異世界で神の化身は至極最高に楽しむ。

三月べに

文字の大きさ
19 / 25

19 告白。

しおりを挟む



 一階に戻って、待ってくれていたダレンとアメーに駆け寄る。

「なれたね! 冒険者!」

 がばっと、二人に腕を回して抱き付く。
 ついでに二人をくっ付けておいた。
 すると、アメーの三つ編みした髪が、ダレンのボタンに絡まるアクシデントが発生。

「今、取るから待って」
「うっ、うん……」

 ダレンがすぐにボタンから外してあげようとする。
 アメーの方は、近さに頬を赤らめていた。
 うん、近いねー。
 眺めていれば、ダレンも近さに気付いた。
 二人の周りは、甘酸っぱい空気になる。
 ウブ萌え。

「おい、アイナ! シルバーだった!」
「あ、そう」
「レベル3だ!」
「よかったね」

 イサークも水晶玉に触れたらしく、その結果を報告しにきた。
 後ろでもぞもぞしているのは、尻尾かな。マントの下で尻尾が揺れているのか。犬か。イヌ科か。

「オレ達もシルバーのレベル3でした! イサークさんと同じ!」

 糸目のシンやつり目のコル達も、揃ってレベル3だと嬉々とした報告しに来た。

「おい、あれ、イサーク団じゃねーか? 狩人の」
「ついに冒険者になりやがったのか」
「つか、獣人なのがイサークか? こえーな」
「イサーク団が群がっている少女は?」
「ゴールドランク判定が出た新人だ」

 ギルドに用がある冒険者達が、こそこそ話す。
 丸聞こえだから、こそこそじゃないかも。

「ギルマスに呼ばれたよな? インチキ判定じゃないのか?」
「そんなこと出来るかよ、あの魔導師ラティスの水晶玉だぞ」

 また魔導師ラティスの名前を耳にした。
 相当な力の持ち主なのだろうか。魔導師ラティス。
 小細工が出来ないほどの完璧な判定を出す水晶玉の造り主。

「あのイサーク団!? アイナ、知り合いだったの!?」

 ちょっと目を離している間に、ウブ萌えな空気が終わっていた。
 ダレンもアメーも、獣人姿のイサークに注目する。

「誰だてめぇは!?」

 イサークが、カッと目を開く。

「あっ! ボク、ダレンですっ!」
「アメーと申します」
「私の友だち」

 ダレンとアメーに失礼を言うなよ、と睨んでおく。

「イサーク。シン。コル。……えっと、名前聞いてませんよね?」

 イサーク団も紹介しようとしたけれど、残り二名の名前を私は知らない。

「あっ、ダースと申します」
「ベノです」

 角刈りの男性がダース。
 初めて声を聞いたってくらい無口だったのがベノ。

「あと、アントンさん」

 アメーの後ろについていたアントンさんも、遅れて紹介。

「とりあえず、ギルマスが呼んでいるから、上に行こう」

 ダレンとアメーの手を掴んで、引っ張っていく。
 言わなくとも冒険者になりたてのイサーク団もついてくる。
 アントンさんも、アメーの後ろだ。

「実は仕事の話が来てるんだよ」

 ギルマスのお呼び出しに、いらぬ想像でもしたのか、不安げな色を浮かべるダレンとアメーに階段を上がりながら話す。

「話を聞いて、自分じゃあ無理と判断したなら、降りてもいい。でもいい経験になると思うんだ」

 ダレンの黒い瞳と、アメーの水色の瞳を見て、私は付け加えた。

「あと二人に、いやアントンさんも含めて三人に、私のことを打ち明けるよ」

 依頼を受ける以上、私の正体を知っておいた方がいい。
 変わらず友だちでいてくれるといいけれど。
 応接室に大所帯で戻った私は、早速、ギルマスが座っていたソファーに腰を下ろす。向かいには、ダレンとアメーを座らせ、アントンはアメーの後ろに控えた。

