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第2部
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1|午前の光が落ち着いた頃、ふたりはまだ離れられなかった
店の外は完全に朝になり、
商店街のシャッターが一つずつ開いていく音が聞こえてきた。
だけど、
澪と圭介はまだ店の奥で寄り添ったまま
動けずにいた。
離れれば日常に戻る。
だから、離れられなかった。
圭介が澪の肩に手を置いたまま言う。
「……そろそろ店、開けなきゃな」
言葉は現実的なのに、
声はまるで名残惜しさで濡れていた。
澪は小さく頷く。
「……はい」
でも、身体は動かない。
圭介の胸の温度から離れられない。
⸻
2|立ち上がろうとした瞬間、圭介が澪の手首をそっと掴む
澪がようやく体を起こし、
立ち上がろうとしたその瞬間。
圭介の指が
そっと澪の手首を掴んだ。
きゅ……
強くない。
けれど、逃がす気のない触れ方。
澪は振り返る。
圭介は澪の指先を見つめながら言った。
「……まだ、行くな」
その声は、
昨日の夜より低く、深かった。
⸻
3|手首を引かれ、澪は圭介の胸元に倒れ込むように近づく
引かれた反動で、
澪は圭介の胸元に軽くぶつかった。
圭介の両腕が反射的に澪の腰に回る。
そこは、
明らかに恋人としての抱き寄せ方だった。
澪は息を呑む。
「あ……」
圭介の手のひらが、
澪の腰骨のラインをゆっくりと包む。
その温度が、
昨日の夜の続きを呼び起こす。
⸻
4|1mmの頭に、圭介がためらいなく触れた
圭介は澪の頭に手を伸ばし、
ためらいなく撫でた。
ざら……ざら……
頭皮の感覚が直に伝わる長さ。
澪は目を閉じる。
「……っ……」
小さく漏れた息に、
圭介の指が止まる。
「また震えたな、澪」
「し、してません……」
「嘘が下手だ」
そして圭介は、
昨日よりゆっくり、深く撫でた。
耳の上、後頭部、襟足。
敏感な場所すべてを、
丁寧に確かめるように。
⸻
5|首筋をなぞる指先に、澪は背中を反らせる
圭介の手は
頭から首筋へ滑り落ちていく。
す……
その一線だけで、
澪の身体は反応してしまう。
背筋がわずかに反り、
圭介の胸へ体が近づいた。
圭介はそれを見て
目を細めた。
「……澪。
そんな反応されたら……
開店どころじゃなくなるぞ」
澪は耳まで赤くなる。
「だ、だって……」
⸻
6|唇を求める距離まで近づく。けれど触れない
圭介は澪の頬に手を添え、
自然に唇の距離を詰めた。
今にも触れそうな距離。
呼吸が混ざる距離。
澪の心臓が跳ねる。
「……圭介さん……」
圭介は答えない。
ただ、距離を縮めるだけ。
触れないまま、
ほんの数ミリで止まる。
触れないキスほど、
苦しくて甘いものはない。
澪は思わず囁いた。
「……キス……
してくれないんですか……?」
圭介は小さく笑う。
「したら……本当に遅刻する」
⸻
7|そのかわりに、額と額を強く寄せ合う
圭介は唇ではなく、
額を澪の額に強く寄せた。
こつ……
静かな音。
でも、その距離は
キスよりも深く、
恋人以上の温度があった。
圭介が低く囁く。
「澪。
触れたい気持ちなら……
朝より今の方が強い」
澪は震える声で返す。
「……わ、私も……」
8|腰を抱かれたまま、圭介が言う
圭介は澪の腰を抱いたまま、
ゆっくりと引き寄せた。
澪の呼吸が跳ねる。
「……圭介さん……」
「澪」
圭介は澪の耳元に唇を寄せた。
触れないほどの距離で。
ふ……
息がかかるだけで、
澪は全身が熱くなる。
圭介は囁いた。
「帰りも……ここに来い」
「……はい……」
「そして……
夜の続き、しよう」
澪は息を詰めた。
圭介は優しく笑い、
最後に頭を撫でて言った。
「じゃあ行こう。
