【完結】従順な俺を壊して

川崎葵

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第五章 落ち着くのは

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「亀、VIPルームは上や。あのマジックミラーの裏に、数部屋ある。見えへんから、おるかどうか分からんけどな。」

亮が俺の耳元に口を近づけて教えてくれ、指をさす方向に目を向ければ、マジックミラー張りになった窓がずらりと並んでおり、いかにも偉そうな人が入っていそうな雰囲気を漂わせていた。
しかし、ここからではどうやっても颯斗がいるかどうかは分からない。

「あの中って、覗きにとか行けないよね?」

「それは無理や。一部屋ずつの入り口前にボディガードが立っとる。そいつらは中の人物が誰かは絶対に言わん。VIPルームに続くエスカレーターの下で張り込めば、出てくれたら確認できるけど、中には危ない奴もおる。下手に張り込んで目を付けられたらやばいからやめといたほうがえぇ。」

それならば、この中からどうやって颯斗を探そうというのだろう。
こんなに人が入り乱れてごった返している中から探すのだけでも大変なのに、部屋にこもられてしまっては手も足も出ない。
運よく、その辺に歩いてくれていればいいのだが。

そう思ってあたりを見渡していたとき、爆音に混じって甲高い叫び声がどこからか聞こえてきた気がした。
俺は何の気なしにそちらに視線を向けると、女性が列を成して誰かを追いかけていた。

ここのアイドル的存在の人でもいるのだろうかとまた周囲に視線を戻そうとした時、微かにその中に金髪に近い茶髪がふわりと揺れた気がした。
ここにいる大半の人が髪を染め、色とりどりになっている中、そんな金髪など目に留まるはずがない。

それでも、俺の視界に微かに揺れた気がしたんだ。
颯斗の金髪のような茶髪の髪の毛が。
その人だかりの先頭を歩いている人物は止まる気配はなく、VIPルームに続く通路の下から俺たちが入ってきた扉のほうへと向かっている。

「いた!颯斗だ!」

俺がじっと見つめていた人だかりの先頭に、颯斗がいた。
俺は思わず感情のままに声をあげ、亮に握られた手を引っ張ってそちらに向かう。
亮は慌ててついてきて、他の女の人に捕まっていた智くんを拉致するように通りかかりにひっ捕まえて俺についてくる。

颯斗は周りに目もくれず、言い寄って触れてきている女の人に一瞥もせずただ只管真っ直ぐ歩いている。
そこから感じられるオーラは、怒りのオーラだった。
あんな颯斗に言い寄れるのは女だからだろうか。それとも気づいていないのだろうか。
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