20 / 25
20 初仕事。
しおりを挟むひらひらな袖がついたオフショルダーと、ハイウエストなズボンを履く。イサークにドレス姿では、危なすぎると言われたからズボンを買った。
ウエストを締め付けるコルセットを締めたそのあとには、火に強いサラマンダーの皮で出来たマントを羽織る。べレス戦に、必要な装備だ。
まぁ、私はべレスが吹くと言う炎に近付くつもりはないのだけれど。念のためだ。
この初仕事は、結果的に皆が引き受けることに同意した。
厳密には、べレス討伐のゴールドランクとハーピィ討伐のシルバーランクに分かれて仕事をする。
ダレンが「ボクは飛行タイプの魔物と戦った経験がありません。お役には立てないかと」と正直に話して、断ろうとしたので、私がフォローすることを提案した。
防壁魔法を応用して、空中に足場を作るのだ。それなら接近戦タイプのダレンもハーピィと戦える。それが出来ることにまず驚かれたけれど、それなら戦えると自信を持って頷いてくれた。
長年の経験からして、ギルマスのグラディさんも、アントンさんも、このメンバーで戦えると判断。
その日のうちに準備をして、翌日の陽が昇る前に、ルーシー街を発った。
馬車の中に揺られている新人冒険者のダレンとアメーは、またもや緊張をした顔付きでいる。
冒険者になって初仕事。しかも新人レベルのものではない。
シルバーランクの仕事だもの。実力と同等の魔物と対決。
「気を引き締めていこう!」
気合いを入れる私は、初実戦である。
「うん!」
「ええ!」
返事をしてくれるダレンとアメー。いい子。
「予習だけど、私は防壁の魔法を見えるように張る。それを階段にして、飛んでいるハーピィに届くように、上手く配置するから」
「うん。わかった」
ダレンは、私に頷いてみせた。
「……」
私の隣のイサークは、じぃいいっとダレンを見ている。
どうした。
「えっと?」
ダレンが首を傾げて言葉を待つも、イサークは無言。
今は人の姿だけれど、やや目付きが悪いので、怖い気がする。
「イサーク達も接近戦タイプじゃなかった?」
確か短剣やナイフを所持していたし、イサークは見るからに接近戦タイプに思えた。飛び付いて噛み付くとかしそう。
「オレ達は、素人じゃねぇ。飛行タイプの魔物でも戦える。お前は新人の心配だけしてればいい」
そう言えば、ドラゴンを狩ろうとしていたことを、今思い出した。
冒険者じゃなくても、狩人としては、戦闘経験が豊富。
飛行タイプの魔物相手の戦い方は心得ている、か。
ダレンは、羨望と尊敬の眼差しを向けた。
私はイサーク団の戦いを観察しつつ、ダレンとアメーのフォローをしよう。
もちろん、本命のべレス戦まで温存はするけれど。
「アメティス様。くれぐれも気を抜いて防壁魔法を解かないように」
アメーの隣にいるアントンさんが釘をさす。
アメーは力強く頷いた。
アントンさんも、べレス戦中はアメーから離れることを躊躇していたけれど、イサーク団がそばにつくことを条件にやっと参加をすると頷いてくれたのだ。
べレス戦中は、イサーク以外のシルバーランクは距離を取って待機する。
イサークは念のために、私のそばにいたいとのこと。
私とアリーさんが後方で魔法攻撃を仕掛けるから、イサークがいると専念できるとグラディさんは許可した。
馬車に乗ってから、だいたい六時間だろうか。
北西に真っ直ぐ来た。足場の悪い荒地に到着したけれど、これから徒歩で進む。さらに三時間ほど。
小山に近付くにつれて、鳥の臭いがした。
やがて、上空から鳥よりも大きなものの群れが現れる。
ハーピィだ。
想像していたのは、長い髪と美しい女性の上半身と鳥の下半身と翼の魔物。しかし、現実は違った。
身体は、ほぼ鳥。顔だけ人には見えたけれど、牙が並んだ凶悪な顔。人面鳥と言った方が、しっくりくる魔物だった。
人を襲う習性があるというだけあって、獲物である私達を見て、舌舐めずりをする。中々怖い顔だ。
「アオォオオオンッ!!!」
最初に動いたのは、イサークだ。
咆哮が強烈すぎて、近くを飛んでいた人面鳥もといハーピィが落ちる。
落ちたハーピィ達を、イサーク団であるシン達が仕留めた。
負けていられない。
「ダレン! 行くよ!」
「うん!!」
「防壁!」
私は階段をイメージをして、防壁を出現させた。
上空に向かって、薄く白い階段が出来上がる。
魔力を徐々に防壁にしているのか、ちょっと想像より遅く感じた。
遠くに防壁を張る時は、素早く張れそうにないな。
「”ーー真空を、切り裂けーー“!」
上空のハーピィと距離が詰められたダレンは、風の攻撃魔法を発動させた。
ナイフに風を纏わせて、切り裂くもの。
一気に三体のハーピィを両断した。
