継母の心得

トール

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第二部 第3章

430.風の神獣 〜 テオバルド視点 〜



テオバルド視点


『あっちゅ、かぜのちゅっじゅー、モモンガ、でごぜぇやちゅ!』
「ちゅっじゅー? ふわふわ、はんかち!」
『ちゅっがいやす、おぼっちゅん。あっちゅ、はんかちゅ、ではなく、かぜのちゅっじゅー』

また変なものが出た……。

「ふわふわ、かわいーの!」
『てれやす……』

上から降ってきたモモンガを、手の上に乗せて目を輝かす息子が、とんでもない事を言い出した。

「おとぅさま、おかぁさまに、ちゅっじゅー、ももんがー、もってかえりゅ!」
『おぼっちゅん、ちゅっじゅー、ももんがーではなく、モモンガでごぜぇやちゅ。もってかえってもらったら、こまるんでござんちゅ』
「ごじゃんちゅ!」

ノアがモモンガに夢中になっている。このままでは、本当に持って帰りそうだ。

「貴殿は、風の神獣か」
『だんなさん、はなちゅが、はえーっちゅ。そのとおり、あっちゅ、かぜのちゅっじゅーでござんちゅ』
「モモンガなのか、ネズミなのか、どっちだ」
『モモンガで、ごぜぇやちゅ!』
「……そうか」

その語尾はネズミだろう。

『おぼっちゅんが、このかいだんを、あがりきるのは、とてもじゃねーちゅが、むっちゅかちゅーとおもいまちゅて、まいりやちゅた!』

その語尾は何とかならないのか。

『こっからは、あっちゅが、てだすけいたちゅやちゅ!』
「おてちゅだい、ちゅてくれりゅ?」

ノア、話し方が移っているぞ。

私の息子は、風の神獣だというモモンガがいたく気に入ったらしい。話し方まで真似て、今日一番の笑顔で話している。

『もちゅろん、おてちゅだい、させていただきやちゅ!』
「おねがい、ちま……ちゅまちゅ!」
『では、おぼっちゅん、だんなさん、あっちゅのいうとおりに、ちゅてくだせぇっちゅ』

モモンガは、ノアの手のひらで両手両足を広げると、まさにハンカチのような形になる。

『こうやって、てあちゅを、ひろげて、おくんなせぇっちゅ』
「こう?」
『アオも、やるー!!』

素直に手足を広げるノアとキノコに、モモンガが、『では、いきまっちゅ!』と、階段(ノアの手のひら)から塔の真ん中に向かって飛び跳ねたのだ。

ゴゥ……ッ

その瞬間、下から風が吹き上げ、モモンガが空高く舞い上がる。

『あっちゅのように、ちゅっでんの、まんなかに、とびこんでくだせぇっちゅ!』

吹き上げる風に乗り、上へ上へと上がっていくモモンガに、ますます目を輝かせた息子は、「わたちも、やりゅ!」と階段から飛び降りた。

「ノア!」

息子は上昇気流に乗り、あっという間にモモンガのいる場所へと飛び上がってしまった。

『ノア、まってー!! アオも!!』

キノコまで……

「……仕方ない」

つまり、身体の広い面に風を受け飛ぶのだろう。と階段から体を投げ出せば、かなりの勢いで風を受ける。

気流に乗れば、後は体勢を変えても問題はないはず。

モモンガのような体勢から、少しずつ立ち上がるよう調整していく。

『だんなさん、ちゅろうとじゃあ、ありやせんっちゅね』

いつの間にか隣にいたモモンガが、そう言って目を丸くする。いや、元々まん丸の目だ。

『このままいっきに、ちゅっじょーに、いきやちゅよ!』

頂上に行くと言ったのか? やはりその喋り方は、少しわかりづらい。

「アオ、わたち、とんでりゅー!」
『アオも、とんでるー!!』

キノコは羽があるだろう。いつも通りだ。

『ドーンといきやちゅんで、おどろかねぇで、くだせぇっちゅ』
「ドーン?」

モモンガが言葉を発した刹那、さらに強い風が、下から上がってきて、上昇する勢いが増す。
危険だとノアに手を伸ばし、抱きしめると、そのまま塔の天井部分にぶつかって……っ

『とうちゅっく!』

通り抜けた、だと……?

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