開店……二人の一日が始まる」
店の外は完全に朝になり、
商店街のシャッターが一つずつ開いていく音が聞こえてきた。
だけど、
澪と圭介はまだ店の奥で寄り添ったまま
動けずにいた。
離れれば日常に戻る。
だから、離れられなかった。
圭介が澪の肩に手を置いたまま言う。
「……そろそろ店、開けなきゃな」
言葉は現実的なのに、
声はまるで名残惜しさで濡れていた。
澪は小さく頷く。
「……はい」
でも、身体は動かない。
圭介の胸の温度から離れられない。
⸻
2|立ち上がろうとした瞬間、圭介が澪の手首をそっと掴む
澪がようやく体を起こし、
立ち上がろうとしたその瞬間。
圭介の指が
そっと澪の手首を掴んだ。
きゅ……
強くない。
けれど、逃がす気のない触れ方。
澪は振り返る。
圭介は澪の指先を見つめながら言った。
「……まだ、行くな」
その声は、
昨日の夜より低く、深かった。
⸻
3|手首を引かれ、澪は圭介の胸元に倒れ込むように近づく
引かれた反動で、
澪は圭介の胸元に軽くぶつかった。
圭介の両腕が反射的に澪の腰に回る。
そこは、
明らかに恋人としての抱き寄せ方だった。
澪は息を呑む。
「あ……」
圭介の手のひらが、
澪の腰骨のラインをゆっくりと包む。
その温度が、
昨日の夜の続きを呼び起こす。
⸻
4|1mmの頭に、圭介がためらいなく触れた
圭介は澪の頭に手を伸ばし、
ためらいなく撫でた。
ざら……ざら……
頭皮の感覚が直に伝わる長さ。
澪は目を閉じる。
「……っ……」
小さく漏れた息に、
圭介の指が止まる。
「また震えたな、澪」
「し、してません……」
「嘘が下手だ」
そして圭介は、
昨日よりゆっくり、深く撫でた。
耳の上、後頭部、襟足。
敏感な場所すべてを、
丁寧に確かめるように。
⸻
5|首筋をなぞる指先に、澪は背中を反らせる
圭介の手は
頭から首筋へ滑り落ちていく。
す……
その一線だけで、
澪の身体は反応してしまう。
背筋がわずかに反り、
圭介の胸へ体が近づいた。
圭介はそれを見て
目を細めた。
「……澪。
そんな反応されたら……
開店どころじゃなくなるぞ」
澪は耳まで赤くなる。
「だ、だって……」
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6|唇を求める距離まで近づく。けれど触れない
圭介は澪の頬に手を添え、
自然に唇の距離を詰めた。
今にも触れそうな距離。
呼吸が混ざる距離。
澪の心臓が跳ねる。
「……圭介さん……」
圭介は答えない。
ただ、距離を縮めるだけ。
触れないまま、
ほんの数ミリで止まる。
触れないキスほど、
苦しくて甘いものはない。
澪は思わず囁いた。
「……キス……
してくれないんですか……?」
圭介は小さく笑う。
「したら……本当に遅刻する」
⸻
7|そのかわりに、額と額を強く寄せ合う
圭介は唇ではなく、
額を澪の額に強く寄せた。
こつ……
静かな音。
でも、その距離は
キスよりも深く、
恋人以上の温度があった。
圭介が低く囁く。
「澪。
触れたい気持ちなら……
朝より今の方が強い」
澪は震える声で返す。
「……わ、私も……」
8|腰を抱かれたまま、圭介が言う
圭介は澪の腰を抱いたまま、
ゆっくりと引き寄せた。
澪の呼吸が跳ねる。
「……圭介さん……」
「澪」
圭介は澪の耳元に唇を寄せた。
触れないほどの距離で。
ふ……
息がかかるだけで、
澪は全身が熱くなる。
圭介は囁いた。
「帰りも……ここに来い」
「……はい……」
「そして……
夜の続き、しよう」
澪は息を詰めた。
圭介は優しく笑い、
最後に頭を撫でて言った。
「じゃあ行こう。
開店……二人の一日が始まる」
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