甘える君は可愛い

希紫瑠音

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年下ワンコはご主人様が好き

1・波多

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 このまま一緒に住みたいと言いだした久世に、期限をつけて引っ越し先を探させることにした。

 嫌だと駄々をこねられ、仕方がないので一緒にネットで情報を見たり不動産屋を回ったりしてやった。

 久世が選んだ引っ越し先に文句を言いそうになったが、それを理由に居つかれたら嫌なので我慢した。

 そう、彼の引っ越し先は波多の住むマンションの目と鼻の先だった。

「これから行き帰りと一緒ですね」

 毎日、迎えに行きますねと笑顔で言われて、ウンザリとした顔を向ける。

「来るな、迷惑だから」

 朝から無駄に体力を消耗したくはない。

「えぇっ、嫌です。その為に近くに引っ越しをするんですから」

 ぎゅっと抱きしめられて、ウザいと突放す。

「両思いなんですし、良いじゃないですか!」

 ね、と、唇にキスをしようとする久世の頬を手で挟んで止める。

「はたさぁ~ん」

 何故、止めるのかと久世が唇を尖らせるのを指で挟んでふにふにと動かす。

「俺とお前は両想いじゃない。したがってキスもしない。OK?」
「むぎゅぅ」

 あからさまに落ち込む久世から指を離し、しょうがないなというように髪をワシワシと撫でてやる。

「家具や電化製品を見に行くの、付き合ってやるぞ」

 と言えば、「本当ですか!」とすぐに表情が明るくなってホッとする。

 毎日「好き」や「愛している」を波多に告げて甘えてこられたら少しくらいは情がわく。だが素直になれずに告白の返事は曖昧にしたままだった。





 電化製品は前の日に見て回ったので、後は家具を選ぶだけだ。インテリアの店に行き、早速必要な家具を眺めていく。

 シンプルなデザインが好きな波多はつい、そちらに目がいってしまう。久世の好みもあるだろうに、自分で選べと言ってもそれでいいと決めてしまうのだ。

「お前なぁ……」
「波多さんの選ぶの、シンプルで良いですもん。あ、ベッド」

 ソファーやベッドのあるコーナーで久世は一直線にキングサイズのベッドの元へと向かう。

「こんなに大きいのは要らないだろうが」
「いりますよ。ゆったりとしてますよ」

 二人で寝ても大丈夫です、と、耳元で言われて。馬鹿と腹に肘鉄を食らわせる。

「これは要らん。こっちにしろ」

 セミダブルのベッドを指さすが、嫌だと首を振る。

「ならばせめてダブルで……」
「必要ない」
「俺は、波多さんと一緒に……、もがっ」

 とんでもない事を大きな声で口走りそうな久世の口をあわてて塞ぐ。

「変な事を言うんじゃねぇよ」
「ううっ」

 しゅんと落ち込んでキングサイズのベッドを眺めている。理由が理由だけに好きにしろとは言えない。

もう全然選ぶ気がない久世のかわりに波多好みの家具ですべての家具をそろえた。
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