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第三章
久々の恋愛モードきました。え? 初夜って今夜ですか!?
しおりを挟む「北の国に行くのなら、俺も共に行く」
長い説教の後、唐突に言い出した言葉に目をむく。
ルーベンスさんからは確かにエルフが北の国に居ると聞いていたので、行く予定ではあったが、まさかロードが一緒に行くと言うとは思わなかったのだ。
何しろ何日も帰って来れない程仕事が忙しいのだから。
そう思い、
「ロードは仕事が忙しいでしょ? 無理しなくていいよ」
と返したのだが、どうやらそれがいけなかったらしい。
見る間に不機嫌になっていくので、思わず口をつぐんだ。
「悪かった…」
しかし予想外の言葉がロードの口から飛び出したのだ。
何故謝罪されたのか理解出来ずに戸惑っていると、
「寂しい思いをさせちまった…」
等と抱き締められ、頬擦りされる。
数日の間に伸びた髭がじょりじょりして痛い。
トモコやヴェリウス、ショコラも一緒に暮らしているので、寂しくはなかったが、ロードの料理は恋しかったかもしれない。
「ロードが謝る事じゃないでしょう」
元はといえば、私がその原因を作ったのだから謝られると罪悪感が湧いてくる。
「いや、仕事なんてどこでもやろうと思やぁ出来るんだ。大体、何で俺がつがいを置いて王宮で仕事しなきゃいけねぇんだよ。ミヤビに触れられないなんて冗談じゃねぇってのーー…」
私の後頭部と腰を掴んで抱き寄せたまま、頬擦りしながらぶつぶつそんな事を言われる。
貞操の危機を感じているこちらにとっては、有り難い期間だったのだが、ロードの消耗具合を見てみると限界が近いのかもしれない。
このままでは夜這いされてもおかしくないだろうというような飢え方だ。
「ロードさん、まずは落ち着いて深呼吸をしよう。ほら、ひっひっふー」
目が据わりだしたロードに深呼吸を促せば、首筋に顔を埋めて深呼吸し始めたのでバシバシと頭を叩く。が、びくともしない。
「ちょ、止めろー! くすぐったい!!」
ひーひー言いながら息のあたる擽ったさに身をよじった。
「良い匂いだ…癒される」
「匂いを嗅がないで!」
顔を埋めたまま喋るのでくすぐったさが増す。
しかも首筋をちゅうちゅう吸ってくるので、危機感まで増したのだ。
「ロードっ」
「はぁ…ミヤビぃ…」
好きだ、と耳元で囁かれる。
それがあまりにも良い声だったので腰がくだけそうになった。
このままでは日の出ているうちから執務室で貞操を奪われかねないと頭をよぎる。
「ストップ!! は、初めては、夜がいいです!! ほらっ しょ、初夜って言葉がある位だし!?」
そう言って止めれば、一瞬キョトンとしたロードは、すぐにニヤリと口の端を上げてそれはもう嬉しそうに、
「夜か…そうか、今夜ついにオメェをいただけるんだな」
と発言した。
「今夜…?」
「オメェが今夜っつったんだろうが」
ねっとりと耳元でしゃべってくるので、肌が粟立つ。
自分の迂闊さに目眩がするが、今更取り消す事も出来そうにない。
どうせ近いうちにそういう事をするのであれば、今夜だろうがなんだろうが良い気もするが、そんな気持ちを打ち消すかのように頭をちらつくロードの“ヒッキーのぼう”が決意を邪魔するのだ。
あんなモノが自分の中に入るわけがないと、死ぬかもしれないと、警鐘が鳴り続けているわけで。
「あの…仕事が残ってるんじゃ……」
「オメェとついに繋がれるって日に仕事なんぞするわけねぇだろ」
そう言って耳を甘噛みし、首筋をゆっくり吸われるのだが、今から押し倒されそうで戦々恐々とする。
「ま、まだ、慣れてないから怖いんですケド」
「夜は長ぇんだ。じっくり慣らしてやるから心配すんな」
ハハハ…。
長い説教からエルフの話という流れで何故こうなった?!
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