従順な俺を壊して

川崎葵

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第一章 鷹山高校

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俺が今日感じていたことだが、授業は騒がしいということはなく、至って静かで受けやすい。
真面目が巻き込まれることがなければ生活の不安もない。

そうなればほぼ秘密裏に行われているトップ制度を知っていても知らなくても、普通に学校を卒業できる。
レベルが然程に高くなく、かといって地ほど低くもないここを受験する生徒は幅広く、学校側としても不良よりも真面目な生徒がほしい。

よって、不良と真面目が半分ぐらいの均衡を保ち、それでいてトップ制度が横行している不思議な学校となったようだ。
純粋な不良学校に比べれば校則や生活指導も自由度は低いが、それでも昔から根付いているブランド価値によって強い者が年々集い続けているらしい。

俺は他所から来た人間のため全員知らないが、この辺では有名な人が沢山いる。
先ほど隣でやりあっていた二人も名が知れた人らしく、近藤悠馬と中川大樹は昔から犬猿の仲だという。

2人は一進一退を繰り返しているようだが、京介も何度かやりあいまだ一度も負けていない。
だから学年トップの支障にはならないようだ。

同学年では何人か強い人物を教えてもらったが、同じクラスの人間すらも覚えられていない俺に覚えられるはずもなかった。

ただ、現在のトップである火神颯斗はやとは絶対に覚えておけといわれた。
見かける機会があれば顔も教えてくれるようだが、1年生で下克上を成し遂げるだけあって、かなりの危険人物らしい。

ここのルールに則って無駄な暴力はないが、機嫌を損ねやすいらしく、下手に近づくと一発K.O.させられる危険があるらしいのだ。

その側近である市瀬いちのせ智と久我くが亮もかなり腕の立つ人たちで、変わり者の集団だから死にたくなければ距離をとって生活するのが得策のようだ。

今日はそんな話を聞いて一日を終え、放課後にはまた周辺の地理に慣れるために京介たちの案内で遊びほうけた。
帰りにはきちんとスーパーにも連れて行ってくれ、俺は食材を適当に買い込み、その後は解散しそれぞれ帰路に着いた。
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