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第二部 第3章
469.子供祭1
「いらっちゃい、ましぇー」
「ぃーっちゃ、ちぇー」
「うむ。わたしも、いらっしゃいませー、だ」
七神祭の後、ディバイン公爵家の庭でお祭りをする事が決定し、今日はそのお祭り当日なのだけれど、庭に設置された屋台……というか、タープテントの下に、木材で出来た机や椅子が並べられていて、まるでおしゃれなマルシェのようにカラフルだ。それが、まだ設置の最中なのだが、設営が完了した屋台に早速、三人の天使たちが入り込み、お店屋さんごっこをし始めているではないか。
「あら、可愛い店員さんたちね!」
皇后様がそこに近付いていき、楽しそうに遊ぶ子供たちに声をかけている。
使用人たちはタープを張りながら、笑顔で見守っていた。
「あ、ははうえ! いらっしゃいませー」
「いらっちゃい、ましぇー」
「ぃっちゃ、みゃっちぇ!」
「オホホッ、ここは何のお店かしら?」
「ここは、おはなやさんです!」
「おはな……あっ、ぺーちゃん、おはな、にわちに、もらいにいきまちょ」
「にゃ!」
まぁ、お店ごっこに付き合ってあげていますわ。皇后様って、子供好きですわよね。保育士さんのようですわ。
ノアたちは庭師に話しかけて……お花をもらっていますわ。もしかして、イーニアス殿下がお花屋さんと言ったから、お花をもらいましたの? なんて可愛くて優しいのかしら!
「奥様、オリヴァー様が到着されました」
微笑ましい光景を眺め、ほっこりしていれば、メイドがやって来てオリヴァーが到着したと教えてくれた。
せっかくお庭でお祭りをするのだからと、イーニアス殿下のご兄弟や皇帝陛下に皇后様、クレオ枢機卿にウィーヌス様とルネさん、オリヴァーにフロちゃんとドニーズさん、帝都にいるノアと仲の良いブルちゃん家族を招待したのだ。もちろん妖精たちも我が物顔で飛び回っている。
「すぐ行きますわ。テオ様はどちらかしら?」
「旦那様はオリヴァー様をお迎えになられて、そのままお話をされております」
「お仕事のお話かしら? あの二人を会わせると、いつもお仕事や研究の話ばかりしておりますわよね」
などと、メイドやミランダと話しながら、足早に玄関に向かうと……
「よーてーたん!」
フリフリのエプロンドレスが、よく似合っているフロちゃんが、嬉しそうに手を振っているではないか。
今までドニーズさんの腕の中にいたのに、わたくしを見た途端、お父さんの腕を振りほどこうとしている。
「フロちゃんっ」
ドニーズさんには申し訳ないけれど、可愛いフロちゃんを抱っこしたくて、手を広げ、やってくるのを待つ。すぐにフロちゃんが腕の中に飛び込んできて、それはそれは、愛らしく笑うのだ。
「フローレンス……っ、ディバイン公爵夫人にご迷惑をおかけしてはダメだよ」
「よーてーたん、ふりょ、あぃちゃ、ちゃっちゃ!」
ちゃっちゃ? ああ、「会いたかった」と言ってくれましたのね。
「フフッ、わたくしも、フロちゃんに会いたかったですわ」
可愛い聖女様を抱き上げると、テオ様と話していたオリヴァーが、わたくしに気付いてやってくる。
「お姉様、本日はご招待いただき、ありがとうございます」
「よーてーたん、あぃあちょ、ごじゃーましゅ!」
その挨拶を真似たフロちゃんに、わたくしは目を丸くしてしまいましたのよ。
「まぁっ、フロちゃんは、レディのご挨拶もできるようになりましたのね」
「ぁい! ふりょ、にーに、ごあぃしゃちゅ、ちーた!」
「ぅう……っ、フローレンス、素敵なレディに成長しているね……っ」
あらあら、ドニーズさん、泣き上戸ですわね。
「とっても可愛らしいご挨拶でしたわ! オリヴァーを真似たのかしら」
「ぁい!」
「最近は、人の真似をするようになって、気が抜けません……」
オリヴァーったら、まだ14歳ですのに、まるでパパのような事を言いますわね。
「フフッ、子供は大人の真似をして、成長しますものね」
オリヴァーたちを庭に面したリビングに案内しながら、和やかに話をする。そこに誰がいるとも知らぬオリヴァーは、きっと驚くに違いない。
そんな事を思い、ニヤけてくる顔を引き締めながら、リビングの扉を開いたのだ。
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