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第二部 第3章
458.ノアとウェルスの力
皇帝陛下は皇后様とテオ様の指示により、災害救助隊を即座に編成。ウィニー男爵領に向かわせた。
後に、その迅速な対応で、ウィニー男爵、領民だけでなく、グランニッシュ帝国の全国民に賢帝と讃えられ、ますますネロウディアス帝の人気は高まっていった。
同時に、支援物資等を運搬する用の馬車や支援金をディバイン公爵家、シモンズ伯爵家、ベル商会から寄付する形を取り、皇室への協力をアピール。貴族に対し、完全に派閥が消滅した事を周知したのだ。
そして……氷の魔石がどうなったかというと……
皇后様が後日派遣した調査団によれば、ウィニー男爵領の氷の魔石は、思った以上の埋蔵量だったらしい。
どうやら、山全体……つまりウィニー男爵領の地面が全て、魔石の塊のような状態だったのだとか。
「魔力が豊富とはいえ、たった一人の人間に山一つを魔石にする事は可能なのかしら……」
ディバイン公爵家の初代であるウェルス様は、ノアの前世だ。ノアは確かに豊富な魔力を有している。しかもわたくし考案の魔力コントロール法に、妖精、珍獣との契約……、前世よりも大きな力を持ってしまっただろう。
けれど、ノアから魔力が溢れ出るような事もなければ、ディバイン公爵家の敷地を氷の魔石に変えるわけでもない。力を抑え込んでいるのかというと、そういうわけでもなさそうなのだ。
「ももんちゅによると、管理者になった事で力は増すけれど、珍獣と繋がりができ、溜め込んでいた力を珍獣が逃がして、暴発するという危険性がなくなった、と言っていましたわね」
テオ様は、ウェルス様が神殿の管理者だったと仰っていましたわ。という事は、ウェルス様もノアと同様だったはず。
「……それなら、ウィニー男爵領を氷の魔石に変えたのは、ウェルス様ではない?」
いえ、そもそも、誰かが変化させたと考えるのがおかしいのかもしれない。
「前提が間違っていたとすれば───」
「おかぁさま、どぅちたの? ポンポン、いたた?」
「かぁちゃ、ぽぉ、ぽぉ、ったた?」
可愛いお顔が二つ並んで、わたくしを見上げておりますわ。
リビングで趣味の読書をしながら、合間にウィニー男爵領やウェルス様の事を考えていたら、いつの間にか、お勉強が終わったらしいノアとぺーちゃんが来ているではないか。
「ノア、ぺーちゃん、お母様、考え事をしておりましたの。お腹が痛いわけではありませんのよ。心配させてしまいましたわね」
二人に、こちらへいらっしゃい。と隣に招き頭を撫でる。
「今日はどんなお勉強をしたのかしら?」
「きょーは、はちゅ……はつ、おんの、れんしゅ、ちたのよ」
「ぺぇちゃ、みょ!」
「それは、お勉強の成果が出ておりますわね。『はつおん』と、綺麗に言えておりますわ」
ノアはわたくしの言葉に、嬉しそうに頷くと、「あめんぼ、あかいな、あぃ、ゆえお!」と教えてもらったであろう発音練習を披露してくれる。
「にょあ、ちゅっぎょー!」
「うふふっ、しゅごい? ぺーちゃんも、おじょうず、だったのよ」
「ぁい! ぺぇちゃ、みょ、ちゅっぎょー!」
「しょうよ。ぺーちゃんも、すっごーいの!」
あらあら、可愛らしいやり取りですわね。
ノアとぺーちゃんは、きゃっきゃとお話しながら、仲良く笑い合っている。
こんなに可愛らしいノアが風と水の管理者で、妖精と契約し、氷の攻撃魔法が使えるとは、想像できませんわね。ぺーちゃんも、瞳に浮かぶ魔法陣から、特殊な体質だと推測はできますけれど……、可愛い子供たちが、これから先、特別な力について悩まされたりしなければいいのですけれど……
「おかぁさま、きょーは、わたち、えほんよむのよ」
「あら、今日の絵本の時間は、ノアが読んでくれますのね」
「ぺぇちゃ、みょ!」
「ぺーちゃんは、まだ文字を習っていませんから、お母様のお膝の上で、ノアの朗読……お話を聞きましょうね」
「にゃ……、ぺぇちゃ、ちゅっぎょー」
ちゅっぎょー? すごいって言っておりますのよね? もしかして、文字が読めるとか? ……いえ、まさかそれはありませんわよね。まだ赤ちゃんですもの。わたくしったら、おかしな事を考えてしまいましたわ。
「もちろん、ぺーちゃんは、すっごーく、可愛い子ですわよ」
「にゃ、ぺぇちゃ、きゃ、ぃ?」
おめめをくりくりさせて、コテンと首を傾げているぺーちゃん、可愛すぎますわ!
「ええ。ぺーちゃんもノアも、とっても可愛いですわ」
「にょあ、ぺぇちゃ、きゃ、ぃー!!」
マディソン、先程から頬が緩みっぱなしですわよ。その気持ち、わかりますけれど!
こうして、ぺーちゃんの可愛さに身悶え、ノアの絵本朗読にも身悶え、幸せなひと時を堪能したのであった。
~ おまけ ~
「───かめお、たしゅ、たすけた、おとぅさま、かめに、さらわれてりゅ? ちがうの。かめ、のって……」
「の、ノア。確かにわたくし、テオ様をモデルに描きましたけれど、もしかして、絵だけでお話を勝手に作っておりません?」
「かめさん、のる……おかぁさま、かめさん、おとぅさまにちゅぶされた……」
「みゃおー、きゃ、んめ、ちゅぶ!?」
この後、ノア様の絵本の朗読は、テオバルド坊ちゃまが助けた亀を潰した、潰さない論争に発展し、ノア様が泣いてしまった為に強制終了になりました。
このマディソン、ノア様の想像力に感服です。さすがディバイン公爵家の後継ぎ。ディバイン公爵家は安泰ですね。
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いつも【継母の心得】をお読みいただき、ありがとうございます。
皆様の応援のお陰で、ノベルは4巻まで出版させていただけ、コミカライズにもなり、感謝の気持ちでいっぱいです。
1週間ほどお盆休みをいただいておりましたが、本日より、毎日更新を再開いたします。
今後も楽しんでいただけるよう、精進してまいります。
よろしくお願いいたします。
感想 12,013
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