継母の心得

トール

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第二部 第3章

425.ネロウディアスと神殿 〜 ネロウディアス視点 〜



ネロウディアス皇帝視点

「イーニアス、ノア、変な形の壺があるのだ! 人の上半身のような形の壺なのだぞ……」

神殿内に踏み込み、珍しい造りの柱や壁の模様、装飾品に視線を奪われながらも進んでいくと、気持ち悪い壺が置いてあるではないか。

『それ、ワナにかかってしんだ、にんげん!』
「ヒィィィッ!!」

本物の人間!? 本当に!?

「ちちうえ、わたしのうしろへ、さがってください」

イーニアスが、レーテに似て頼もしいのだ!

「イーニアス! うぅ……なんて頼もしい息子! でも朕は父上なのだ。だから朕がイーニアスと、ノアを守るのだぞ!」
『ネロ、あしもと、ムシ!!』
「キャアッ!!」

今日は虫デーか!

「ネロおじさま、こっち、むち、ないのよ」
「う、うむ。ではそっちを皆で歩くことにしよう!」
『あ、ネロ、そこだんさ、きをつけて!』
「ぎゃんっ!!」

今、足がグキッて!?

顔から地面にダイブし、暫く動けなくなってしまった……。

「ちちうえ! だいじょうぶ、ですか!?」
「ネロおじさま、だぃじょぶ?」
「か、顔が……っ、だ、大丈夫なのだ。朕はこんな事では負けぬ。しかし、焔神の加護があるのに、罠があるとは……っ、恐ろしい場所なのだ」

加護があっても発動する罠に、そこまでするか、と叫びたくなったのだ。

『ワナ、ちがう!』
『ネロ、こわがり!!』
「皆、気をつけて行くのだぞ!」

公爵は、朕を軽蔑したような目で見てくるが、意味がわからぬぞ。
その点、子供たちはお互いに頷きあって、朕の手を掴んでくる。

罠が怖いのだな。安心するがいい。朕が命にかえても……

「朕の服の中に水滴が落ちてきたのだ!」


◇◇◇


「ちちうえ、ほおもつこに、とおちゃくしました」

なんやかんやと、無事宝物庫にやって来たのだが、そういえば、この神殿には枢機卿が住んでいるという事だが、いないのだな。

「あっ、おとぅさまの、ぞお、いたの!」
「私の像だと……? 私はこんな顔ではない」

ノアが嬉しそうに、宝物庫の扉のサイドにいる、厳つい像を指差した。

「おおっ、ノアの言う通り、公爵にそっくりなのだ!!」

驚くほど公爵ににているな。この目つきが。
ちょ、公爵よ。そのような人を殺しそうな目で、こちらを見ないでほしいのだぞ!

「「こんにちは、おじゃまちます(する)!」」

子供たちが石像に挨拶すると、石像が頷いたではないか!

「石像が動いた!? ぅお、おじゃまするのだ!?」

ゴゴゴ……

なんと! 石像が宝物庫の扉を開けてくれるのか!

『おたからー!』
『おたから、いっぱーい!!』
「む? お宝だと……?」

妖精たちの声に、石像から宝物庫の中に視線を移すと……

「ぎゃーっ、目がァ!!」
「ネロおじさま、だいじょーぶ?」

金銀財宝の山に、光が反射して、朕の目に直撃したのだ。

罠か!?

「な、何だここは!? 金銀財宝の山が、今にも雪崩れてきそうで怖い!」
「うるさい」
『ネロ、こわがり!』
『これ、ほーのーされた、たから!!』

公爵、ノアに石像に似ていると言われたから、機嫌が悪いのはわかるが、朕にあたらないでほしいのだ。

「ちちうえは、キラキラもにがて、ですか?」

朕の優しい息子がちょっと引いている。

「ち、違うのだ、イーニアス……っ」
「ちちうえの、ぎょくざは、キラキラしているのに……」

いや、あの玉座は……、実は苦手なのだ。

「イーニアス殿下、風と水の神殿に行く転移陣は、どちらにあるのでしょうか」
「うむ。ふたつのいしが、あるばしょへ、いくのだ」

公爵の質問に、イーニアスが宝物庫の奥を見る。朕の手を引き、連れて行ってくれるのだ。

「行き止まりなのだぞ?」
「ちちうえ、あのいしに、まりょくをこめるのです」
「なるほど! 転移した所と同じなのだな!」

今度こそ、私が魔力を流すのだ!

「ノア」
「はい、アスでんか

イーニアスとノアが頷き合って、仲良しだと微笑ましく思っていたら、二人がその石に魔力を込めているではないか!

ショックで膝をつきそうになったが、もちろん子供たちを責めるなどできぬ。

「これ、みんないっちょ、さわりゅのよ」
「一緒に触ればいいのか」

浮かんできた光の文字に、ノアと公爵、イーニアスが手を伸ばしたので、朕も慌てて手を伸ばしたのだ。


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