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オーベルシュタイン、二度目の冬
第435話、冬のエストレイヤ家(ビッグバロッグ王国)
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ビッグバロッグ王国の冬は、とても寒い。
リュドガは一人早起きし、エストレイヤ邸の玄関から外へ繋がる道を除雪していた。
大きなスコップを片手に、汗だくで雪をどける。
言わずもがな、リュドガはエストレイヤ家の当主だ。エストレイヤ家で最も偉いと言っても過言ではない。
当然、除雪をやるなんてありえない。
「りゅ、リュドガ様!? またですか!?」
「やぁ、おはようニコラス」
「おはよう、じゃありませんよ!! 除雪なんてオレや門兵がやりますから!!」
「いやいや、冬はランニングできないからね。ランニングの代わりに除雪してるだけだ。それに、除雪って全身を使うからいい筋トレになる……うん、騎士たちの訓練に『除雪』の項目を加えてみようかな。うんうん、ヒュンケルに提案してみよう!」
「…………」
エストレイヤ家の門兵ニコラスは、頭を抱えて苦笑した。
リュドガは、普通の貴族とは違う。
ビッグバロッグ王国一の大貴族エストレイヤ家の当主でありながら偉ぶることはなく、ニコラスのような門兵やメイドたちにも敬意を払う。ほかの貴族だったら門兵の名前を覚えるどころか、挨拶なんて絶対にしない。
子供のようにニコニコしながら除雪し、汗をぬぐいながら門兵に挨拶する大貴族なんて、世界広しと言えどリュドガくらいのものだろう。
「ちちうえ!!」
「ん……おお、エクレールじゃないか。どうしたんだ?」
「ふふふ。あたし、早起きしたのです! ちちうえみたいに立派な騎士になるべく、「そーちょーたんれん」をやることにしたのです!」
「な、なんだって!?」
エクレールは、もこもこしたコートに耳当て、手袋に長靴、手には子供用スコップを持っている。
どうやら、リュドガの真似をしようとしている。
それがうれしく、リュドガはショックを受けつつ顔を綻ばせ……エクレールに言う。
「よし!! 父と除雪しよう!!」
「はい!! じょせつします!!」
「…………」
ニコラスは、親子の除雪を止めることができなかった。
自分も手伝うべきなのだが……なぜか一緒になって除雪することが、二人の邪魔をするような気がした。
除雪を初めて数分後。
「リュドガ!! エクレールがいない!! どこへ………」
「「あ」」
寝間着姿のルナマリアが玄関のドアをぶち破って現れ、エクレールを見て硬直した。
「ははうえ!!」
「エクレール……まったく、驚かせるな……ベッドにいないから心配したぞ」
「あはは。エクレールはオレの手伝いをしてくれたんだ。一人で起きて、お着換えしてここまで来たんだぞ? すごくないか?」
「確かにすごい……うむ、将来有望だな」
「えへへー♪」
「ははうぇぇ~……」
すると、ルナマリアの背後から寝ぼけたままのスサノオが。
「ははうぇぇ~……眠いですぅ。ねえさんはぁ?」
「ああ、いたぞ。朝から連れまわして悪かったな」
「うぅぅ~ん……眠いぃ」
「スサノオ、朝はおきなきゃダメ!」
「ねえさん……まだ眠いよぉ」
リュドガはエクレールを抱っこし、ルナマリアはスサノオを抱きあげる。
幸せな家族にしか見えない。
ニコラスは、勇気を出してリュドガに言った。
「リュドガ様。あとはオレに任せてください。汗を拭いて朝食でも」
「ん~……そうだな。ありがとうニコラス」
「ありがとーニコラス!」
エクレールにまで礼を言われ、照れるニコラスだった。
◇◇◇◇◇◇
朝食を終え、騎士団に行くため着替えを済ませたリュドガとルナマリア。
