【完結】従順な俺を壊して

川崎葵

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第五章 落ち着くのは

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颯斗は、俺が思ってた以上のことを語ってくれた。
颯斗を取り巻く環境は、俺には計り知れない激動だったことだろう。

毎日が刺激的で、何事にも変えがたい経験だったに違いない。
この話を聞いて、颯斗があっという間にトップに上り詰めたことに納得が行った。
颯斗と他の人の間には圧倒的な格差が存在する。

俺にはストリートというものがどのようなものかは分からないが、鷹山だけで行われていることはちっぽけな存在に過ぎないのだろう。
相手は大人。聞いた想像では、その筋の人たちが集っている場所だ。
いわゆる喧嘩のプロと呼ばれてもおかしくない人たちだろう。

颯斗にとって鷹山で行われていることはアマチュアか、下手したら子供の喧嘩を見ている気分なのではないだろうか。
京介に気迫や強制力を説くのは、ストリートでその姿を目の当たりにしてきたせいだろう。

薬の密売人たちは、犯罪を犯しているという自覚を持ちながら、それを敢えて犯す覚悟がある。
それを良しとはしないが、相手に舐められていては成り立つものではない。
自分の強さを表に出す気迫が必要であり、相手に有無を言わせない強制力がなければ売買は成立しない。

颯斗はそれを心得ているからこそ、1年生で全学年を暴れさせることなくまとめてきたのだろう。

そんな颯斗は、もしかしたら京介のことを試しているのかもしれない。
颯斗は京介が強いと認めている。
だけど、今のままでは俺には勝てないと言った。
それは、逆手に取れば変われば互角にやりあえると言っているようにも思える。

もしかすれば、颯斗は敢えて3年の抑圧を解いたのかもしれない。
これだけの経験と力を持っていれば、あの3年を鎮めることは造作もないはずだ。

でもそれをせず京介にアドバイスをして自分で行かせたのは、自分のもとへ強くなってからきてほしいと思っているからなのではないだろうか。
物足りないままずっと待っているとぼやくほど、颯斗は退屈している。
今の状況で、京介が最後の砦なのかもしれない。

颯斗は話しながら、退屈すぎて今すぐにでもこの生活を捨てたそうな顔をしていた。
自分が求めているのはこんなものじゃないんだと言わんばかりだった。

そのリーダーの言葉がなければ、もしかしたらストリートで自分がグループを作っていたのではないだろうか。
中学を卒業後は、元々そちらに行くつもりだったのだから、そう行動してもおかしくはないだろう。
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