「”ーー燃えろ、火球ーー“!!」
アメーも、ダレンに当たらないように、さらに上にいるハーピィを狙ってファイアボールを放つ。しかし、それは避けられた。やっぱり、シルバーランクの魔物。黙ってやられているわけではない。
ダレンの次の攻撃を避け、つむじ風を起こして攻撃を仕掛けた。
ダレンに逃げ場を作ろうとしたが、間に合わない。
「レウ!!」
「ありがとう!」
あらかじめ元の姿に戻ってもらったレウに、防壁の足場から落ちたダレンを救ってもらう。なんとか背中でダレンを受け止めたレウも、ハーピィに食らいつく。ダレンもレウに乗ったまま、ハーピィの脳天にナイフを突き立てた。
「“ーー炎よ、いかづちとなり、轟けーー”!!」
アメーが選んだ今度の魔法は、ファイアボルト。
ファイアボールよりも素早くハーピィに届き、避ける暇を与えずに命中。黒焦げたハーピィが、何体か落ちた。
アメーも、中々やる。
またイサークが咆哮を放ち、ハーピィを落としては、シン達がトドメをさす。
もうすぐで片付く。
順調だと、そう思っていたが、それは現れた。
「ちっ!! おいでなすった!!」
大剣を背負っていたグラディさんが、構える。
「なんで……ここに!?」
アリーさんが、驚愕をした。
どしん。巨体の足音が耳に届く。
青白い馬に似た顔の巨人がいる。絵の通りの姿。
小山の麓に住処があり、そこを奇襲する予定が大いに狂ってしまった。
べレスの登場だ。
「ハーピィを先に殲滅するぞ!! シルバー組は後ろへ!!」
グラディさんの素早い指示に従う。
近すぎるイサーク団が駆けて離れると、べレスが大きく息を吸い込んだ。お腹が膨らみ、そして赤く光った。その動作が炎を吐くためのものだと理解した私は、イサーク団とすれ違うように駆けた。
「やめろアイナっ!」
イサークの制止は、間に合わない。
「防壁!」
詠唱している暇はなかったから、素早く自分の前に防壁を作る。
マグマのように真っ赤な炎を目の当たりにして、ルヴィンスの言葉を思い出す。火傷は済まない強力な炎を吐くーー。
熱を感じた。防壁にヒビが割れていく。
まずい。とっさに張っただけの防壁では破られる。
イサークが私の腕を掴んだ。引っ張ったところで避けきれない。
「風よ!!!」
私は咄嗟に風を巻き起こして、イサーク団もろとも自身を吹っ飛ばした。
防壁がガラスのように割れて消えたのは、その直後だ。
私達がいた地面に降り注いだ炎は、溶かした。
本当に火傷では済まない。人間なんて跡形もなく溶かされるほどの熱だ。
「いい判断だ!」
グラディさんの声が、近い。
イサークに受け止められた形で振り返れば、いた。
なんとかイサーク団と私は、一番後方にいたグラディさんとアリーさんの元まで後退出来たようだ。
「問題はアントン達か!」
グラディさんの視線を追えば、残りのハーピィ達に囲まれているアントンさんとアメー、そしてレウから降りたダレンが、後退出来ずにいた。
「アイナ! 防壁魔法を張り直せ!」
「はい!」
「オレ達でべレスを引き付けるぞ!!」
そうだ。べレス相手では、アメーとダレンと危なすぎる。
こっちに来てもらわなくては。
私がさっきよりもまともな防壁を張ると、アリーさんが呪文を唱える。
「“ーー凍て付かせーー”」
地面から氷結が走り、べレスの足元を凍らせた。
「うおおっ!!」
グラディさんが、その氷ごと足を大剣で切り崩そうとするが。
べレスは近くにあった枯れ木を掴むと、振り回した。
根元まで引っこ抜かれた枯れ木でも、巨人が持つと凶器だ。
大剣で防いだが、グラディさんは軽く吹っ飛ばされた。枯れ木は、粉々になる。
グラディさんが、着地をする。
自分の息で足の氷を溶かすつもりなのか、べレスがまた大きく息を吸い込んだ。
「吹かせるな!!」
グラディさんの指示が投げられた。
「“ーー暴風を叩き込めーー”!!」
アリーさんが拳を突き出すと、まさに暴風の塊が飛んだ。
それはべレスの顔を強打した。もろ入ったように見えたが、それでも、べレスは炎の息を吐く。
それはべレス自身の足に向かっていない。
顔を強打されたせいで、方向が変わってしまったのだ。
その方向はーーーーハーピィと戦っている最中のダレン達。
「しまった!」
「避けろ!!!」
「っ!」
ダレン達は、グラディさんの声で、べレスの炎の息に気付いた。
でもハーピィ達もいて身動きが取れそうにもない。
私は彼らの前に防壁を作ろうと手を翳した。
さっき知ったように、魔力がそこまで届かないと防壁が作れない!
間に合わない!!
アントンさんが二人を庇って前に出る。
アメーが防壁を張っているはずだけれど、アントンさんの前にはないはず。最悪、アントンさんが死ぬ。
いいや! 死なせてたまるか!