騎士服に厚手のコートとマフラー、手袋で完全防備し、当たり前のように二人並んで外へ。
見送りに、愛しの我が子らが出てきた。
「ちちうえ、ははうえ、おきをつけて!」
「おきをつけて!」
「ああ、行ってくる」
「二人とも、セバッサンの言うことを聞くんだぞ」
「「はい!!」」
執事のセバッサンに子供たちを任せ、二人は外へ。
ほんの少しだけ雪が降っている。このくらいなら、傘は必要なさそうだ。
すると、セバッサンが『いちおう』聞く。
「リュドガ様、馬車は……」
「ああ、いらないよ。馬車だと住民たちに挨拶できないからね」
「……かしこまりました」
そう……大貴族エストレイヤ家の当主は、徒歩で城へ向かう。
普通は、普通は、普通はあり得ない。
外は少ないとはいえ雪。城まではそこそこ距離がある。普通は馬車を使うのが当たり前だが……リュドガは『住人に挨拶できない』という理由から、徒歩で城に向かっていた。
「じゃ、行こうか」
「ああ。ではセバッサン、行ってくる」
「いってらっしゃいませ。リュドガ様、ルナマリア様」
リュドガが腕を差し出すと、ルナマリアはそっと腕を絡める。
これが早朝デート。結婚してから変わることないお決まりの光景だ。
二人は貴族街の坂道を下り、城下町へ……すると、城下の入口辺りに見知った顔が。
「ヒュンケル」
「ん、おお。おはよーさん」
ヒュンケルだ。
彼もまた、徒歩で城に向かっている。
手にはいくつか袋を持っており、中には果物や焼き立てのパンなどが入っている。
三人は並んで歩きだすと、さっそく声をかけられた。
「おはようございますリュドガ将軍!!」
「おはよう、ライルさん。腰の調子はどう?」
「おかげさまで。おっと、焼き立て、持って行ってくださいよ!!」
「あはは、いつもありがとうございます」
パン屋から焼き立てのプチパンをもらった。
それから少し歩くと。
「ルナマリアちゃん、おはよう」
「ラーラおばさん。おはようございます」
「ふふ、あんたたちは昔っから変わらないねぇ……おっと、あたしの串焼き持っていきな。おやつに食っとくれ」
「おばさん……もう子供じゃないよ、私たち」
「あたしからすれば子供さね。ほらほら、遠慮しない」
串焼き屋のおばさんから串焼きをもらった。
こんな感じで、町を歩けば差し入れには困らない。拒否しても無理やり受け取らされるので、毎日もらっている。
城につく頃には、三人の両手はふさがっている。
「間食には困らねぇよな」
「確かに……」
「ふふ。串焼き……熱々だし、一本くらい。リュドガ、ヒュンケルも食え」
「お、いいね。でもよ、酒が欲しくなるぜ」
「酒なら今夜にしよう。今日はそこまで遅くならないだろうし」
「だな。ルナマリアもいいか?」
「うむ。夜遅くならなければいいぞ」
「すっかり人妻だねぇ……」
城に着き、お土産を執務室に置いて仕事を始めた。
騎士の訓練、書類整理、執務……ついでに、騎士の訓練に『除雪』を入れてはどうかと、リュドガは報告書を作成。呆れるヒュンケルを無視し提出した。
そして、全ての仕事が終わり、夜。
「お疲れ様です、先輩」
「ヒュンケルくん、お仕事終わりだね~」
「おう、お疲れさん」
ヒュンケル付きの秘書フレイヤとフライヤの姉妹は、後片付けをして帰ろうとした。
すると、ヒュンケルが言う。
「なぁお前ら、今夜暇か?」
「え」
「あらら~……夜のお誘いかな?」
「ち、ちっげーよ。リュドガとルナマリアと一緒に軽く飲むから、おめーらもどうだ?」
「…………(ほっ)」
「フレイヤちゃんがいいみたいだし、わたしはいいよ~」
「ね、姉さん!! 私はその」
「はい決まり!! じゃあリュドガくんとルナマリアちゃんのところへ行こう!!」
姉のフライヤは、誰に対しても「ちゃん付け」なのだ。
妹のフレイヤはため息を吐き、ヒュンケルに言った。
