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第二部 第3章
411.スライム 〜 イザベル視点/ノア視点 〜
「魔物図鑑……」
植物図鑑も鉱物図鑑も読み切り、残るは魔物図鑑のみ。これを最後に、今日は調べ物をお終いにしましょう。
そう思って開くと、図鑑というか、想像上の生き物が描かれている……妖怪大図鑑のようなもので、これは実際採取出来なければ意味がありませんのよ……と、落胆する。
「これは……人魚ですわね。こっちの世界でも、物語に出てくるような幻の生物ですわ。なになに……人魚の流す涙は宝石で、その肉は不老不死の妙薬となる。う~ん……、不老不死に魅力を感じませんし、人魚の肉を食べたいとは思いませんわ。それに、人魚って魔物に分類されますの?」
目的を忘れて、ただ面白い読み物として堪能してしまっていた。
「あら、こっちはユニコーン。バイコーンまでいますわ。これって、魔物図鑑ではなく、幻獣図鑑ではなくて?」
わたくし幻獣で好きなのは、やっぱりドラゴンですわ。麒麟も良いですわよね。
「ザ・魔物っていうなら、やっぱりスライムは外せないですし」
そういえば、ラノベにスライムを活用して生活水準を上げたりするっていう物語がいくつかありましたわ。
「スライム……」
この世界では、人間を襲ったりもせず、ゴミや排泄物を食べてくれる、とても素晴らしいECOな魔物ですのよ。お陰で中世ヨーロッパあるあるの、衛生問題もなく、匂いに悩まされる事もない生活が送れておりますわ。
ちなみに、とても弱い生物で、踏んでしまうと消滅しますの。
脱皮を繰り返して少しずつ大きくなって、ある程度大きくなったら水に還ってしまいますが、多分成長過程で分離して数を増やしているから、全滅する事はありませんのよ。
「脱皮後の皮も、暫くすると水に変わりますから、特に問題にはなりませんけれど……あ、放置すると小さな水溜まりになるわね」
だからスライムの皮を見つけたら、皆が溝に落とすようにしていますのよ。
「……スライムって、水分を吸収しますわよね」
ちょっと調べてみようかしら。
「ミランダ、スライムの研究報告書ってありますかしら?」
「確認してまいります」
そばで待機していたミランダは、すぐに本棚へ向かった。
ミランダは大体の本の場所を覚えているから、すぐに探してきてくれるだろう。
「そういえばわたくし、スライム以外の魔物って、見たことありませんわ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ノア視点
「───と、このように、街の周りや、街道……大きな街と街を結ぶ道の事ですが、人通りの多い街の外の道には、魔物よけの効果がある木が植えられております」
「まもの、き、こわい?」
「いえ、木を恐れるというより、その匂いを嫌うようで、旅人や商人はその木から作られた匂い袋を必ず持っているのですよ」
しょうなのね。せんせーのおはなち、たのちぃ!
「ちなみに匂い袋は、ノア様もお持ちですよ」
カミラがね、わたちももってるって、おちえてくれたのよ。
「わたち……、わたしも、もってる?」
「はい。お洋服の裏側に縫い付けられています」
こおちゃくけの、ちとは、おようふく、みーんな、においぶくろついてりゅのって、カミラが。
「ぺぇちゃ、みょ?」
「もちろん、ぺーちゃん様のお洋服にも縫い付けていますよ」
はじめて、ちったのよ。だから、まもの、あったことないのね。
「ただ、不思議な事に、魔物であるスライムには全く効果がないようで、スライムは魔物ではないのではないか、と様々な学者が研究している最中なのです」
「ちぇ……せんせ、しゅらいむ、みたことないの」
「そうですね。道端にはよくいるのですが、ノア様は見かける機会が少ないかもしれません」
しゅらいむ、わたちだけ、あいたくない?
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