて、複数のグループから袋叩きに合って潰された。
警察も出動して死者も出た。俺が慕ってたリーダーの謙兄も死んだ。一人だけ、ボロボロだったけど逃げれた人がいて、その人が教えてくれた。粛清されて謙兄が死んだことも、俺が属してたグループは解散することも。そして、お前はもう自分の生活に帰れって、学校に行けって押し返してくれた。まだ間に合うからって。
だから俺は鷹山に行った。突然自分の居場所がなくなって、あの喧嘩の日々が忘れられなくて、強い奴が集まるっていうから、あそこを選んだ。でも、誰一人として強い奴はいなかった。おまけにストリートみたいに色んな奴が行きかう街中じゃないから、1年間人は変わらない。1年待っても1つ下のガキ。酸いも甘いも経験して自分の拳で自分の居場所を作ってきたストリートの人たちにはどうやったって及ばない。
でも、謙兄がずっと俺のことを気にかけてたってその人が言ったから。懐いてるのが可愛くて巻き込んでしまった、申し訳ないって言ってたから、このタイミングを逃したらもう戻れないから普通の生活に戻って、もうストリートには帰ってくるなって言われたから、俺はその言いつけを守ってる。物足りないまま、ずっと。」
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