【完結】従順な俺を壊して

川崎葵

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第六章 干渉

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「相変わらずうぜぇジジイだな。」

颯斗は溜め息を1つつき、周りの様子を伺うような視線を無視して歩き出したので、俺もそれについて歩き始める。

「颯斗っていっつもこんな生活送ってるの?」

「街でうろついてるとどうしてもな。あんなあからさまに疑ってかかってくるのはあのジジイぐらいだけど。ごめんな、騒々しくて。」

「俺は別にいいけど、颯斗も大変なんだね。ただ遊んでるだけでこんなに知らない人に話しかけられたの初めてだよ。」

「こういうときは、顔が広いのも良し悪しなんだよな。キャップ被ってようが背格好でバレるし。だから柚希とはあんまり外で遊びたくねぇんだよ、巻き込むから。」

「何か皆に見られてる気がして落ち着かないけど、颯斗のことが知れて楽しいよ。でも、流石に警察はびっくりしちゃった。思わず隠れちゃったじゃん。」

「柚希はあっちじゃどのサツにも顔バレしてるみてぇだけど、こっちもか?」

「うぅん。流石にこっちじゃバレてないよ。父親も俺があの学校に行ったのが恥だと思ってるから、見張りとして指示してないみたいだし。ただ、いつバレてもおかしくないかなとはちょっと思ってるんだけどね。」

「柚希ともっと自由に遊びてぇんだけど、まだまだ難しいな。ストリート関係はちょっとずつ整理はしていってんだけど。」

「そうなの?どうして?」

「もう完全に戻る気がねぇから。俺にあの場所は必要ない。それに、俺には柚希がいるから。昔のままでいると、お前に危害が加わるかもしれねぇからな。」

そう言って笑う颯斗の表情は、とても柔らかい笑みだった。
俺にストリートの話をしてくれた時のような、激動の感覚に焦がれたような表情はもうどこにもなかった。

俺の存在は颯斗にとってどれほどの価値になっているのだろうか。
あのクラブのような危険な場所から遠ざかってくれるのは嬉しいが、俺はその颯斗の覚悟に見合うものを返せるだろうか。

颯斗はかつて自分の居場所だった場所を、俺のために整理してくれている。
俺は、颯斗のために親に反論すらも出来なかったのに。

颯斗の優しさが俺にとっては苦しく感じた。
自分が弱いばかりに、颯斗とは同等のものを返すことが出来ない。
このことを颯斗に告げたとしても、きっと気にしなくていいと言ってくれるだろう。

しかし、そう簡単にはいかない。
颯斗が築き上げた居場所を手放すのは相当な覚悟だ。
俺が今の家を捨てるのと同じようなものだ。
とりあえず、俺が今できることはA評価をもらうことだろう。
それは、何が何でも成し遂げなければならない。
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