実家を追放された公爵家長男、荒れ果てた戦地を立て直し領地改革!~弟よ、お前にだけは絶対に負けないからな!~

さとう

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ユリコーンの回復

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 ユリコーンの町は、少しずつ回復していった。
 魔獣を手懐けて農具を引いてもらい田畑を耕し、少しずつ動けるようになった大人の亜人たちには住居の立て直しや川の整備をしてもらい、ユメが選抜した力自慢の亜人たちは、ユメをリーダーとした狩り部隊になり、魔獣狩りをして肉を調達した。

 マサムネも、《閃き》のスキルを使い、様々なアイデアを出しては亜人たちを驚かせた。
 農耕だけでなく、魔獣を家畜化し、乳を出すウシ魔獣を捕まえたり、食べられる卵を産む大型ニワトリ魔獣を捕まえて卵を入手したりと、肉だけで栄養が偏らないようになんでもやった。
 健康は睡眠と食事からをモットーにしているマサムネは、とにかく住居と食事の回復に必死だった。

 田畑の整備が終わると、持参した種や苗を植えた。
 農耕の知識はあったので、ゴロウをリーダーにして農作業のことを教える。これには、女性の亜人たちが多く参加した。
 
 食事関係がひとまず何とかなり、住居も少しずつ立て直しが始まった。次に目指したのは流通の回復……つまり、街道を整備し、ユリコーンの町から続く道を整備し、町を発展させることだった。
 街道は草木で荒れ、まともな道がない。
 まずマサムネは、バランに聞いてユリコーンの町を出た亜人たちの居場所を探した。
 新天地を目指したといったが、意外にも近くに集まって暮らしていたようで、ユリコーンの町の現状を知ると、何人もの亜人たちが戻ってきた。

 戻ってきた亜人たちを中心に、街道の整備部隊を結成した。
 草木を切り、街道を広げ、見晴らしを良くして、町から町への道を作る。
 ちなみに、開拓の道具はユメが狩った魔獣の骨を加工した。さらに、魔獣の骨や皮は武器防具の素材にもなるので、今まで狩った魔獣の素材は全て残しておいた。これもマサムネの知恵だった。

 住居の立て直しがほぼ終了し、そちらに回していた人員が街道整備に合流。
 亜人は動物の血が流れていることから身体能力は人間を遥かに越える。おかげで、街道整備も順調に進み、ユリコーンの町から一番近い、ネーコの町までの道が開通した。

 マサムネたちがユーリ領地にやってきてちょうど一年……驚異的な速度で、ユーリ領地は再生しつつあった。

 ◇◇◇◇◇◇

 マサムネは、ユリコーンの町にある領主邸で、執務に追われていた。
 
「領主さま、収穫量の計算を収穫物ごとに分けて終わらせました」
「ありがとう。どれどれ……麦、各種野菜、薬草……うん、いいね」

 マサムネの仕事を手伝っているのはシロだ。
 猫亜人の少女で、年齢は十六歳。初めて会ったときはガリガリに痩せてボロきれを纏っていたが、今は健康になり肌艶もよくなり、髪も伸びて体つきも女の子らしくなっていた。
 なにより、マサムネに懐き、文字を習い仕事の手伝いまでするようになった。おかげで、今はマサムネの秘書となっている。

「あの、収穫物をまとめてどうするんですか?」
「……一応、帳簿を付けておかないとね。ここはサーサ公爵家の管理地だから、いずれ税を収めなきゃいけないんだ。もちろん、収穫物に応じた税だけどね」
「……そうですか。ここ、人間の土地ですもんね」
「……」

 シロは少し悲し気に笑う。
 いちおう、タックマンとの契約では、税を納めるのは五年後からとなっている。
 一年経過したので、残り四年。四年間でさらなる発展をさせるのがマサムネの仕事だ。

「シロ、大丈夫だよ」
「うにゃあ……」

 マサムネは立ち上がり、シロの頭を撫でる。
 ネコミミがぴくっと動き、シロは気持ちよさそうに鳴いた。

「もっともっと立派な土地にして、税金を納めても痛くも痒くもない土地にする」
「領主さま……」
「だから、これからも手伝ってくれ」
「はい!」

 シロは大きく頷いた。
 すると、ドアが乱暴にノックされ開かれる。

「おう、マサムネ」
「バランさん。どうかしましたか?」
「いや、今日も大物が獲れたからおすそ分けにな。ほれ」

 バランは、葉っぱに包まれた肉の塊をテーブルに置いた。
 
「それだけだ。しっかりやれよ、領主さんよ」
「ははは。わかってますよ。じゃなきゃ俺、食われちゃいますもんね」
「…………もう食うつもりはねぇよ」
「え?」
「なんでもねぇ。じゃぁな」

 バランは片手を上げて部屋を出た。
 
「ふふ。長ってば素直じゃないなぁ」
「?」

 マサムネは、意味が分からず首を傾げた。
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