異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

トール

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良い所って大概もっていかれるよね

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発光しているヴェリウスはどんどん巨大化し、遂に元の大きさをも越えてしまった。

当然牢屋は鉄格子が無くなってもそんなに広くないわけで、メキメキいいだしている壁や天井にこのままでは潰されると危機感を抱いた私は、周りに居た人達と共に急いで外へと転移した。


ふわりと頬を撫でる風と、ヴェリウスの纏った光とは違う自然光に外へ出たんだとホッとする。
牢屋の外なんて見たこともなかったので少し不安だったが、転移でも上手くいったらしい。扉で繋げた方が安全だったがそんな時間は無かったので仕方がない。

「ミヤビ!」

外に出た途端ロードに体当たり…いや、抱き締め…潰されたがこれはもう諦めよう。コイツの癖なのだ。

「あの犬っころは一体何なんだ?!いきなり光だして巨大化したぞ…しかもこの光の結晶は…っ」

ロードに言われふと思う。未だ周りを雪のように舞う光の結晶は、一体いつまであるのだ…と。真剣に心配になってくる。
綺麗だが、このままずっと舞っていたらかなり鬱陶しいだろう。


そういえば、この世界に来て初めて森以外を見た気がする。

どうやらここは城内の庭の一角らしく、少し離れた所に石で出来たばかデカイ城と、反対側にそれを囲むようにして建てられた壁が見えた。
気分は一瞬で観光客である。
しかし、くすんだグレーや茶の石で出来ている城はおどろおどろしく、何だか雰囲気が怖い。
よく見ると周りの植物も元気が無く枯れかけているようで、余計お化け屋敷のようだ。

けれど光の結晶が舞っている為、何とか怖さを緩和出来ている。昼間という事も大きいが。

「ロード、ここってお城…」

ロードに話しかけた時、タイミングを図ったように地面からゴゴゴゴ…と地響きが鳴り始め、地震が起きた。
かなり大きな揺れに転びそうになる。
揺れが収まってきたかと思った次の瞬間…
地面からドンッ!!と音がして、隆起したのだ。

「おいおい。マジかよ…」

さすがのゴリラもこれには驚いたのか、私を抱き潰したまま即座に後退した。
金髪青年も青い顔をして同じように後退し、ダリ髭公爵達は盛り上がった地面の影響でゴロゴロと転がっていった。

再度ドンッドンッ!!とおおきな音が鳴り、隆起した地面にヒビが入ったと思ったら、爆発したように土が舞い上がって、黒い何かが勢いよく出てきた。

バラバラ降ってくる土の雨の中、見えたのは鋭く光る牙と、艶やかな黒、そしてまばゆい光だった。

『アオォォーーーーー!!!!』

再びあがる咆哮と共に光の柱が立ち上がり、天を貫いた。
すると、それに続くようにいたる所で次々と光の柱が上がり、空を白く染め上げたのだ。

世界が光に包まれた瞬間だった。


驚きすぎて誰一人声が出せず、呆然とその光景に目を奪われていた。その時、まばゆい光の柱から円状に、目に優しい光が拡がっていき、枯れかけの植物が一気にに鮮やかさを取り戻していったのだ。
一瞬で私達の周りは鮮やかな緑と色とりどりの花で埋まり、それが世界中で起こっているのだと理解した。
何故なら、他の光の柱からも同じような現象が見られたからだ。

「…神獣だ……」

青年の呟きが耳に届いた。

「あの犬っころが神獣だぁ?」

呟きを拾ったロードが、目の前で上がる光の柱を見ながらマジかよ…と口元を引きつらせ私を見下ろしてくる。

「オメェなんつーもん従えてんだっ」
「ウチのペットになりたいって言ったのはヴェリウスですー」

何故かオッサンに怒られたので言い返せば、大げさに溜め息を吐かれた。失礼な奴だ。

しばらくすると城壁の外から何やら声が聞こえてき、人々が城の周りに集まって来ていることに気付く。
最初はまばらだった人の声があれよあれよという間に城の内部まで届くんじゃないかという程の大きな塊となり、地響きのするような大歓声へと変わった。
国中が歓喜に包まれたかのように。

「っ神々は、我らを見捨てたわけではなかったんだ…っ」

金髪青年が涙を流しながら光の柱を見上げ、膝をついて天に祈るかのようなポーズをとった。
ロードは特に表情は変えず、白く輝く空を見ている。


そんな事よりも、これは良い所を全部ヴェリウスに持っていかれた気がするんだが…。
考えてもみてほしい。流行り病を治して魔素を増やすぜ!と意気込んだものの、端から見ると私は何もしていないように見える。
だって心の中で願っただけだもの。
ロードや青年達には、意気込んで、言うだけ言ってヴェリウスペットに全部任せた役立たずだと思われただろう。



ヴェリウスさん。もういいでしょう。

戻ってらっしゃい。
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