「ダレン。アメティス。アントンさん。黙っていたけれど、私はただの旅人じゃない。私は神シヴァール様と女神フレーア様の娘……神の化身としてこの世界に降臨したの」

 はっきりと打ち明けた。
 イサーク団とギルマス夫婦は、黙ってことの成り行きを見守ってる。

「か、神の化身……!?」

 最初にリアクションを起こしたのは、ダレンだ。
 ソファーから立ち上がったダレンは。

「そんなすごい人と友だちになったなんて! すごい! 夢みたいだ! あっ、友だちで……いいんだよね? アイナ」

 興奮して喜んだ様子から一転、不安げに確認をする。
 ダレンは無邪気だ。それを実感しながら、頷く。

「友だちだよ」

 あとはアメーだ。
 彼女は俯いていた。やがてふるふると震えた。

「アメー?」
「さっき……わたくしのことをアメティスと……」
「ああ、うん。アメーの本名でしょう?」

 違ったのだろうか。
 お父様がそう呼んでいたけれど。

「つまり、……知っていらっしゃったのですね!」
「ん? ああ、アメーの素性のこと?」

 薄々、お嬢様だってことは気付いているけれども。

「わたくしがこの国の姫のアメティスと気付きながら、知らないふりをしてくれたのですわね! なんてお優しい!」
「え!? アメー、お姫様なの!?」
「えっ!?」
「えっ!?」

 感極まっているところ悪いけれど、勘違いしている。
 思いっきりすれ違って、驚いた。

「ち、違いますの!?」

 アメーは赤面してしまう。
 うん。盛大に勘違いしたからそうなるよね。

「いや、王都のお嬢様だと思ってた……まさかお姫様とは」
「ぼ、ボクも、貴族の令嬢かなって思っていた……」

 ダレンも貴族令嬢だと勘付いていたとは、意外だ。
 でも国のお姫様だと知って、ちょっと切ない眼差しをした。私は見逃さなかったので、神様夫婦もそうだ。

『おっとこれは! 高嶺の花だと薄々気付いていたけれど、さらに届かないような高嶺の花だと知ってしまい、想いが苦しくなっている表情では!?』
『そう! 叶わぬ想いを必死にしまおうとしている表情だわ! 間違いない!』

 お父様もお母様も、ダレン達の身分差の恋、大好きだな。

「イサークさんっ! お、おおおお姫様がいるっ!!」
「うるせ黙ってろシン」

 シンがイサークの腕を掴み、興奮しているけれど、イサークは全然興味がない様子。コル達は驚愕して固まってしまっている。

「ていうか、オレ達、頭が高いんじゃ……!?」

 シンのその言葉に慌てて、跪こうとするも、アメーはやめさせた。

「今のわたくしに……頭を下げる必要はありません……」

 俯いた顔は、どこか苦しそうに見える。

「あー、アイナ様が化身で、アメティス様がお姫様だってわかったところで、仕事の話をそろそろしてもいいか?」

 私の後ろの壁に妻のアリーさんと並んで立っていたグラディさんが、口を開いた。

「アメー……って、今も呼んでもいい?」
「も、もちろん!」
「今も友だちでいい?」
「もちろん!」
「また添い寝しても?」
「っ! もちろん!!」

 アメーの隣に、移動をする。尋ねれば、涙ぐんだ。
 私は笑って、アメーを抱き締める。今日も添い寝だね。

「あ、あの。ボクは、ただの冒険者だけど……ボクもアメーって呼んでもいいかな……?」

 恐る恐るとダレンが問うから、私はアメーを離す。

「今まで通りに接してほしいわ、ダレンも」
「うん! 改めて、よろしく、アメー、アイナ!」

 嬉しそうに笑みを零して、ダレンは握手を求めて手を差し出した。
 その手をアメーに譲って握手した二人の手を両手で包んだ。

「よし! じゃあ、仕事の話を聞こう!」

 私達は三人仲良くソファーに腰を下ろして、ギルマスと向き合った。



 ◆◇◆



 氷柱がある。透明で綺麗だ。
 そこかしこと、雪が積もっていて、一面が白い。
 その中に小川が流れている。中を覗いてみれば、水草の中に水色の花が咲いていた。ゆらゆらと揺れている。この小川に手を入れたら、冷たくて痛みすら感じそう。
 確か夢の中で感じることは、錯覚と想像。だからきっと手を入れたら痛みを感じそうだ。

「寒そうな景色ね」

 私が振り返れば、氷柱をぶら下げた洞穴がある。
 その中に、焚き火が置いてあって、そばにはルヴィンスがいた。
 今日は純白のマントを羽織っていて、暖かそう。
 私はルヴィンスのそばまで駆け寄って、そしてマントの中に避難した。
 ちょっとだけ冷たさを感じていたけれど、くっ付く口実としておく。

