従順な俺を壊して

川崎葵

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第二章 最強の男

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「俺が有名なのは話しただろ。上級生は無条件に下級生に喧嘩を売れる。下手に顔覚えられたら巻き込まれるかもしれねぇだろ。」

「でも俺の顔が割れるのも時間の問題じゃないの?」

「普通に顔が割れるのと、覗き見てる状態で顔が割れるのとじゃ意味が違ぇよ。」

「おい田中と亀城、お前たちそこで何やってるんだ。サボってるのか?」

「ちょっと涼んでただけだって。戻るから。」

体育教師が俺達がいないことに気づいたのか顔を覗かせてきたので、京介が適当にあしらって俺達は体育館へと戻っていく。
そのときにチラッと駐輪場に目を向けたが、そこにはもう火神たちの姿はなかった。

その日の放課後は京介たちは用事があるらしく、俺はこの学校に来て初めて一人で放課後を迎えた。

話を聞いてる限り、学年トップの抗争が始まりつつあるらしいので、その関係で2人はどこかに行ったのだろうと察する。
俺に詳細を話さないのは2人なりの配慮なのだろう。

その場に俺を連れ出せば側近と思われ巻き込むのは目に見えている。
純粋に俺が2人の場所を知らないとなれば、次第に側近という立ち居地から抜け出せると考えているに違いない。

俺はその配慮を除け者にされているとは感じていないため、俺は純粋に一人の放課後を楽しむことにした。
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