238 / 261
最終章 人生最大の反抗
238
しおりを挟む
京都での生活も板につき始めた頃、俺は颯斗と共に観光をしに出かけていた。
盆地に位置するこの地域は熱がこもって蒸し暑く、東京のビル街に起こるヒートアイランド現象とはまた違う暑さが篭っていた。
しかし、そんな暑さの中俺たちは指を引っ掛けるようにして手を繋いで見て回っていた。
夏休みのせいか、はたまた元から人が多い地域なのかは分からないが、人がせめぎ合う中、俺たちが手を繋いでいようが気に留めるものは誰もおらず、純粋にデートを楽しんでいた。
「次はどこがいい?何が見たい?」
颯斗は俺と並んで歩きながら俺の顔を見て尋ねてきた。
とても柔らかく、優しい笑みを浮かべている。
愛が伝わってくるような、そんな笑み。
「次は、伏見稲荷がいいかな。ここから遠い?」
「いや、バイクだったら30分ぐらいだな。そこ行こうか。」
颯斗は地図ひとつ見ず、俺の質問に答えた。
颯斗は道を覚えるのが得意なようで、今朝軽く見ただけで様々な場所に連れて行ってくれていた。
まるでここが地元の人間かのように道に迷うことなく、どこへでも連れて行ってくれる。
それはバイクでも歩きでも変わらず、何を思ってか様々な道に入り込んでは、ほぼ方角を頼りに目的地へと進んでいき、それでいて一度も迷わずに最終的には目的地に辿り着く。
とても不思議な感覚だった。
まるで人型のカーナビのように思えてしまうほど、その記憶力は広く正確だった。
伏見稲荷に着けばそれなりに人はいたが、夏休みと言えど平日である今は思ったよりも人は少なかった。
その中を颯斗と手を繋ぎ、名所である千本鳥居を歩く。
朱色に囲まれたそこは、まるで異世界に紛れ込んでしまったかのように、現実味のない幻想的な場所だった。
「颯斗は何でこんなに鳥居が沢山続いてるか知ってる?」
「知らないな。柚希は知ってんの?」
「うん。昔、願い事が通りますようにとか、願い事が通ったっていうお礼を込めて奉納したのが始まりなんだって。だから、この鳥居一つ一つが人の願いなんだよ。この中で、どれだけの願いが叶ったのかな。」
「そりゃ、多分全部だな。願ったら願っただけ叶うもんだからな。」
「颯斗はいっつも極論ばっかり言うよね。世の中には叶わない願いもあるよ。」
「それは、自分が叶うと思ってないから叶わないんだよ。願ってる自分が叶うと思ってないのに叶うわけないだろ。それはただの願望だからな。願いは信念だから。叶えるために願うんだよ。」
颯斗の言葉はいつも力強く、とても自信に溢れている。
他の人がそんなことを言えば、何を綺麗事をって鼻で笑ってしまいそうだが、颯斗の言葉は不思議と素直に受け止められる。
それはきっと、颯斗の強さの裏に、並々ならぬ努力が隠れているからだと思う。
育ってきた環境は決していい環境ではなかった。
両親のことも、イジメのことも、ストリートのことも。
しかし、それを跳ね除けられるだけの力を自らの手で手に入れた。
自分を信じ、その信じた自分が願う事だから叶えられると、誰よりも自分のことを1番信じて行動したから。
そんな人だからこそ、その言葉に嘘偽りがないことが分かる。
盆地に位置するこの地域は熱がこもって蒸し暑く、東京のビル街に起こるヒートアイランド現象とはまた違う暑さが篭っていた。
しかし、そんな暑さの中俺たちは指を引っ掛けるようにして手を繋いで見て回っていた。
夏休みのせいか、はたまた元から人が多い地域なのかは分からないが、人がせめぎ合う中、俺たちが手を繋いでいようが気に留めるものは誰もおらず、純粋にデートを楽しんでいた。
「次はどこがいい?何が見たい?」
颯斗は俺と並んで歩きながら俺の顔を見て尋ねてきた。
とても柔らかく、優しい笑みを浮かべている。
愛が伝わってくるような、そんな笑み。
「次は、伏見稲荷がいいかな。ここから遠い?」
「いや、バイクだったら30分ぐらいだな。そこ行こうか。」
颯斗は地図ひとつ見ず、俺の質問に答えた。
颯斗は道を覚えるのが得意なようで、今朝軽く見ただけで様々な場所に連れて行ってくれていた。
まるでここが地元の人間かのように道に迷うことなく、どこへでも連れて行ってくれる。
それはバイクでも歩きでも変わらず、何を思ってか様々な道に入り込んでは、ほぼ方角を頼りに目的地へと進んでいき、それでいて一度も迷わずに最終的には目的地に辿り着く。
とても不思議な感覚だった。
まるで人型のカーナビのように思えてしまうほど、その記憶力は広く正確だった。
伏見稲荷に着けばそれなりに人はいたが、夏休みと言えど平日である今は思ったよりも人は少なかった。
その中を颯斗と手を繋ぎ、名所である千本鳥居を歩く。
朱色に囲まれたそこは、まるで異世界に紛れ込んでしまったかのように、現実味のない幻想的な場所だった。
「颯斗は何でこんなに鳥居が沢山続いてるか知ってる?」
「知らないな。柚希は知ってんの?」
「うん。昔、願い事が通りますようにとか、願い事が通ったっていうお礼を込めて奉納したのが始まりなんだって。だから、この鳥居一つ一つが人の願いなんだよ。この中で、どれだけの願いが叶ったのかな。」
「そりゃ、多分全部だな。願ったら願っただけ叶うもんだからな。」
「颯斗はいっつも極論ばっかり言うよね。世の中には叶わない願いもあるよ。」
「それは、自分が叶うと思ってないから叶わないんだよ。願ってる自分が叶うと思ってないのに叶うわけないだろ。それはただの願望だからな。願いは信念だから。叶えるために願うんだよ。」
颯斗の言葉はいつも力強く、とても自信に溢れている。
他の人がそんなことを言えば、何を綺麗事をって鼻で笑ってしまいそうだが、颯斗の言葉は不思議と素直に受け止められる。
それはきっと、颯斗の強さの裏に、並々ならぬ努力が隠れているからだと思う。
育ってきた環境は決していい環境ではなかった。
両親のことも、イジメのことも、ストリートのことも。
しかし、それを跳ね除けられるだけの力を自らの手で手に入れた。
自分を信じ、その信じた自分が願う事だから叶えられると、誰よりも自分のことを1番信じて行動したから。
そんな人だからこそ、その言葉に嘘偽りがないことが分かる。
0
あなたにおすすめの小説
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ハイスペックED~元凶の貧乏大学生と同居生活~
みきち@書籍発売中!
BL
イケメン投資家(24)が、学生時代に初恋拗らせてEDになり、元凶の貧乏大学生(19)と同居する話。
成り行きで添い寝してたらとんでも関係になっちゃう、コメディ風+お料理要素あり♪
イケメン投資家(高見)×貧乏大学生(主人公:凛)
相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~
柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】
人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。
その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。
完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。
ところがある日。
篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。
「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」
一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。
いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。
合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる