【完結】従順な俺を壊して

川崎葵

文字の大きさ
195 / 261
第七章 従順な俺

195

しおりを挟む
それから二時間、俺は今までの努力を全てぶつけた。
ただの判定試験なのにもかかわらず、大学受験本番のような感覚がした。

他の受験者には笑われそうだが、今までの生活が掛かっている俺からすれば本番同然なのは当たり前だった。
これに失敗すれば俺の今の生活はなくなる。
その不安で緊張してしまいそうだったが、颯斗の存在が俺を支えてくれた。
頑張れと、出来るからと言ってくれた颯斗がとても大きな存在だった。

全てが終わったときには俺の体は酷く重くなっており、心のなしか呼吸も浅いように思う。
周りの人に移してはいけないとマスクをしてきたために傍からはわからないだろうが、正直とてもしんどい。
今まで気を張っていたから薬で持ちこたえられたが、全てから解放された今、気を張る必要がなくなったせいだろう。

俺は足元がふらつきそうになるのを何とか踏ん張り、会場を出て颯斗に電話をかける。

『もし。終わった?』

「うん。終わった。俺、頑張ったよ。」

『お疲れ様。大丈夫か?ちゃんと出てこれる?』

「うん、頑張る。あとちょっとだけ。」

『倒れるぐらいならそこで待っといてくれりゃおぶりに行くから。無理すんなよ。』

「うん、ありがと。」

颯斗との電話を切ったタイミングで、それを見計らったように俺の携帯が着信を知らせた。
そのまま画面に目を向けると、そこには母親の文字があった。
嫌な予感がするが、出ないわけにはいかなかった。

「はい、もしもし。」

『もしもし。丁度今頃試験が終わったんじゃないかと思って。どうだったか、近くに来てるんだし家にいらっしゃい。』

「どうしても、ですか?」

『何、断る理由でもあるわけ?』

「いえ、ありません。後ほど伺います。」

正直、今すぐにでも帰りたかった。
倒れない保障などどこにもなかった。
それでも、従わなければならない。
そしてこの体調不良は隠し通さなければならない。
また体調を崩したと分かれば、それを理由に連れ戻されてしまう。
あと少しの辛抱だから。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

隣の席のイケメンに懐かれた

しょうがやき
BL
隣の席のイケメンに懐かれた平凡男子の話

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

ハイスペックED~元凶の貧乏大学生と同居生活~

みきち@書籍発売中!
BL
イケメン投資家(24)が、学生時代に初恋拗らせてEDになり、元凶の貧乏大学生(19)と同居する話。 成り行きで添い寝してたらとんでも関係になっちゃう、コメディ風+お料理要素あり♪ イケメン投資家(高見)×貧乏大学生(主人公:凛)

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

処理中です...