継母の心得

トール

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第二部 第3章

410.諦めない気持ち



最初は喋る機会を奪われていたノアの為に、知育玩具を作る過程で出来たおもちゃ屋は、今では数々のおもちゃが並び、ディバイン公爵領の本店を筆頭に、シモンズ伯爵領、帝都、その他といくつかの支店も増え、大きな玩具量販店の様相を呈してきた。

「とはいえ、ノアの為にももっと、楽しいおもちゃを作る必要がありますわ!」

拳を握り天へ突き上げると、それを近くで見ていたミランダが、目を丸くしてしまいましたの。申し訳ありませんわ。

「奥様、また何か考案されるのでしょうか……」
「ホホッ、まだ何も思いついておりませんのよ。そういえばミランダ、炭酸ハーブパウダーの入浴剤に、おもちゃを入れる案を出していた件だけれど、どうなっておりますの?」
「以前、中に入れるおもちゃのサンプルを見ていただきましたが、そちらを大量に生産している段階です。金型職人が他に手を取られている状況でしたので、少し時間がかかっているようです」

そ、そうですわよね。トランプだとか、他のおもちゃだとか、色々発注しましたものね。

「無理だけはさせないように、しっかりお休みは取ってもらってちょうだい。時間はかかっても大丈夫ですわ」
「かしこまりました。そのように伝えておきます」

ミランダに「お願いね」と頼み、つい最近、隣国の開発した紙で作った手帳にメモを取る。

「……それと奥様、オムツですが、隣国の紙であっても、大量の水分を吸収させるのは無理があるようです。どうしても紙が破れたり、水が漏れたりするようで……」
「そう……やっぱり水分の吸収に特化した紙自体を作り出す必要があるのかしら……」

とはいえ、わたくし紙の事は詳しくありませんし……、ジェラルド殿下に頼むわけにもいきませんわよね……。

「できるだけ赤ちゃん用品も充実させたいと思っておりますの。それに、赤ちゃんと親の負担を減らす為にも、オムツは絶対必要ですのよね……」
「奥様、紙でなくてはダメなのでしょうか?」

ミランダにそう言われてハッとした。
確かに、前世では紙オムツが主流だったから、紙オムツでないとダメだと思っていたけれど、もしかしたらこの世界には、代用できる素材があるかもしれませんわ! 何しろ新素材……ベリッシモのような便利なものも出来たくらいですもの。

「そうよね、ミランダ。わたくし、少し考えが凝り固まってしまっていたみたいですわ」

何か使えるものがないか、図鑑をみてみましょう!

公爵家の図書室に移動し、様々な図鑑を机に積み上げると、わたくしの定位置となった、窓側の席へと座る。

「まずはいつもの植物図鑑ですわね」

これほど何度も植物図鑑を見ている人はいないのではないか。と思えるほど見ている図鑑をまた広げる。

「何度も見ても新たな発見があるのが、図鑑の良い所ですわよね」

決して植物図鑑オタクではないのだが、わたくしの素材開拓の一環に図鑑は必要不可欠なのだ。

「けれど、オムツに使えそうなものはなさそうですわね……。トイレットペーパー代わりになる葉っぱとかはあるみたいですけれど……でも、残念。水分の吸収力はなさそうですわ」

そう簡単に、紙オムツの代わりになる素材なんて見つかりませんわよね。

植物図鑑の最後のページを開きながら息を吐く。そして本を閉じると、次の本を手に取った。

「植物だけが素材ではありませんわ。有り得ないと思うものが、逆転の発想で思わぬものに変わるというのが起こり得るのですもの!」

わたくし、絶対諦めませんわよ!

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