【完結】従順な俺を壊して

川崎葵

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第五章 落ち着くのは

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「ねぇ、颯斗。やっぱり気になるからもう一度聞くんだけど、今日、本当に女の人抱いてないの?」

洗い終えて広い湯船に並んで浸かり、ボディーソープの違う匂いを漂わせている颯斗の匂いを感じながら、俺はそう問いかけた。
そんな俺を横目に見ながら颯斗は不思議そうに首を傾げた。

「抱いてないって言ったはずだけど。信じれない?」

「そういうわけじゃないけど、やっぱりにおいが気になったから。さっきしてる時も、颯斗の匂いに混じって違うにおいがしてたのが気になって。」

「そっか。柚希は鼻がいいんだな。けど、本当に抱いてない。正確に言えば、抱こうとしたけど抱けなかった。」

抱こうとしたという事実に俺の胸は少しだけ痛んだ。
しかし、流石に付き合う前のことを咎める権利は俺にはない。

「柚希が言うように、VIPルームは何でもありだし、外から干渉されることもない。だから女を連れ込むこともある。柚希を傷つけてむしゃくしゃしてたから、女でも抱いて発散しようと思った。処理すれば柚希を襲わずに済むかもしれないとも思ったから。でも、ダメだった。柚希に触れた時の感覚も、漏らした吐息も、濡れた表情も、柚希のにおいも、全部が鮮明すぎて、それを上回る興奮が得られなくて、どうにも気分が乗らなかった。裸の女が目の前にいても、触ってもピクリとも反応しなかった。むしろ、もっと柚希に触れたくなって、俺の手でぐちゃぐちゃにしたくて堪らなくて、だから帰るつもりはなかった。田中たちのことは智たちがどうにかしてくれるだろうって思ったから。」

やはりあの時の反応は図星だったのだ。
颯斗はそのまま俺の前から消えるつもりだったのだ。
学校で颯斗を見かけるのは困難。
空き教室にたまるのをやめられたら、颯斗と会うことは不可能になるだろう。

家に行っても出てはこないだろうし、情報操作や周りを撒くことができない俺は、下手に家に行っては迷惑をかけることになる。
あの時本当に颯斗を見つけることが出来てよかった。
そうでなければ、今頃俺達の関係は砕け散っていただろうから。
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