目の前で、誰かを死なせるなんて、真っ平御免だ。戦う以上、いつかは死に目を見るかもしれない。冒険者は誰かの死を見なくてはいけない職業だろう。でも、今じゃない。
自分勝手上等! 私の目の前で戦死はさせない!!
間に合え!!!
私は駆け出した。届くように手を伸ばして。
0
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
【完結】 笑わない、かわいげがない、胸がないの『ないないない令嬢』、国外追放を言い渡される~私を追い出せば国が大変なことになりますよ?~
夏芽空
恋愛
「笑わない! かわいげがない! 胸がない! 三つのないを持つ、『ないないない令嬢』のオフェリア! 君との婚約を破棄する!」
婚約者の第一王子はオフェリアに婚約破棄を言い渡した上に、さらには国外追放するとまで言ってきた。
「私は構いませんが、この国が困ることになりますよ?」
オフェリアは国で唯一の特別な力を持っている。
傷を癒したり、作物を実らせたり、邪悪な心を持つ魔物から国を守ったりと、力には様々な種類がある。
オフェリアがいなくなれば、その力も消えてしまう。
国は困ることになるだろう。
だから親切心で言ってあげたのだが、第一王子は聞く耳を持たなかった。
警告を無視して、オフェリアを国外追放した。
国を出たオフェリアは、隣国で魔術師団の団長と出会う。
ひょんなことから彼の下で働くことになり、絆を深めていく。
一方、オフェリアを追放した国は、第一王子の愚かな選択のせいで崩壊していくのだった……。
放蕩な血
イシュタル
恋愛
王の婚約者として、華やかな未来を約束されていたシンシア・エルノワール侯爵令嬢。
だが、婚約破棄、娼館への転落、そして愛妾としての復帰──彼女の人生は、王の陰謀と愛に翻弄され続けた。
冷徹と名高い若き王、クラウド・ヴァルレイン。
その胸に秘められていたのは、ただ1人の女性への執着と、誰にも明かせぬ深い孤独。
「君が僕を“愛してる”と一言くれれば、この世のすべてが手に入る」
過去の罪、失われた記憶、そして命を懸けた選択。
光る蝶が導く真実の先で、ふたりが選んだのは、傷を抱えたまま愛し合う未来だった。
⚠️この物語はフィクションです。やや強引なシーンがあります。本作はAIの生成した文章を一部使用しています。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを
青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ
学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。
お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。
お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。
レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。
でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。
お相手は隣国の王女アレキサンドラ。
アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。
バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。
バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。
せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました
罰として醜い辺境伯との婚約を命じられましたが、むしろ望むところです! ~私が聖女と同じ力があるからと復縁を迫っても、もう遅い~
上下左右
恋愛
「貴様のような疫病神との婚約は破棄させてもらう!」
触れた魔道具を壊す体質のせいで、三度の婚約破棄を経験した公爵令嬢エリス。家族からも見限られ、罰として鬼将軍クラウス辺境伯への嫁入りを命じられてしまう。
しかしエリスは周囲の評価など意にも介さない。
「顔なんて目と鼻と口がついていれば十分」だと縁談を受け入れる。
だが実際に嫁いでみると、鬼将軍の顔は認識阻害の魔術によって醜くなっていただけで、魔術無力化の特性を持つエリスは、彼が本当は美しい青年だと見抜いていた。
一方、エリスの特異な体質に、元婚約者の伯爵が気づく。それは伝説の聖女と同じ力で、領地の繁栄を約束するものだった。
伯爵は自分から婚約を破棄したにも関わらず、その決定を覆すために復縁するための画策を始めるのだが・・・後悔してももう遅いと、ざまぁな展開に発展していくのだった
本作は不遇だった令嬢が、最恐将軍に溺愛されて、幸せになるまでのハッピーエンドの物語である
※※小説家になろうでも連載中※※
『婚約破棄ありがとうございます。自由を求めて隣国へ行ったら、有能すぎて溺愛されました』
鷹 綾
恋愛
内容紹介
王太子に「可愛げがない」という理不尽な理由で婚約破棄された公爵令嬢エヴァントラ。
涙を流して見せた彼女だったが──
内心では「これで自由よ!」と小さくガッツポーズ。
実は王国の政務の大半を支えていたのは彼女だった。
エヴァントラが去った途端、王宮は大混乱に陥り、元婚約者とその恋人は国中から総スカンに。
そんな彼女を拾ったのは、隣国の宰相補佐アイオン。
彼はエヴァントラの安全と立場を守るため、
**「恋愛感情を持たない白い結婚」**を提案する。
「干渉しない? 恋愛不要? 最高ですわ」
利害一致の契約婚が始まった……はずが、
有能すぎるエヴァントラは隣国で一気に評価され、
気づけば彼女を庇い、支え、惹かれていく男がひとり。
――白い結婚、どこへ?
「君が笑ってくれるなら、それでいい」
不器用な宰相補佐の溺愛が、静かに始まっていた。
一方、王国では元婚約者が転落し、真実が暴かれていく――。
婚約破棄ざまぁから始まる、
天才令嬢の自由と恋と大逆転のラブストーリー!
---
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる