刃先に触れる恋 —君が短くなるたび、僕は惹かれていく—

S.H.L

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第2部

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1|キスのあと、澪の唇に圭介の呼吸が触れ続けた

 唇が離れたあとも、
 圭介は澪を見つめたまま動かなかった。

 顔が近い。
 “触れた”というより、
 “まだ触れている途中”みたいに。

 澪の息は乱れ、
 唇はまだ圭介の体温を覚えている。

 圭介の呼吸が
 澪の下唇にかすかに触れる。

 ふ……

 そのわずかな息だけで、
 全身が反応する。



2|唇の端に触れられ、身体の奥が震える

 圭介の指が
 澪の唇の端にそっと触れた。

 なぞるように。
  確かめるように。

 「……震えてる」

 「だ、だって……」

 言葉の途中で、
 圭介の指がもう一度唇をなぞった。

 指先が触れるたび、
 身体の中心へ熱が落ちていく。

 触れ方はゆっくりなのに、
 逃げられないほど深い。



3|頭皮への触れ方が、“キスより官能的”になる

 圭介は次に、
 澪の1mmの頭へ手を伸ばした。

 ざら……ざら……

 指の腹で円を描くように撫でる。

 1mmは敏感だ。
 皮膚の上で指先の温度が直接伝わる。

 「ん……っ」

 小さな声がこぼれる。

 圭介の息が耳に触れる距離から
 囁きが落ちる。

 「……頭、弱いよな。
  さっきから触れるたび、反応してる」

 澪は顔を赤くして首を振る。

 「し、してません……」

 圭介は微笑む。

 「してるよ。
  隠さなくていい」

 そして
 もう一度、ゆっくり強めになぞる。

 ざり、ざり……

 全身が熱に包まれる。



4|首筋から肩への滑らかな指の移動

 頭を撫でる手が、
 今度は後頭部から首筋へゆっくりと降りてくる。

 首筋は弱い――
 圭介はすでに知っている。

 指先が、
 澪の首筋のラインを沿うように滑る。

 す……

 その一本の線だけで、
 呼吸が跳ねる。

 「っ……!」

 圭介の親指が、
 首の付け根へそっと触れた。

 澪の身体が一瞬震えた。

 圭介が小さく呟く。

 「……ここが弱いの、前から気づいてた」

 その自覚が熱を増幅させた。



5|肩へ手が回り、腰へゆっくり近づいていく

 圭介の手は、
 首筋から肩へ滑り、
 そのまま澪の背中へまわる。

 抱き寄せるというより、
 “感触を確かめていく”ような触れ方。

 肩甲骨のラインをなぞるように、
 ゆっくり、丁寧に。

 澪の呼吸が浅くなる。

 「圭介さん……
  そんな触り方……」

 圭介は澪の腰へ、
 手のひらをそっと添える。

 「嫌か?」

 「……ちがいます……」

 「なら、いい」

 腰へ触れる指先は、
 力は弱いのに、
 逃げられないほど深い。



6|唇が触れそうで触れない。痺れるような近さ

 圭介はもう一度、
 澪の唇に顔を近づける。

 でも触れない。

 呼吸が交わる距離で、
 じっと見つめる。

 澪の心臓は痛いほど早くなる。

 「……圭介さん……
  いじめてますよね……?」

 圭介が小さく笑った。

 「いじめてない。
  ただ……」

 圭介の親指が、
 澪の下唇をもう一度軽く押した。

 ぞくっ

 「……焦らされるの、悪くないだろ」

 澪は声も出せずに頷いた。



7|深く、ゆっくり息を混ぜ合うキス

 焦らし続けたあとで――
 圭介はようやく唇を重ねた。

 けれど、前より深かった。

 ゆっくり、
 角度を変えながら、
 息を混ぜ合いながら。

 澪の背中を撫でる手が、
 下へ――腰へ――
 ゆっくり降りていく。

 接触の一つ一つが、
 熱へ変わる。

 圭介は唇を離し、
 息を近づけたまま言った。

 「澪……
  この先は、
  お前が“望むなら”続ける」

 澪は震えていた。
 でも迷いなく言った。

 「……望んでます。
  もっと……触れてほしいです」



8|溶け合うような抱擁で、夜が深まる

 圭介は澪を抱き寄せた。

 先ほどより強く、
 でも苦しくない抱擁。

 澪の頭に手が回り、
 1mmの髪を撫でながら
 肩のラインへ指が滑る。

 熱が、
 胸の中心から全身に広がる。

 理容店の照明だけが
 二人を照らしていた。

 外の世界は暗くて静かで、
 ここだけが夜の中心だった。
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