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02 この世界のその後。
しおりを挟むーーーーーー十年前。
妖精達の奴隷制度は、王女ソーニャと奴隷解放軍レジスタンスが、奴隷の首輪とともに崩壊させた。
そして、何者にも自由を与えたのだ。
人間であろうとも、妖精であろうとも、魔物であろうとも。
自由を奪ってはいけない。
王女ソーニャは、そう国だけではく、タシアシーアの世界中に広めた。
同時に、王女ソーニャは、己が息絶えたことも世界中に知らせたのだ。
最期の言葉も、届いていた。
だから、自由を得た妖精や魔物、そして精霊達は、美しい世界にしようと心に決めたのだ。
緑豊かな木々、色とりどりの花々。それで世界を飾り付けることで美しくしようとしたのだ。
世界を美しく。より美しく。
我々に自由を与えた、亡き王女のためにーーーー。
もう一つ、彼女のそばに仕えていた従者ビアースの想いも、悲痛な恋だと皆に知られて語られることとなった。
ビアースは、泣いたのだ。涙を流し、息絶えた王女ソーニャを抱き締めた。
「王女様っ。ずっと……ずっと……! お慕いしておりましたっ……! 愛しております……王女様っ! 私の王女様っ!」
幾度も愛を告げようとも、それはもう王女ソーニャには届かなかったのだ。
冷たくなる彼女に、ビアースがどんなに強く抱き締めても温もりは伝わらない。
「愛しております、永遠にっ」
ビアースの想いは、悲しい悲しい愛の物語として、語られていくだろう。
王女ソーニャの亡骸は、水の精霊の森に預けられた。
腐らず、朽ちらず、美しい木々や花々に囲まれ、静かに眠らせていたのだ。
そこは、英雄の王女が眠る森と呼ばれるようになった。
英雄の王女が眠る森にいる者だけが、知ることとなる。
王女が目覚めた、と。
金色だった髪は、色が落ちていくように、白となる。血の気がなくなった肌もそうだ。陶器のような肌。
腰まで届く長い髪の毛先は、ライトグリーンに染まった。長い睫毛も、同様だ。
開かれた瞳はかつては青かったが、明るい森が移ったようにペリドット色へと変わった。
大きなつぶらな瞳。ふっくらした頬。形のいい小さな唇。どれも幼さを感じるもの。
妖精のような、精霊のような、可憐な少女の姿。
しかし、妖精でも精霊でもない。
不死の肉体と王女ソーニャの魂を持つ存在だ。
王女は目覚めた。
美しくなったこの世界でーーーー。
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