「てっきり、先輩と二人きりかと思いました」
「それは今度な。飲みたいなら朝までつきあってやるよ」
「え」
フレイヤは真っ赤になってしまった。
◇◇◇◇◇◇
リュドガとヒュンケル行きつけのバーに向かい、個室に入る。
五人での利用は久しぶりで、けっこう早いペースでお酒を飲んでいた。
意外なのは、フレイヤはお酒に弱く、フライヤはお酒に強いということだ。
さすがに、帰りは馬車を手配した。
フレイヤとフライヤを馬車に載せ、ヒュンケルは言う。
「じゃ、また明日な」
「は~い。ばいばいヒュンケルくん」
「せ、せんぷぁい……またあしたぁ」
「お、おう……早く寝ろよ」
酔っぱらったフレイヤと素面のフライヤを見送り、ヒュンケルは別の馬車へ。
ルナマリアとリュドガはすでに乗っている。
ヒュンケルを家まで送り、リュドガたちはエストレイヤ家へ到着した。
「けっこう遅くなったな……」
「盛り上がったからな。仕方ないだろう」
玄関では、セバッサンが出迎える。
「お帰りなさいませ」
「ただいま。子供たちは?」
「お休みになられました」
リュドガのコートを受け取りながら言うセバッサン。
ルナマリアも、メイドにコートを渡す。
セバッサンは一礼した。
「湯を準備しています。奥様、湯あみを」
「ん、わかった。リュドガ、またあとで」
「ああ。オレは子供たちの寝顔を見てこよう」
リュドガは、スサノオとエクレールの寝室へ。
個別の部屋は用意してあるが、仲良しの双子は一緒に寝ていた。
「ふふ……よく寝ている」
「ん……」
「ぱぱ……」
スサノオとエクレールの頭を撫で、リュドガは部屋を出た。
自室で着替えようと通路を歩き、ふと窓際を見る。
「……雪か」
外は、雪が降っていた。
また明日、除雪をしなくてはならない。
「…………アシュトに連絡してみるか」
オーベルシュタインの雪はどんな感じだろう?
リュドガは連絡するたびに同じ質問をするが、今日もまた同じ質問をするべく、リンリンベルの置いてある自室に向かうのだった。
リュドガは一人早起きし、エストレイヤ邸の玄関から外へ繋がる道を除雪していた。
大きなスコップを片手に、汗だくで雪をどける。
言わずもがな、リュドガはエストレイヤ家の当主だ。エストレイヤ家で最も偉いと言っても過言ではない。
当然、除雪をやるなんてありえない。
「りゅ、リュドガ様!? またですか!?」
「やぁ、おはようニコラス」
「おはよう、じゃありませんよ!! 除雪なんてオレや門兵がやりますから!!」
「いやいや、冬はランニングできないからね。ランニングの代わりに除雪してるだけだ。それに、除雪って全身を使うからいい筋トレになる……うん、騎士たちの訓練に『除雪』の項目を加えてみようかな。うんうん、ヒュンケルに提案してみよう!」
「…………」
エストレイヤ家の門兵ニコラスは、頭を抱えて苦笑した。
リュドガは、普通の貴族とは違う。
ビッグバロッグ王国一の大貴族エストレイヤ家の当主でありながら偉ぶることはなく、ニコラスのような門兵やメイドたちにも敬意を払う。ほかの貴族だったら門兵の名前を覚えるどころか、挨拶なんて絶対にしない。
子供のようにニコニコしながら除雪し、汗をぬぐいながら門兵に挨拶する大貴族なんて、世界広しと言えどリュドガくらいのものだろう。
「ちちうえ!!」
「ん……おお、エクレールじゃないか。どうしたんだ?」
「ふふふ。あたし、早起きしたのです! ちちうえみたいに立派な騎士になるべく、「そーちょーたんれん」をやることにしたのです!」
「な、なんだって!?」
エクレールは、もこもこしたコートに耳当て、手袋に長靴、手には子供用スコップを持っている。
どうやら、リュドガの真似をしようとしている。
それがうれしく、リュドガはショックを受けつつ顔を綻ばせ……エクレールに言う。
