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辺境領での日常

【merry X’mas】Heroic epic

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ワイナール皇国暦2年



「みんな、久しぶりだね。元気だったかい?」

皇居の奥まった部屋、円卓に5人の英雄達が座る

「どうしたシュトロム?急に呼び出して」
「なんなのよ?寒いからウチの仔達をモフりたいんだけど?」
「ハッハー、相変わらずカリーナは獣人達に囲まれてんだな?」
「なによ?文句ある?あんたこそ嫁が何人になったのよアギト」
「クックック…アギトは夢のハーレムを造ったからな」
「いいじゃねーかよ、この世界の倫理観じゃ悪じゃないんだぜ?バスター」
「まぁそうだよな、それにアギトは嫁全員正妻にしてるしな」
「さすが!良く分かってんじゃんロンデル」

「そろそろ本題に入っていいか?」

「あゝ良いぜ、こうやって揃うのも珍しいしな」
「あたしも久しぶりに皇居にきたわね」
「あ、そういや、さっき俺たちの事を知らない人間が居たぞ?」
「まさか、それは無いだろう?」
「いや、マジだって!“お前は何者だ!”って言われたもんよ。まぁ、そいつは周りからボコられてたがw」

「だいぶ新しい人間を使用人にしたからな、アギトなんか皇居に来たのは1年振りぐらいだろう?
さ、本題に入るけどいいよな?」

「あゝすまん、脱線させちまった」

「うん、まぁいいよ。じゃあ………」
シュトロムがパンパンと手を叩く

「「「「「失礼致します、英雄の皆様」」」」」
メイド達がワゴンを押して入ってくる

「おいおい、なんだよ何事だよ…」
「何が始まるのかしら♪」
「ふむ、甘い匂いがするな?」
「ん?これは泡立ってる?シャンパンか?」

テーブルに料理が並べられ、シャンパンが置かれる

「あら?誰かの誕生日だったかしら?」
「いやいや、こっちの世界は日にちが違うから誕生日はアテにならねーだろ?」
「じゃあ何よ?お祝い事なんでしょう?シュトロム?」

「あゝ祝い事だよカリーナ」
とシュトロムが紅白のトンガリ帽子を被った

「「「「エエェェェェ!?」」」」

「まさかのクリスマスかよ!?」
「え?この世界にキリスト教はねーだろ!?」
「でも、そんな季節なのね…」
「ふん、そういえばそんな行事もあったなぁ…」

「ささやかながらプレゼントも用意した、家に帰ってから開けてみてくれ。まぁ大した品物じゃないから期待しないでくれるとありがたい」

「「「「………」」」」

「こいつってさ…」
「あゝたまにこういう所が凶悪だよな」
「いえてる…」
「俺はお返しなんて用意してないぞ…」

「急なサプライズなんだから、お返しなんて気にしないさ」

「はぁ………相変わらず憎めないヤツだ」
「クックック………まったくだな」
「……来年もやるわよ!やられたらやり返すのが、あたしの流儀よ」
「カリーナ…勝負じゃねーんだから…」


「さぁメインを出すぞ!」

シュトロムが魔法杖staffを振り、テーブルの真ん中に2段重ねのケーキを出した
メイドがケーキの両脇に三叉のキャンドルスタンドを置き火を灯し室内の魔法照明を落とす
蝋燭の灯りに照らされた白いケーキが、薄暗い中でゆらゆらと幻想的に揺れる

「よく…ケーキなんて作れたな…」
「ほう…」
「綺麗ね…」
「…地球を想い出すな…」


「クソッ!クリスマスには音楽も要るんだろ!」
ロンデルが魔法杖でスマホを軽く叩くと静かなメロディが流れる

“聖しぃ~~こ~の夜ぅ~星は~”

「「「「「……………」」」」」



その名が天下に鳴り響く英雄5人

だが、この日この夜だけは静かに泣いていた



「「「「「merry X’mas」」」」」






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