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第二部 第3章
392.秘密の会合1
「───て事があったのよ! あのおバカ妖精、とんでもない事をしでかしてくれたわ!」
「そ、それは確かにとんでもない事ですわね……」
企画書を提出したは良いが、テオ様がお忙しそうでしたので、早々に執務室を出て、ノアとぺーちゃんの様子を見に行こうとしていた時に、皇后様が転移してきて、ムキーッと怒りを顕にしている所なのだ。
しかし、話を聞けば皇后様の仰る事はもっともで、フォローはできそうにない。
妖精にとってはピカピカと光るただの石だが、人間にとっては、喉から手が出るほどに欲しいと思わせる魅惑の宝石である。
「妖精は人間とは感覚が違いますから、そういった事がわからないのかもしれませんわね」
「そこが増々問題なのよ! 宰相が見つけたから良かったものの、もし、使用人や他の貴族が見つけていたらと思うと、ゾッとするわ」
「そうですわね……。アカには、ポイ捨てしてはダメだと注意しておきますわ」
「イザベル様、そこじゃないのよ……」
あら? ポイ捨ての事はよろしいのかしら?
「イザベル様も大概ズレてるのよね」
「まぁっ、わたくし妖精たちのように、感覚が違うなどということはございませんのよ」
心外ですわ、と皇后様を見ると、眉尻を下げ、困った顔をした彼女と目が合った。
「う~ん……、アタシから見れば、イザベル様の感覚って妖精に近い気がするわよ」
皇后様にそのように指摘されて、結構ショックでしたわ。
「それより、イザベル様はアオが神殿から持って帰ってきた、あのブルーダイヤ、どう処理したの?」
「処理って……ゴホンッ、わたくしは、一切触っておりませんわ。ノアのおもちゃ箱に入ったままだと思いますの」
だってあんな大きなブルーダイヤ、動かしたり触ったりしたら呪われそうで怖いですわ。まぁ、実際呪いが無い事は妖精たちに聞いているから、ノアのおもちゃ箱に入れっぱなしになっているのだけど。
「アタシも、取り合って戦争が起きそうなものは仕舞っておきたいわよ……」
「グランニッシュ帝国は大国ですし、公開しても攻めてくる国はなさそうですけれど……?」
だといいのだけど……と溜め息を吐くので、どこか怪しい国でもあるのだろうか。
「そうだ。イザベル様、新素材の名称に関しての会合だけど、来月に皇城で他国の外交官を交えたパーティーを開く予定なのよ。その時に合わせ出来たらと思うのだけど、どうかしら?」
シモンズ伯爵も、ついでにパーティーに出席できるじゃない。と仰るのだけど、そんな規模の大きそうなパーティーを開催されるのでしたら、ついではその会合ではございませんの?
「わたくしは構いませんわ。残念ながら、貴族の間では妊婦がパーティーに出席すると、外聞がよろしくない風潮ですので、わたくしは出席は見合わせていただく事になりそうですが……」
「そうねぇ。パーティーの方は、テオ様も心配するだろうし、今回は控えた方がアタシもいいと思うわ」
ウチも第一皇子と第一皇女以外の子の参加は見送ったのよ。とカラカラ笑う皇后様に相槌をうちながら、ひと月後の会合で何を話し合うのかや、パーティーではどちらの国の外交官が出席するなど、世間話も交えお喋りしていれば、皇后様のアカに対する怒りが収まっていたのでホッとしましたわ。
そうしてあっという間にひと月が経ち、秘密の会合と銘打った国のトップたちの集まりは、ディバイン公爵家でひっそりと開かれたのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
~ おまけ ~
カミラ視点
「ぅっ、きゅ、ぅっ、きゅ」
ぷっきゅ、ぷっきゅと靴の音を鳴らしながら、それの真似をしてうっきゅ、うっきゅと歌うぺーちゃん様と、仲良く手を繋いで、ニコニコしながら歩幅を合わせて歩いてあげているノア様の後ろを、なんて可愛らしいのでしょうか。と胸をキュンキュンさせながらついて回ります。
天使が二人に増えたディバイン公爵家では、最近良く見られる光景なのですが、音の鳴る靴を奥様が開発された後は、その音が聞こえてくると、使用人たちが仕事の手を止めて、頬を緩ませたまま、ノア様とぺーちゃん様を見守るというのが習慣化された気がします。
「ぺーちゃん、おうたのおくちゅ、しゅきね」
「ぁーい! ぺぇちゃ、ぅちゅ、ちゅっき!」
「うふふっ、わたちね、ぺーちゃんのあるいてりゅとき、きこえるおうた、しゅきよ」
「にょあ、ぺぇちゃ、ぅちゃ、ちゅっき?」
「しょうよ。だぁいしゅき」
「にゃ!」
奥様、今日もノア様とぺーちゃん様は尊いです。使用人一同、音の鳴る靴を開発してくださった奥様に、とても感謝しています!
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