「よし!! 父と除雪しよう!!」
「はい!! じょせつします!!」
「…………」
ニコラスは、親子の除雪を止めることができなかった。
自分も手伝うべきなのだが……なぜか一緒になって除雪することが、二人の邪魔をするような気がした。
除雪を初めて数分後。
「リュドガ!! エクレールがいない!! どこへ………」
「「あ」」
寝間着姿のルナマリアが玄関のドアをぶち破って現れ、エクレールを見て硬直した。
「ははうえ!!」
「エクレール……まったく、驚かせるな……ベッドにいないから心配したぞ」
「あはは。エクレールはオレの手伝いをしてくれたんだ。一人で起きて、お着換えしてここまで来たんだぞ? すごくないか?」
「確かにすごい……うむ、将来有望だな」
「えへへー♪」
「ははうぇぇ~……」
すると、ルナマリアの背後から寝ぼけたままのスサノオが。
「ははうぇぇ~……眠いですぅ。ねえさんはぁ?」
「ああ、いたぞ。朝から連れまわして悪かったな」
「うぅぅ~ん……眠いぃ」
「スサノオ、朝はおきなきゃダメ!」
「ねえさん……まだ眠いよぉ」
リュドガはエクレールを抱っこし、ルナマリアはスサノオを抱きあげる。
幸せな家族にしか見えない。
ニコラスは、勇気を出してリュドガに言った。
「リュドガ様。あとはオレに任せてください。汗を拭いて朝食でも」
「ん~……そうだな。ありがとうニコラス」
「ありがとーニコラス!」
エクレールにまで礼を言われ、照れるニコラスだった。
◇◇◇◇◇◇
朝食を終え、騎士団に行くため着替えを済ませたリュドガとルナマリア。
騎士服に厚手のコートとマフラー、手袋で完全防備し、当たり前のように二人並んで外へ。
見送りに、愛しの我が子らが出てきた。
「ちちうえ、ははうえ、おきをつけて!」
「おきをつけて!」
「ああ、行ってくる」
「二人とも、セバッサンの言うことを聞くんだぞ」
「「はい!!」」
執事のセバッサンに子供たちを任せ、二人は外へ。
ほんの少しだけ雪が降っている。このくらいなら、傘は必要なさそうだ。
すると、セバッサンが『いちおう』聞く。
「リュドガ様、馬車は……」
「ああ、いらないよ。馬車だと住民たちに挨拶できないからね」
「……かしこまりました」
そう……大貴族エストレイヤ家の当主は、徒歩で城へ向かう。
普通は、普通は、普通はあり得ない。
外は少ないとはいえ雪。城まではそこそこ距離がある。普通は馬車を使うのが当たり前だが……リュドガは『住人に挨拶できない』という理由から、徒歩で城に向かっていた。
「じゃ、行こうか」
「ああ。ではセバッサン、行ってくる」
「いってらっしゃいませ。リュドガ様、ルナマリア様」
リュドガが腕を差し出すと、ルナマリアはそっと腕を絡める。
これが早朝デート。結婚してから変わることないお決まりの光景だ。
二人は貴族街の坂道を下り、城下町へ……すると、城下の入口辺りに見知った顔が。
「ヒュンケル」
「ん、おお。おはよーさん」
ヒュンケルだ。
彼もまた、徒歩で城に向かっている。
手にはいくつか袋を持っており、中には果物や焼き立てのパンなどが入っている。
三人は並んで歩きだすと、さっそく声をかけられた。
「おはようございますリュドガ将軍!!」
「おはよう、ライルさん。腰の調子はどう?」
「おかげさまで。おっと、焼き立て、持って行ってくださいよ!!」
「あはは、いつもありがとうございます」
パン屋から焼き立てのプチパンをもらった。
それから少し歩くと。
「ルナマリアちゃん、おはよう」
「ラーラおばさん。おはようございます」
「ふふ、あんたたちは昔っから変わらないねぇ……おっと、あたしの串焼き持っていきな。おやつに食っとくれ」
「おばさん……もう子供じゃないよ、私たち」
