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第二部 第3章
444.ペンダントと魔法陣 〜 イザベル視点/テオバルド視点〜
「きゃーっ」
「ノア、すごいっ、とんでる!」
風の神殿に行くには、何段あるんだという、長い長い階段で上がるか、それとも風に乗って逆バンジーするか、なのだそうだ。当然わたくしは皆から止められ、塔の下から上を眺めている。
ノアの転移でも行けるのだろうけれど、ノアはこの逆バンジーが大好きらしい。先程からイーニアス殿下と逆バンジーをして大喜びしているのだ。
「まぁ、楽しそうですわ」
モモンガ改め、ももんちゅが起こす魔法の風なので、怪我も絶対しない、安全な逆バンジーというので、こうして安心して見ていられるというものだ。
「おもちゃの宝箱にも欲しいアトラクションですわね」
「奥様、このアトラクションは親御様から、心配の声が上がりそうです」
ミランダに冷静に止められ、気まずくなってゴホンッと咳をして話を変えようとしたが、マディソンとカミラが生温い目でわたくしを見ていた。
「そ、そろそろ帰らないと、テオ様も皇后様たちも心配しますわね」
「そうですね。ノア様とイーニアス殿下にお声をかけてまいります」
「お願いしますわね。ミランダ」
マディソンのアドバイスもあり、神殿に来る前にテオ様には伝えておりますから、騒ぎになってはいないと思いますが、遅くなるとよくありませんものね。
こうして、風と水の神殿見学兼名付けは無事に終わり、公爵家へと転移したのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
テオバルド視点
風と水の神殿……あの扉にあったディバイン公爵家の紋章が気になり、当主のみが出入り出来る宝物庫の奥にある、公爵家に関する資料を、ノアとベルが出かけている間に調べていた。
ベルは妊婦だが、あまり部屋に閉じ込めてストレスを溜める事は身体に良くない、とマディソンに言われ、神殿に行く許可を出したが、心配だ。
「───これは……」
先祖の日誌を見ていたのだが、初代の日誌の装丁の厚みがおかしい事に気付く。
他と比べると、明らかに厚みがある……。初代の遺物だから凝った装丁にしているのかと思っていたが……
「まさか、」
ポケットからナイフを取り出し、表紙の内側に張られた革を切ってみると、四角い切れ込みがあり、それにナイフの刃を入れこじ開ける。すると、中に何かが入っているようで……
「公爵家の紋章を模したペンダント……?」
出てきたのは、青の石がはめ込まれたペンダントだったのだ。
「魔石のようだが……」
青い石は宝石ではなく、魔石のようで、そういえば、このようなペンダントに見覚えがある。と少し前に神殿内で起きた、枢機卿が発端の事件を思い出したのだ。
「あの時、枢機卿が『証』だと言って持っていたものに、似ている」
だとしたら、これは初代ウェルス様が管理者ないし、神殿に関係していた証拠ではないだろうか。となると、あの家紋を扉に刻んだのもウェルス様が……?
「待て……、この魔石の中に、何かの模様が浮かんでいる」
夜になると、ぺーの目にも浮かぶあの魔法陣とやらに似ているな。
魔法陣ならば、魔石に魔力を込めれば何らかの魔法が発動するのではないだろうか。
「……やってみるか」
日誌の中に隠されいた、証に似たペンダント。そして魔法陣が刻まれた魔石……、どこかに転移させるものであれば、もっと大規模なものになるはずだ。となると、考えられるのは……
ペンダントの魔石に魔力を込めてみれば、
『───……』
魔石から、光とともに、向こう側が透けた銀髪の男が現れたのだ。
『───この、映像を見ている者よ……、───は、ウェルス……、バイン……家の、───当主……』
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