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第二部 第3章
456.狙われたイザベル10
「ケヴィンさん、あんたを訪ねてお客さんが来たよ!」
「え? お客様??」
「外套被って怪しい感じだけど、大丈夫かぃ? あれだったら、騎士様呼んでくるけど」
「外套……」
「四人組で、ありゃ多分一人は女性だね」
「女性ですか……。とりあえず会ってみますね」
「何かあったら叫ぶんだよ! ディバイン公爵領都はみんな頼り甲斐があるからね!」
「ありがとうございます。頼りにしています」
……なんて会話が聞こえてきますわ。
それはそうですわよね。わたくしたち、怪しすぎますもの。
ケヴィンさんたちとお話をする為、彼らの泊まっている宿にテオ様、ウォルト、護衛騎士、わたくしの四人で押しかけたのだけど、ほら、普段の装いですと目立ちますでしょう。それでこのような外套を被っていますのよ。
そうしたら案の定、宿の女将さんにたいそう怪しまれておりますの。
そもそも、わたくしたちがこちらに来るのではなく、ディバイン公爵邸へ呼べば良いという話なのですが、テオ様曰く、頻繁に邸を出入りすると、ケヴィンさんたちの身が危ないとの事でしたので、こうして参りましたのよ。
テオ様は「ベルは屋敷で待っていた方が良い」などと言って、わたくしを連れて来ることを、最後まで反対しておりましたけれど、それを振り切って無理矢理ついてきましたの。だってわたくしを訪ねて来てくださった方ですのよ。だから少しテオ様の機嫌が悪いのよね。
「───なんと……っ、まさかディバイン公爵閣下にお目通りできるなんて……! 夫人も、わざわざ足を運ばせてしまいまして、申し訳ございません!!」
ケヴィンさんたち、また土下座しておりますわ。低頭平身すぎですわよ。
「……妻に強引に面会したと聞いた。君たちのやり方はあまりにも無礼で、本来であれば話を聞く価値もない」
「っ……も、申し訳ございません!!」
テオ様の絶対零度な態度と言葉に、ケヴィンさんとその部下の人はぶるぶると震え、顔を上げられない状態だ。
「しかし、領民と自身の命を賭け、一縷の望みと邸を訪れたその勇気に免じ、今回は不問とする」
「か、寛大なご配慮を賜り、誠にありがとうございます……っ」
額を地面に擦り付け、謝罪と感謝を繰り返すケヴィンさんたちが可哀想に思えてくるが、これは必要なことなのだそうだ。
今回のような事がまた起きてしまわないように、テオ様は特例措置だと強調する。
「ウィニー男爵領地の現状は妻から聞いている。食糧、燃料、雪崩で出来てしまった氷の壁の撤去などの支援は国が行ってくれるだろう。だが、問題はその後だ。君たちが金策に走り回っていることは予想がつく」
「は……っ、ご存知の通り、我々の領地にはもう、何も売るものがなく、どうしようもなくなり、ディバイン公爵夫人のお知恵をお借りするしか方法がなかったのです……っ、本当に、数々の無礼、お許しください!」
涙を流し、拳を握るケヴィンさんたちは、領民の為に必死だ。
「……妻に相談したのは正解だった」
「え?」
「君たちの領地を救う方法を、私の妻が見つけた」
「「!?」」
え、嘘でしょ? この短期間で!? というような顔をしてわたくしを見る二人に頷いておく。
「しかし、この件に関しては、皇帝陛下とウィニー男爵との話合いが必要だ。軽々しくお前たちに伝えることはできない」
「っ承知いたしました。それでは我々は、領地に戻り、当主を待つ事にいたします!」
ケヴィンさんはそう言って、テオ様とわたくしに深々と一礼すると話合いを終え、翌日、領地へと戻っていったのだ。
その後、両陛下とテオ様、ウィニー男爵とで話合いの場が設けられ、支援と平行して、秘密裏に魔石の採掘準備が進んだのである。
わたくしはというと、現在街中で、可愛い襲撃を受けておりますわ。
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いつも【継母の心得】をお読みいただき、ありがとうございます。
コミカライズも楽しんでくださっている、というお声もたくさんいただき、本当に感謝の毎日です。
この作品が、地震のあった地域の皆様、不安に思われている皆様の支えに、ほんの少しでもなれば、幸いです。
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