「ここはどこ?」
「千年山の麓ですよ」
「千年のドラゴンがいるあの?」
「そうです」

 べったりとルヴィンスの腕に抱き付いても、ルヴィンスは嫌がることなく受け入れる。
 目の前の焚き火は、暖かさを感じた。ホッとする。

「昨日は会えなかったわね」
「そうなんですか?」

 ルヴィンスが、意外そうな声を出す。

「何それ。昨日の記憶がないの?」
「すみません。この頃、体内時計が狂っていて……」

 言葉が止まる。
 そんなルヴィンスの顔を、見上げた。

「日付感覚がないの?」
「そうですね。そうなります」

 ルヴィンスはただサファイアブルーの瞳を、焚き火に向けている。

「どうして」
「一人で考え込んでいたのです」

 日付感覚が狂っている理由を問おうとしたら、遮られた。
 それが答えだろうか。

「どうして、私とアイナが出逢ってしまったのか……こうしている理由を一人で考えていたのですが……わかりませんね」
「出逢ってしまったのか、なんて言い方が悪いわね」

 まるで間違いみたい。
 ルヴィンスは、少し自嘲気味に笑みを漏らす。
 それから、私を見下ろした。

「アイナは私のことが好きですか?」

 率直な質問に対して、私は笑う。
 それから、えいっと真正面からルヴィンスを抱き締めた。

「……なんですか?」
「わかりやすく態度で示してる」
「私は言葉で聞きたいのですが」
「あら。男のくせに、私から言わせたいの?」
「それもそうですね、失礼しました」

 フッと笑うルヴィンスは、私の顎を持って、唇についばむように触れる。

「……何今の」
「わかりやすく態度で示しました」
「私は言葉を聞きたかったの」
「ふふ」

 悪戯な態度のお返しに、私も唇を奪う。

「一体、どこで惹かれたのやら……わかりませんね」
「あー最初は互いに印象が悪かったものね」
「ええ、あなたは不法侵入者でしたからね」
「ルヴィンスの刺々しい態度、よく覚えてる」

 互いにクスクスと笑い合った。

「それで? 何か楽しいことはありましたか?」

 好きって言葉を言わせたかったけれど、話を逸らされる。
 まぁいい。
 私は立ち上がった。

「聞いて驚け」
「なんですか?」
「私は冒険者になった!」

 えっへんと胸を張って見せる。

「……へぇ」

 ルヴィンスの反応は、イマイチなものだった。

「しかも、新人なのにゴールドランクのレベル1よ!」
「……そうですか」

 これなら驚くだろうと思ったけれど、これもまたイマイチな反応。

「何その反応! もっと驚いてよ!」

 私はルヴィンスの膝の上に戻っては胸ぐらを掴んだ。

「ですが、アイナは神の化身でしょう? ゴールドランクなんて、当然の結果でしょう。逆にレベル3ではないことに驚きます」
「うう。私だってそう思ったけれど、実戦経験がないからレベル1なのよ、きっと」
「そうですか」

 ルヴィンスの冷静さに、唇を尖らせる私。
 全くもってつまらない。

「なんでまた冒険者になったのですか?」
「好奇心よ。そうだ、初仕事をギルマスからもらったの。なんだっけ……べレスっていう魔物を討伐する仕事よ。一緒に冒険者になった友だちと、私の護衛をどうしてもしたいっていう元狩人達とするの」