「あたしからすれば子供さね。ほらほら、遠慮しない」
串焼き屋のおばさんから串焼きをもらった。
こんな感じで、町を歩けば差し入れには困らない。拒否しても無理やり受け取らされるので、毎日もらっている。
城につく頃には、三人の両手はふさがっている。
「間食には困らねぇよな」
「確かに……」
「ふふ。串焼き……熱々だし、一本くらい。リュドガ、ヒュンケルも食え」
「お、いいね。でもよ、酒が欲しくなるぜ」
「酒なら今夜にしよう。今日はそこまで遅くならないだろうし」
「だな。ルナマリアもいいか?」
「うむ。夜遅くならなければいいぞ」
「すっかり人妻だねぇ……」
城に着き、お土産を執務室に置いて仕事を始めた。
騎士の訓練、書類整理、執務……ついでに、騎士の訓練に『除雪』を入れてはどうかと、リュドガは報告書を作成。呆れるヒュンケルを無視し提出した。
そして、全ての仕事が終わり、夜。
「お疲れ様です、先輩」
「ヒュンケルくん、お仕事終わりだね~」
「おう、お疲れさん」
ヒュンケル付きの秘書フレイヤとフライヤの姉妹は、後片付けをして帰ろうとした。
すると、ヒュンケルが言う。
「なぁお前ら、今夜暇か?」
「え」
「あらら~……夜のお誘いかな?」
「ち、ちっげーよ。リュドガとルナマリアと一緒に軽く飲むから、おめーらもどうだ?」
「…………(ほっ)」
「フレイヤちゃんがいいみたいだし、わたしはいいよ~」
「ね、姉さん!! 私はその」
「はい決まり!! じゃあリュドガくんとルナマリアちゃんのところへ行こう!!」
姉のフライヤは、誰に対しても「ちゃん付け」なのだ。
妹のフレイヤはため息を吐き、ヒュンケルに言った。
「てっきり、先輩と二人きりかと思いました」
「それは今度な。飲みたいなら朝までつきあってやるよ」
「え」
フレイヤは真っ赤になってしまった。
◇◇◇◇◇◇
リュドガとヒュンケル行きつけのバーに向かい、個室に入る。
五人での利用は久しぶりで、けっこう早いペースでお酒を飲んでいた。
意外なのは、フレイヤはお酒に弱く、フライヤはお酒に強いということだ。
さすがに、帰りは馬車を手配した。
フレイヤとフライヤを馬車に載せ、ヒュンケルは言う。
「じゃ、また明日な」
「は~い。ばいばいヒュンケルくん」
「せ、せんぷぁい……またあしたぁ」
「お、おう……早く寝ろよ」
酔っぱらったフレイヤと素面のフライヤを見送り、ヒュンケルは別の馬車へ。
ルナマリアとリュドガはすでに乗っている。
ヒュンケルを家まで送り、リュドガたちはエストレイヤ家へ到着した。
「けっこう遅くなったな……」
「盛り上がったからな。仕方ないだろう」
玄関では、セバッサンが出迎える。
「お帰りなさいませ」
「ただいま。子供たちは?」
「お休みになられました」
リュドガのコートを受け取りながら言うセバッサン。
ルナマリアも、メイドにコートを渡す。
セバッサンは一礼した。
「湯を準備しています。奥様、湯あみを」
「ん、わかった。リュドガ、またあとで」
「ああ。オレは子供たちの寝顔を見てこよう」
リュドガは、スサノオとエクレールの寝室へ。
個別の部屋は用意してあるが、仲良しの双子は一緒に寝ていた。
「ふふ……よく寝ている」
「ん……」
「ぱぱ……」
スサノオとエクレールの頭を撫で、リュドガは部屋を出た。
自室で着替えようと通路を歩き、ふと窓際を見る。
「……雪か」
外は、雪が降っていた。
また明日、除雪をしなくてはならない。
「…………アシュトに連絡してみるか」
オーベルシュタインの雪はどんな感じだろう?
リュドガは連絡するたびに同じ質問をするが、今日もまた同じ質問をするべく、リンリンベルの置いてある自室に向かうのだった。
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