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第六章 干渉
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「先生は僕のことを買いかぶり過ぎですよ。それより、先生のお宅の庭はどなたが手入れをされてるですか?とても綺麗にしていましたけど。」
「あぁ、僕だよ。休みの日は庭の手入れをするのが好きでね。妻もだが、僕も花が好きで2人でよく庭を眺めながらお茶をするんだ。」
「いいですね、そういう生活。憧れます。」
「柚希くんは賢いから、いい大学に行って何かを目指せば全然出来るよ。僕の大学にくるんだったらその時は一緒に住んでも構わないよ。部屋も余っているし、家政婦がいるから苦労もしなくていい。」
どうにも返答に困ってしまう言葉が返ってくる。
先生は、父親が卒業した大学の教授。
よって必然的に俺が受験を強いられている大学の教授ということになる。
先生も俺が受ける予定だということも知っているし、下手に断っては心象を悪くしてしまうかもしれない。
「そこまでしていただくと申し訳なくなってしまうので。」
「気にしなくていいよ。あそこから大学までは交通の便もいいから、通いやすいよ。」
「まだ先の話ですので、その時またお話聞かせてください。受かるかどうかも分からないですから。」
「僕はいつでも歓迎するよ。今からでも一緒に住みたいくらいだ。」
「ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。」
昔に比べてやたらと距離をつめてくるのは、二人きりのせいだろうか。
正直とても疲れる。
1日中気を使っている状態であり、寝不足も相まってとてもしんどい。
車を走らせながら話を続けていたが、俺は長く続く車の揺れに、いつの間にか意識を失うように眠りに落ちていた。
どれほど経っただろうか、俺の首筋に何かが触れる感覚がして目が覚めた。
自分が寝てしまったんだと認識出来た頃、全身が気持ち悪い感触に襲われ、体をびくつかせて目を開く。
視界に見えたのは車のボンネットであり、慌てて周りを見ると隣に先生がいた。
「連れ回してごめんね。疲れただろう。」
「あ、いえ、すみません。寝てしまって。僕、どれくらい寝てました?」
「そんなには寝ていないよ。家についたけど、帰れるかい?」
そう言われて助手席側から窓の外を見れば実家が見えていた。
外から見えるリビングの窓は明かりがこぼれており、両親が帰っていることを示している。
「大丈夫です。本当にすみません。送っていただいたのに寝てしまうなんて失礼なことしてしまって。」
「気にしないで。それだけ安心してくれてたんだと思ったら嬉しいから。」
先生は何とも言えない粘着質な笑みを浮かべて俺の手に触れた。
俺はそれに恐怖と嫌悪で振り払いそうな衝動を何とかこらえて、そっと反対の手を添えて引き抜きながら下りる支度をする。
「先生、これから帰るの気をつけてくださいね。暗いですから。」
「心配してくれてありがとう。大丈夫だよ。安全運転で帰るから。」
「そうしてください。今日はありがとうございました。何もしていないですがご一緒できてよかったです。」
「こちらこそありがとう。また何かの機会に付き合ってほしいな。」
「もちろんですよ。お会い出来た時はいつでもお受け致しますよ。ありがとうございました。お気をつけて。」
俺は荷物を整えて下りながらお礼を言い、扉を閉めた。
閉まった扉の向こうで先生は微笑みながら手を振るので、それに手を振り返し、先生が発進して見えなくなるまでそこでお見送りをした。
「あぁ、僕だよ。休みの日は庭の手入れをするのが好きでね。妻もだが、僕も花が好きで2人でよく庭を眺めながらお茶をするんだ。」
「いいですね、そういう生活。憧れます。」
「柚希くんは賢いから、いい大学に行って何かを目指せば全然出来るよ。僕の大学にくるんだったらその時は一緒に住んでも構わないよ。部屋も余っているし、家政婦がいるから苦労もしなくていい。」
どうにも返答に困ってしまう言葉が返ってくる。
先生は、父親が卒業した大学の教授。
よって必然的に俺が受験を強いられている大学の教授ということになる。
先生も俺が受ける予定だということも知っているし、下手に断っては心象を悪くしてしまうかもしれない。
「そこまでしていただくと申し訳なくなってしまうので。」
「気にしなくていいよ。あそこから大学までは交通の便もいいから、通いやすいよ。」
「まだ先の話ですので、その時またお話聞かせてください。受かるかどうかも分からないですから。」
「僕はいつでも歓迎するよ。今からでも一緒に住みたいくらいだ。」
「ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。」
昔に比べてやたらと距離をつめてくるのは、二人きりのせいだろうか。
正直とても疲れる。
1日中気を使っている状態であり、寝不足も相まってとてもしんどい。
車を走らせながら話を続けていたが、俺は長く続く車の揺れに、いつの間にか意識を失うように眠りに落ちていた。
どれほど経っただろうか、俺の首筋に何かが触れる感覚がして目が覚めた。
自分が寝てしまったんだと認識出来た頃、全身が気持ち悪い感触に襲われ、体をびくつかせて目を開く。
視界に見えたのは車のボンネットであり、慌てて周りを見ると隣に先生がいた。
「連れ回してごめんね。疲れただろう。」
「あ、いえ、すみません。寝てしまって。僕、どれくらい寝てました?」
「そんなには寝ていないよ。家についたけど、帰れるかい?」
そう言われて助手席側から窓の外を見れば実家が見えていた。
外から見えるリビングの窓は明かりがこぼれており、両親が帰っていることを示している。
「大丈夫です。本当にすみません。送っていただいたのに寝てしまうなんて失礼なことしてしまって。」
「気にしないで。それだけ安心してくれてたんだと思ったら嬉しいから。」
先生は何とも言えない粘着質な笑みを浮かべて俺の手に触れた。
俺はそれに恐怖と嫌悪で振り払いそうな衝動を何とかこらえて、そっと反対の手を添えて引き抜きながら下りる支度をする。
「先生、これから帰るの気をつけてくださいね。暗いですから。」
「心配してくれてありがとう。大丈夫だよ。安全運転で帰るから。」
「そうしてください。今日はありがとうございました。何もしていないですがご一緒できてよかったです。」
「こちらこそありがとう。また何かの機会に付き合ってほしいな。」
「もちろんですよ。お会い出来た時はいつでもお受け致しますよ。ありがとうございました。お気をつけて。」
俺は荷物を整えて下りながらお礼を言い、扉を閉めた。
閉まった扉の向こうで先生は微笑みながら手を振るので、それに手を振り返し、先生が発進して見えなくなるまでそこでお見送りをした。
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