 くるくるとルヴィンスの結ばれた白金の髪を、指で弄びながら答える。

「べレスですか……強烈な炎を吹く魔物ですよね」
「そう。あとハーピィの群れが周りにいるって」
「……新人には荷が重いのでは?」

 ルヴィンスが、じっと私の瞳を覗いてきた。
 新人とは、私も含んでいて、心配してくれているのだろうか。

「友だちもシルバーランクのレベル1でハーピィと戦えるし、べレス戦では私は強力な魔法なら使えるから、防壁張って狙い撃ちするだけだよ」

 バーンと銃を撃つ真似をして見せる。

「まぁ、普通のべレスならいいですけれど。中には、一メートル大きなべレスが稀に出没します。それが吐く息は、炎というよりマグマ。人間が食らえば、火傷では済みません」

 あ。そのべレスと戦うんだけれど。
 言うべきかな。

「気を付けてくださいね。アイナ。神の化身だからと言って無理をなさらないように」

 やきもきさせるよりはいいと思い、私は言わないでおくことにした。

「アイナ」

 改まったように呼ぶので、キョトンとしてルヴィンスを見る。

「好きですよ」

 額と額を重ねた距離で、ルヴィンスはそう微笑んで告げた。

「例えーーーー……」

 その言葉の続きは、聞こえなかった。


 
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

【完結】 笑わない、かわいげがない、胸がないの『ないないない令嬢』、国外追放を言い渡される~私を追い出せば国が大変なことになりますよ?~

夏芽空
恋愛
「笑わない! かわいげがない! 胸がない! 三つのないを持つ、『ないないない令嬢』のオフェリア! 君との婚約を破棄する!」 婚約者の第一王子はオフェリアに婚約破棄を言い渡した上に、さらには国外追放するとまで言ってきた。 「私は構いませんが、この国が困ることになりますよ?」 オフェリアは国で唯一の特別な力を持っている。 傷を癒したり、作物を実らせたり、邪悪な心を持つ魔物から国を守ったりと、力には様々な種類がある。 オフェリアがいなくなれば、その力も消えてしまう。 国は困ることになるだろう。 だから親切心で言ってあげたのだが、第一王子は聞く耳を持たなかった。 警告を無視して、オフェリアを国外追放した。 国を出たオフェリアは、隣国で魔術師団の団長と出会う。 ひょんなことから彼の下で働くことになり、絆を深めていく。 一方、オフェリアを追放した国は、第一王子の愚かな選択のせいで崩壊していくのだった……。

放蕩な血

イシュタル
恋愛
王の婚約者として、華やかな未来を約束されていたシンシア・エルノワール侯爵令嬢。 だが、婚約破棄、娼館への転落、そして愛妾としての復帰──彼女の人生は、王の陰謀と愛に翻弄され続けた。 冷徹と名高い若き王、クラウド・ヴァルレイン。 その胸に秘められていたのは、ただ1人の女性への執着と、誰にも明かせぬ深い孤独。 「君が僕を“愛してる”と一言くれれば、この世のすべてが手に入る」 過去の罪、失われた記憶、そして命を懸けた選択。 光る蝶が導く真実の先で、ふたりが選んだのは、傷を抱えたまま愛し合う未来だった。 ⚠️この物語はフィクションです。やや強引なシーンがあります。本作はAIの生成した文章を一部使用しています。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを 

青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ 学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。 お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。 お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。 レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。 でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。 お相手は隣国の王女アレキサンドラ。 アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。 バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。 バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。 せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました

罰として醜い辺境伯との婚約を命じられましたが、むしろ望むところです! ~私が聖女と同じ力があるからと復縁を迫っても、もう遅い~

上下左右
恋愛
「貴様のような疫病神との婚約は破棄させてもらう!」  触れた魔道具を壊す体質のせいで、三度の婚約破棄を経験した公爵令嬢エリス。家族からも見限られ、罰として鬼将軍クラウス辺境伯への嫁入りを命じられてしまう。  しかしエリスは周囲の評価など意にも介さない。 「顔なんて目と鼻と口がついていれば十分」だと縁談を受け入れる。  だが実際に嫁いでみると、鬼将軍の顔は認識阻害の魔術によって醜くなっていただけで、魔術無力化の特性を持つエリスは、彼が本当は美しい青年だと見抜いていた。  一方、エリスの特異な体質に、元婚約者の伯爵が気づく。それは伝説の聖女と同じ力で、領地の繁栄を約束するものだった。  伯爵は自分から婚約を破棄したにも関わらず、その決定を覆すために復縁するための画策を始めるのだが・・・後悔してももう遅いと、ざまぁな展開に発展していくのだった  本作は不遇だった令嬢が、最恐将軍に溺愛されて、幸せになるまでのハッピーエンドの物語である ※※小説家になろうでも連載中※※

『婚約破棄ありがとうございます。自由を求めて隣国へ行ったら、有能すぎて溺愛されました』

鷹 綾
恋愛
内容紹介 王太子に「可愛げがない」という理不尽な理由で婚約破棄された公爵令嬢エヴァントラ。 涙を流して見せた彼女だったが── 内心では「これで自由よ!」と小さくガッツポーズ。 実は王国の政務の大半を支えていたのは彼女だった。 エヴァントラが去った途端、王宮は大混乱に陥り、元婚約者とその恋人は国中から総スカンに。 そんな彼女を拾ったのは、隣国の宰相補佐アイオン。 彼はエヴァントラの安全と立場を守るため、 **「恋愛感情を持たない白い結婚」**を提案する。 「干渉しない? 恋愛不要? 最高ですわ」 利害一致の契約婚が始まった……はずが、 有能すぎるエヴァントラは隣国で一気に評価され、 気づけば彼女を庇い、支え、惹かれていく男がひとり。 ――白い結婚、どこへ? 「君が笑ってくれるなら、それでいい」 不器用な宰相補佐の溺愛が、静かに始まっていた。 一方、王国では元婚約者が転落し、真実が暴かれていく――。 婚約破棄ざまぁから始まる、 天才令嬢の自由と恋と大逆転のラブストーリー! ---

処理中です...